勉強法の常識No.S02

何度も読み返すのが、いちばん確実な勉強法って、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:04文献 3件

「何度も読み返すのが、いちばん確実な勉強法」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

読み返すと「わかった気」になれます。でも数日たつと、思い出す練習をした人に追い抜かれます。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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2009年、心理学者のカーピキらは、大学生177人に、ふだんどうやって勉強しているかを自由に書き出してもらいました。あわせて、「教科書の章を読み終えたあと、もう一度読むか、思い出す練習をするか」も選んでもらいました。

どちらの質問でも、答えは同じ方向を向いていました。多くの学生はノートや教科書をくり返し読んでいて、自分にテストをする学生は少なかったのです。

読み返しは、手軽で、いちばん安心できる勉強法です。ところが、その安心にはあまり根拠がないことがわかっています。

5分後と1週間後で、順位が入れかわる

2006年、ローディガーとカーピキは、学生に短い文章を読ませる実験をしました。読んだあと、あるグループはもう一度文章を読み直します。別のグループは、文章を見ずに、覚えていることを書き出すテストを受けます。テストは1回の場合と3回の場合があり、読み直しの回数もそれにそろえました。テストのあとに正解は見せません。

そのあと、5分後、2日後、1週間後のどれかに、最後のテストを行いました。

5分後のテストでは、読み直したグループのほうが多く覚えていました。ところが2日後と1週間後では順位が逆転し、テストを受けたグループのほうがかなり多くを覚えていました。

途中のテストでは、正解を一度も見せていません。それでも差がついたのですから、思い出そうとすること自体が記憶を強くしていたことになります。

自信をつけたのは、読み直したほう

この実験では、学生の自信も調べられていました。読み直しをくり返すと、「あとでも覚えていられる」という自信は高まっていました。日をおいたテストの成績では、負けていたのにです。

二度目に読む文章は、一度目よりもスラスラ頭に入ります。その読みやすさを、「覚えた」という感覚と取りちがえやすいと考えられています。カーピキらも2009年の調査のまとめで、多くの学生が勉強中に「できているつもり」になっていて、それが勉強法の選び方に大きく影響していると述べました。

2013年、ダンロスキーらが10の勉強法を評価したときも、読み直しは最低ランクの「低い有用性」でした。多くの学生が使っているのに、成績を安定して上げることが確かめられていないからです。かわりに使う方法として名前が挙がったのが、練習テストでした。

定期テストは5分後には来ない

直後のテストでは読み直しが勝つ。このことが、読み返しを手放しにくくしています。読み返した直後は、たしかに頭に入っている感じがするからです。でも、定期テストも入試も、勉強した数日後から数か月後にやってきます。

読み返しを全部やめる必要はありません。一回目に読むのは、内容を理解するために欠かせません。変えるのは二回目からです。

原田英語がすすめる手順はこうです。一回目は、しっかり読んで理解する。二回目は、本を閉じて、覚えていることを白紙に書き出す。手が止まったら本を開いて、抜けていたところを確かめる。三回目は、数日あけてから、また白紙から始める。

白紙を前に手が止まる時間は、読み返しよりずっと居心地が悪いものです。その居心地の悪さが、1週間後の差になって返ってきます。

この記事に出てくる用語
想起練習(思い出す練習)
教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。

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参考文献

  1. Dunlosky J., Rawson K., Marsh E., Nathan M., Willingham D. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4-58.

  2. Roediger H., Karpicke J. (2006). Test-Enhanced Learning. Psychological Science, 17, 249-255.

  3. Karpicke J., Butler A., Roediger H. (2009). Metacognitive strategies in student learning: Do students practise retrieval when they study on their own? Memory, 17(4), 471-479.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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