英語の常識No.E44
単語は5個ずつなど、少しずつ区切って覚えたほうがいいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
何個ずつに区切るかは、成績をほとんど左右しませんでした。効いたのは、同じ単語に戻るまでの間隔です。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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単語カードが20枚あるとします。20枚を上から順にめくっていけば、ある単語にもう一度出会うのは、ほかの19枚を見たあとです。
では、5枚ずつの束に分けて、1束ずつくり返したらどうでしょう。同じ単語に戻ってくるのは、ほかの4枚を見たあとです。
5枚ずつのほうが、すぐ「覚えた」と感じられて、気分よく進みます。でも、この2つのやり方の違いは、区切る数だけではありません。同じ単語に戻るまでの間隔も、いっしょに変わっています。
間隔をそろえて比べる
単語を少しずつ区切って覚える方法を「部分学習」、全部をまとめてくり返す方法を「全体学習」といいます。どちらがよいかは、以前から研究されてきました。けれども、多くの研究では、区切り方と間隔が一緒に変わっていました。これでは、差が出ても、どちらのせいかわかりません。
2016年、ナカタとウェッブは、この2つを切り分けました。1つめの実験では、英単語を、20個まとめてくり返す、4個ずつに分ける、10個ずつに分ける、の3通りで覚えてもらいました。そのうえで、同じ単語に戻るまでの間隔が、どの方法でもそろうように工夫したのです。それまでの研究にはなかった点です。
結果、間隔が同じなら、まとめても区切っても、成績はほとんど変わりませんでした。
成績を動かしたのは間隔
2つめの実験では、間隔のほうを変えました。比べたのは、20個まとめてくり返す方法、4個ずつで間隔を短くする方法、4個ずつで間隔を長くする方法です。
すると、成績を大きく左右したのは、区切り方よりも間隔でした。同じ4個ずつでも、間隔を長くとるかどうかで、結果が変わったのです。
ふだんの勉強で小分けにすると、同じ単語にすぐ戻ってくるので、間隔は短くなりがちです。小分けがよくないのではなく、小分けにすると、知らないうちに間隔が縮んでしまう。そこが落とし穴でした。
9割の人が、大きな束で伸びた
同じことは、単語カードそのものを使った実験でも確かめられています。2009年、アメリカのコーネルは、参加者に、アメリカの大学院入試に出るような難しい英単語と、その意味のペアを、ウェブ上の単語カードで覚えてもらいました。カードを大きな束1つにして回す方法と、小さな束4つに分けて別々に回す方法を比べたのです。
3つの実験を通して、大きな束のほうが成績がよく、参加者の90パーセントでそうなりました。ところが、最初の学習のあとに「どちらが効いたと思うか」をたずねると、72パーセントの人が、小さな束のほうが効いたと答えていました。
すぐ戻ってくる単語は、まだ頭に残っているので、思い出すのが楽です。楽に思い出せると、「覚えた」と感じます。でも、その手ごたえは、時間がたっても思い出せるかどうかとは、別のものでした。
一周を大きく
原田英語のおすすめは、単語カードを小さな束に分けず、なるべく大きな一周で回すことです。どうしても小分けにしたいなら、束を回る順番を工夫して、同じ単語に戻るまでに間をあけましょう。一度に何個やるかより、何をはさんでから戻るか。単語の記憶は、そちらで決まります。
参考文献
Nakata T., Webb S. (2016). Does studying vocabulary in smaller sets increase learning? Studies in Second Language Acquisition, 38, 523-552.
doi.org/10.1017/S0272263115000236✓ 実在と内容を確認済み
Kornell N. (2009). Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23(9), 1297-1317.
doi.org/10.1002/acp.1537✓ 実在と内容を確認済み
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