勉強法の常識No.S55

自分に合った勉強法は、自分がいちばんよくわかっているって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:15文献 3件

「自分に合った勉強法は、自分がいちばんよくわかっている」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

勉強したときの「効いた感じ」と、実際の効果は、しばしば正反対です。自分のテスト結果を見たあとでさえ、人は手応えのほうを信じました。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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画面に、絵が1枚ずつ映し出されます。作者の名前も一緒に出てきます。参加者の仕事は、それぞれの画家の絵のくせをつかむことです。あとで、初めて見る絵を見せられて、どの画家の作品かを当てるテストがあります。

見せ方は2通りありました。ひとつは、同じ画家の絵をまとめて続けて見せる方法。もうひとつは、いろいろな画家の絵を混ぜて見せる方法です。あなたなら、どちらのほうが画家のくせをつかめると思いますか。

混ぜたほうが当たったのに

2008年、心理学者のコーネルとビョークがこの実験を行いました。多くの人は、同じ画家の絵を続けて見たほうが、共通点に気づきやすいと考えるはずです。研究者たち自身も、混ぜると共通点が見えにくくなり、不利になるのではと予想していました。

結果は反対でした。画家を当てるテストの成績は、混ぜて見たときのほうが良かったのです。

さらに驚くのは、そのあとです。参加者に、どちらの見せ方がよく学べたと思うかをたずねると、評価が高かったのは「続けて見たほう」でした。自分のテストの結果が、その逆を示したあとでさえ、です。

90パーセントに効いて、72パーセントが逆を選んだ

これは、絵だけの話ではありません。2009年、コーネルは単語カードで同じことを調べました。

参加者は、ウェブ上の単語カードで、大学院の入試に出るような難しい英単語と、その意味を覚えます。比べたのは、カードを1つの大きな束にして順番に回す方法と、4つの小さな束に分けて、1つずつ集中して覚える方法です。小さな束に分けると、同じカードが短い間隔で何度も出てきます。大きな束にすると、同じカードに戻ってくるまでに時間があきます。

3つの実験を通して、間隔をあけたほうが効果的だった人は、参加者の90パーセントにのぼりました。ところが、最初の学習のあとで、72パーセントの人が「間隔をつめたほうが効果的だった」と答えていたのです。

手応えは、うそをつく

なぜ、こんなずれが起きるのでしょうか。間隔をつめて同じカードを何度も見ると、2回目、3回目にはすらすら答えられます。この「すらすら感」が、覚えたという手応えになります。一方、間隔をあけると、前に見たカードを思い出すのに苦労します。苦労するので、身についていないように感じます。

でも、テストで物を言うのは、苦労して思い出したほうでした。勉強中の手応えと、あとで思い出せるかどうかは、別のものなのです。

コーネルとビョークは2007年の論文で、何を、どのくらい、どうやって勉強するかという判断について書いています。人はその一部を、自信をもって気軽に決めている。けれども、その判断がいつも最善とは限らない。そして、良い判断をするには、学習の進み具合を正しく見きわめ、学習がどう起きるかを現実的に理解している必要がある、と述べています。手応えだけに頼ると、その見きわめがずれてしまうのです。

1週間後の自分に聞く

では、どうすれば自分に合った勉強法がわかるのでしょうか。原田英語の答えは、勉強した直後の手応えではなく、時間がたってからのテストの結果で決める、です。

たとえば、ある単元はまとめて一気に、別の単元は何日かに分けて勉強してみる。そして1週間後、どちらもテストしてみます。勉強した日の気分ではなく、1週間後の点数が、あなたに合った方法を教えてくれます。

参考文献

  1. Kornell N., Bjork R. (2007). The promise and perils of self-regulated study. Psychonomic Bulletin & Review, 14, 219-224.

  2. Kornell N. (2009). Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23, 1297-1317.

  3. Kornell N., Bjork R. A. (2008). Learning Concepts and Categories: Is Spacing the 'Enemy of Induction'? Psychological Science, 19(6), 585-592.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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