勉強法の常識No.S05
一夜漬けは効率がいいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
一夜漬けは、あしたのテストには間に合っても長くは残りません。同じ時間なら、日を分けたほうが覚えられます。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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90%と72%。2009年、心理学者のコーネルが、単語カードの実験で記録した2つの数字です。
90%は、日をあけて分けて勉強したほうが、まとめて勉強したときよりも成績がよかった参加者の割合です。72%は、最初の勉強を終えた時点で、「まとめてやったほうが効いた」と答えた参加者の割合です。
ほとんどの人は分けたほうが成績がよかったのに、大半の人はまとめたほうが効いたと感じていたことになります。一夜漬けがなくならない理由は、この2つの数字のずれにあります。
単語カードの束を、分けるか分けないか
コーネルの実験では、参加者はウェブ上の学習プログラムを使って、アメリカの大学院入試に出るような難しい英単語のペアを覚えました。実験は3つ行われています。
比べたのは、単語カードの使い方です。大きな束1つをくり返しめくるやり方と、小さな束4つに分けて、ひと束ずつ覚えていくやり方。小さな束のほうが片づけやすく感じますが、同じカードが次に出てくるまでの間隔は短くなります。大きな束なら、1枚のカードが次に出てくるまでに、ほかのカードをたくさんはさみます。
結果は、大きな束のほうが効果的でした。さらに、テスト前日にまとめて勉強する一夜漬けとも比べましたが、こちらも日をあけて分けたほうが効果的でした。
184本の論文が、同じ向きを指す
時間をあけて分けて学ぶと、まとめて学ぶより長く覚えていられる。この現象は「分散学習」の効果と呼ばれ、数百の実験で確かめられてきました。
2006年、セペダらは、言葉を覚えて思い出す課題について、184本の論文にのった317の実験をまとめて分析しました。どれくらい間をあけるとよいかは、テストまでの期間によって変わることもわかりました。テストが先であるほど、間隔も広くとったほうがよく覚えていられたのです。
一夜漬けが効いた気がするわけ
一夜漬けをした翌朝は、覚えたばかりの内容が頭にたっぷり残っています。テストでもある程度の点が取れます。だから、効率のいい方法だと感じます。
でも、コーネルの実験が示したように、その手ごたえは当てになりません。それに、高校の勉強は積み上げです。英文法も数学も、前の単元を忘れると次の単元でつまずきます。テストの翌週に消えてしまう知識は、受験の前に、ほとんど一から覚え直すことになります。
同じ3時間を、3回に分ける
やり方は単純です。テストの前日に3時間勉強するつもりなら、その3時間を、1週間前、4日前、前日の3回に分けます。同じ範囲を、日をあけて3回まわすのです。
2回目と3回目は、前回に覚えたことを思い出すところから始めましょう。少し忘れかけていて、思い出すのに苦労するはずです。その苦労をした分だけ、一夜漬けより長く残る記憶になります。
参考文献
Cepeda N., Pashler H., Vul E., Wixted J., Rohrer D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis.. Psychological Bulletin, 132, 354-380.
doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354✓ 実在と内容を確認済み
Kornell N. (2009). Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23, 1297-1317.
doi.org/10.1002/acp.1537✓ 実在と内容を確認済み
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