有名な勉強法を判定No.P03
教科書を読むなら「SQ3R」という5段階の読み方が正しいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
5段階を全部こなさなくても大丈夫。効き目がはっきりしているのは、本を閉じて思い出す「暗唱」の部分です。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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今日からできるやり方
- 章の見出しと図をざっと見て、全体をつかむ
- 見出しを問いに変えてから、本文を読む
- 1節読んだら本を閉じ、内容を再現する
- 本を開いて答え合わせし、抜けを見直す
宿題の範囲を開いたら、まず最後のページを探す。そこに指をはさんで、あとどれくらいの厚さがあるかを確かめる。読んでいる途中も、読み終えた分と残りの分をときどき持ち上げて、厚さを比べる。
1946年、アメリカの心理学者ロビンソンは、自分の本の中で「よくいる学生」をこんなふうに描きました。何の話だったかと聞かれて、ページの厚みを見ながら「30ページくらい」と答えた学生もいたそうです。指で一行ずつなぞりながら読み、次の日に「覚えていないけれど、一語残らず読んだのは本当です」と言えるようにしている学生もいます。ロビンソン自身「少し大げさかもしれない」と断っていますが、80年たった今でも、思い当たる人は多いはずです。
このロビンソンが、そんな学生のために考えた読み方が、SQ3Rです。
5つの手順と、いちばん大切な1つ
オハイオ州立大学の心理学の教授だったロビンソンは、著書『エフェクティブ・スタディ』で、5つの手順を説明しています。
1つ目は概観(Survey)です。章の見出しにざっと目を通し、中心になる3〜6個の考えをつかみます。かける時間は1分まで。2つ目は質問(Question)で、最初の見出しを問いの形に変えます。3つ目は読む(Read)。その問いの答えを探しながら、節の終わりまで読みます。
4つ目が暗唱(Recite)です。本から目を離して、問いの答えを自分の言葉で、例をあげながら言ってみます。言えなければ、もう一度その節に目を通します。キーワードを紙にごく短くメモするのもよい、とロビンソンは書いています。これを節ごとにくり返し、最後が5つ目の復習(Review)。メモを隠して、要点を思い出せるか確かめます。
ロビンソンは、5つのうち「おそらく最も大切」なのは、読んだあとに自分で思い出すことだと書いています。根拠として、アイオワ州の数千人の高校生を調べた研究を紹介しました。1回読んだだけでは、2週間後には、読んだ直後に覚えていたことの20%しか残らない。ところが、読んだ直後に思い出すテストをしておくと、80%が残っていた、というのです。
支えていたのは、証拠より意見
SQ3Rはその後、教科書の読み方として広く教えられていきます。ただ、ロビンソン自身が挙げた効果の証拠は、やや心もとないものでした。数日練習させた前後で、読む速さや理解を比べた結果などで、比べる相手のグループがありません。本人も、自分にとっていちばん説得力があるのは、試した学生たちの感想だと書いています。
1980年、ジョンズとマクナマラは、SQ3Rの研究を調べ直しました。そして、この方法への支持は、実験の証拠よりも意見にもとづくものが多い、と指摘しました。
2014年には、ジャイラムらが、SQ3Rと新しい学習法SOARを直接比べています。SOARは、大事な所を選ぶ、整理する、関連づける、自分の理解を確かめる、という4つの手順の方法です。大学生にどちらかの方法を教え、同じ文章を学ばせてテストすると、SOARで学んだ学生のほうが、事実で14%、関係で20%、概念で13%多く学んでいました。5つの手順を形どおりにこなせば最強、とはいかないようです。
60年あまりあとの答え合わせ
では、ロビンソンが最も大切だと考えた部分はどうでしょうか。2009年、マクダニエルらは、読む・暗唱する・見直すの3つだけを行う「3R」を、大学生で試しました。比べた相手は、読み直しと、ノート取りです。
2つの実験で、3Rで学んだ学生は、読み直しやノート取りの学生より多くの内容を思い出せました。テストの直後でも、1週間後でも同じでした。工学の長く難しい文章を使った実験では、選択問題や問題解決で3Rが読み直しを上回り、ノート取りとは同じくらいの成績でした。しかも3Rは、ノート取りより短い時間で済みました。
原田英語のおすすめは、見出しを問いに変える手順は数秒でできるので残しつつ、本を閉じて思い出す手順だけは絶対に省かないことです。ページの厚さを測るより、1節読むごとに本を閉じて、何が書いてあったかを言ってみる。80年前の心理学者がいちばん大切だと書いた手順は、今も研究で効果が確かめられています。
参考文献
Johns J., McNamara L. (1980). The SQ3R Study Technique: A Forgotten Research Target. Journal of Reading, 23, 705-708.
eric.ed.gov/?id=EJ227607✓ 実在と内容を確認済み
Jairam D., Kiewra K., Rogers-Kasson S., Patterson-Hazley M., Marxhausen K. (2014). SOAR versus SQ3R: a test of two study systems. Instructional Science, 42, 409-420.
doi.org/10.1007/s11251-013-9295-0✓ 実在と内容を確認済み
McDaniel M., Howard D., Einstein G. (2009). The Read-Recite-Review Study Strategy. Psychological Science, 20, 516-522.
doi.org/10.1111/j.1467-9280.2009.02325.x✓ 実在と内容を確認済み
Robinson F. P. (1946). Effective Study (Project II: Survey Q3R Method of Studying, pp. 13-29). Harper & Brothers.
archive.org/details/in.ernet.dli.2015.224377✓ 実在と内容を確認済み
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