偉人の勉強法No.F09

ファインマンの黒板の言葉「自分で作れないものは、理解していない」にならって学ぶと、理解が深まるって、ホント?

判定日 読了 約4分音声 5:30文献 3件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

自分に説明しながら組み立て直す学び方は、研究でも効果の大きい方法です。ただ、黒板の言葉はファインマンが勉強法として書いたものではありません。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果自分に説明するよう促すと、効果量0.55(69の効果量)

今日からできるやり方

  1. 教科書の例題を、解答を見ずに解き直す
  2. 各ステップで「なぜそうなるか」を自分に説明する
  3. 詰まった所だけ解答を見て、閉じてまた解く
  4. 白紙に、要点を何も見ずに再現してみる

カリフォルニア工科大学の資料館に、1枚の白黒写真が保存されています。題は「リチャード・ファインマンの、死去時の黒板」。1988年の写真です。

黒板の左上には、線で囲まれた2行の英文があります。「What I cannot create, I do not understand.」。訳すと「自分で作り出せないものは、理解していない」です。その下の別の枠には「Know how to solve every problem that has been solved」。すでに解かれた問題は、すべて解き方を知っておけ、という意味です。右側には「TO LEARN:(これから学ぶこと)」という見出しがあり、物理の専門的なテーマが5つ並んでいます。その下には、書きかけの数式が残っていました。

ノーベル賞物理学者が最後に使っていた黒板には、これから学ぶことのリストが書かれていたのです。

作れないものは、わかっていない

「自分で作り出せないものは、理解していない」。この一文は、学び方のヒントとしてよく引用されます。自分で一から組み立て直せるかどうかを、理解の目安にする、という読み方です。

その下の「すでに解かれた問題は、すべて解き方を知っておけ」も合わせて読んでみます。すると、答えを知っていることと、自分で答えにたどり着けることを、ファインマンは区別していたようにも見えます。

ただし、これは黒板に残された短いメモで、ファインマンが勉強法として説明した文章ではありません。ここから先は、現代の私たちの解釈です。その解釈が学び方として役に立つかどうかは、研究で確かめる必要があります。

1行読むたびに、自分に説明する

「自分で組み立て直す」に近い学び方として、心理学で調べられてきたのが「自己説明」です。読んだ内容や解き方の手順について、なぜそうなるのかを自分に説明しながら学ぶ方法です。

1994年、チーらは、アメリカの中学2年生に、人間の血液の循環についての文章を学ばせました。14人には、1行読むたびに、その内容を自分に説明するよう求めました。特別な訓練はしていません。比べる相手の10人は、同じ文章を2回読みました。

学ぶ前と後のテストを比べると、自分に説明したグループのほうが、成績の伸びが大きくなりました。さらに、説明をたくさん作り出した生徒ほど、深く理解していました。とても難しい問題に答えられたり、文章にはっきり書かれていない部分の働きを推測できたりしたのです。たくさん説明した生徒は全員、血液の循環の正しい全体像を頭の中に作れていました。一方、説明を求められなかった生徒や、あまり説明しなかった生徒の多くは、そこまで届きませんでした。

人数は合わせて24人と少なく、限られた実験ではあります。

69の結果をまとめると

そこで、多くの研究をまとめた分析も見てみましょう。2018年、ビスラらは、学ぶ人に自己説明を促した研究を集め、64の報告から69の効果量を分析しました。全体の効果量は0.55でした。

効果は、問題を解く場面でも、解き方の例を学ぶ場面でも、文章を読んで学ぶ場面でも見られました。著者たちは、自己説明を促すことは、いろいろな授業の条件で強力な手段になりうると結論しています。

黒板の言葉そのものは勉強法ではありませんでした。けれども、「自分で組み立て直せるか」を確かめながら学ぶという読み方には、研究の裏づけがあります。

解かれた問題を、自分で解き直す

原田英語のおすすめは、黒板の2行目をそのまま実行することです。教科書の例題を、解答を見ずに解き直す。1行進むごとに、なぜそうなるのかを自分に説明する。詰まったら解答をちらっと見て、また閉じて続ける。最後に白紙を出し、その単元の要点を何も見ずに再現してみる。

ファインマンの黒板には、最後まで「これから学ぶこと」のリストがありました。わかったつもりの単元こそ、自分の手で組み立て直せるか、試してみましょう。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
追試
同じ実験をもう一度行い、同じ結果が出るかを確かめること。

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参考文献

  1. Caltech Archives and Special Collections. Richard Feynman's blackboard at time of his death (1988). Caltech Images Collection, Identifier 1.10-29.

  2. Chi M., de Leeuw N., Chiu M., LaVancher C. (1994). Eliciting self-explanations improves understanding. Cognitive Science, 18, 439-477.

  3. Bisra K., Liu Q., Nesbit J., Salimi F., Winne P. (2018). Inducing self-explanation: A meta-analysis. Educational Psychology Review, 30, 703-725.

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