英語の常識No.E43

留学すれば、英語はペラペラになるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:42文献 2件

「留学すれば、英語はペラペラになる」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

留学すると語学力が伸びやすいのは確かです。でも、文法の土台がないまま行くと、現地で伸び悩むことがあります。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)

0:00 / 3:42

アメリカの大学生16人が、スペイン語を学ぶために、南米アルゼンチンへ6週間の留学に出かけました。みんなやる気にあふれ、現地でたくさん話して、会話力を一気に伸ばすつもりでした。

ところが学生たちは、まもなく「伸びが止まった」と感じ始めます。そして、やる気をなくしていきました。

アルゼンチンの6週間

2010年にこの留学を報告したのは、アメリカの研究者デカイザーです。学生たちが現地でどう話す力を伸ばしていくのかを、くわしく追いかけました。

出発の初めと終わりに、スペイン語で面接をしました。面接のあとには、録音を本人と一緒に聞き直し、話しながら何を考えていたのかを思い出してもらいました。さらに、語学学習についての考えを聞くアンケートをとり、いろいろな生活の場面で学生を観察しました。出発時には、筆記の語学テストと、語学の適性テストも受けてもらっています。

話したくても、文が組み立てられない

集めたデータからわかったのは、学生たちの文法の知識があやふやだったことです。さらに、知っている文法を、考えなくても使える状態にまでなっている学生は、ほとんどいませんでした。

そのため、なめらかさをあきらめて、ゆっくり正確に話そうとしても、うまくいきませんでした。かなり基本的な文の形でさえ、正しく言えないことが多かったのです。6週間の留学が終わる時点でも、それは変わりませんでした。

話す機会は、周りにいくらでもあります。けれども、使える文法の土台がなければ、その機会を伸びにつなげられません。デカイザーは、文法を使える状態にしておくか、少なくとも知識として持っておくこと。その準備がなければ、留学の効果は期待どおりにならない、とまとめています。

11の研究をまとめると

では、留学そのものに意味はないのでしょうか。そうではありません。

2016年、ヤンは、留学と語学力の伸びに関する研究を集めて分析しました。66の研究のやり方を調べたうえで、留学した人と国内で学んだ人を数字で比べた11の研究を、まとめて分析しています。結果は、留学した人のほうが伸びていました。

意外なことに、短期の留学のほうが、長期の留学よりも効果が大きいという結果も出ました。ただし、まとめられた研究は11と多くありません。ヤン自身も、留学の研究をまとめて分析することには難しさがある、と注意を書いています。「短いほうがよい」と言い切るのは早いでしょう。

出発前にやっておくこと

留学は、たしかに語学力を伸ばす場になります。ただし、伸びるかどうかは、行く前に何を持っていくかで変わります。

原田英語のおすすめは、出発の数か月前から、中学・高校で習う基本の文法を、口に出して使う練習をしておくことです。たとえば、過去形や疑問文を使った短い文を、考えこまずに言えるようにしておく。土台ができていれば、現地で浴びる英語が、そのまま伸びにつながります。

参考文献

  1. Yang J. (2016). The Effectiveness of Study-Abroad on Second Language Learning: A Meta-Analysis. The Canadian Modern Language Review, 72, 66-94.

  2. DeKeyser R. (2010). Monitoring Processes in Spanish as a Second Language During a Study Abroad Program. Foreign Language Annals, 43, 80-92.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

あわせて読みたい関連する常識

20問・約2分あなたの勉強法は、科学的に何点?科学度診断をはじめる → 10問・ランダム出題ウソかホントか、見抜けるか?判定チャレンジに挑戦 →