英語の常識No.E38
日本語は早口な言語って、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
1秒に話す音の数は、たしかに多めです。でも1秒あたりに伝わる情報の量は、どの言語もほぼ同じくらいでした。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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日本語を知らない人の耳に、日本語の会話はどう聞こえているのでしょうか。「とても早口に聞こえる」という感想は、よく話題になります。
この印象は、気のせいではありません。音の数を数えると、日本語はたしかに速いほうに入ります。ただし、それで話がおしまいにはなりません。
1秒に、8音節近く
2011年、フランスのペレグリーノらは、7つの言語の話し言葉を録音して比べました。調べたのは、1秒間にいくつの音節を話しているか、そして1つの音節にどれだけの情報が詰まっているかです。音節とは、「か」「き」のような音のひとまとまりのことです。
日本語は、1秒あたり約7.84音節で、最も速いグループに入っていました。その一方で、1音節あたりの情報の量は、調べた言語の中で最も少なかったのです。
7つの言語を並べると、1音節あたりの情報が少ない言語ほど、速く話すという関係が見えました。中身が薄い分を、速さで取り戻しているような形です。ただし、この論文では、速さと中身の掛け算がどの言語でもぴったり同じになる、とまでは言えませんでした。
1つの音に、どれだけ詰めこめるか
なぜ日本語の音節は、情報が少ないのでしょうか。日本語の音節は、「か」「さ」「た」のように、子音1つと母音1つの単純な形がほとんどです。そのため、作れる音節の種類が限られます。
英語には、strength のように、母音の前後に子音がいくつも重なる音節があります。音節の作り方の自由が大きいほど、作れる種類が増え、1つの音節で区別できることも増えます。ペレグリーノらも、こうした音節の複雑さとの関係を論じています。
たとえば、使える音節が10種類しかない言葉と、1000種類ある言葉を想像してください。同じことを伝えるなら、10種類の言葉のほうが、たくさんの音節を並べる必要があります。
日本語に同じ音の言葉が多いのも、音節の種類が少ないことと関係があると考えられます。「こうしょう」と聞いただけでは、交渉なのか、高尚なのか、考証なのか決まりません。前後の言葉を足して、はじめて意味がしぼられます。
17の言語が、同じあたりにそろう
2019年、クペとペレグリーノらは、対象を17の言語に広げました。音節あたりの情報量も、話す速さも、言語によって大きく違います。ところが2つを掛け合わせた「1秒あたりに伝わる情報量」は、どの言語も約39ビットと、似た値にそろいました。ビットは、情報の量をはかる単位です。
著者たちによると、言語どうしは、音節あたりの情報量や話す速さよりも、1秒あたりの情報量のほうが、よく似ていました。人が1秒間に送り、受け取れる情報の量には、言語をこえた目安があるのかもしれません。
英語を聞くときに
日本語は「音は速いが、1音あたりは軽い」言語です。英語の話し言葉では、1つの音節に子音がいくつも詰めこまれ、それが次々に流れてきます。日本語の感覚のまま、1音ずつ拾おうとすると、追いつけないと感じやすいでしょう。
原田英語のおすすめは、短い英文を聞いて、まねして言ってみることです。子音の重なりや、音がつながる感じを、自分の口で一度再現してみるのです。日本語が早口かどうかを気にするより、英語の音の詰まり方に慣れるほうが、聞き取りの役に立ちます。
参考文献
Pellegrino F., Coupe C., Marsico E. (2011). A cross-language perspective on speech information rate. Language, 87, 539-558.
doi.org/10.1353/lan.2011.0057✓ 実在と内容を確認済み
Coupé C., Oh Y., Dediu D., Pellegrino F. (2019). Different languages, similar encoding efficiency: Comparable information rates across the human communicative niche. Science Advances, 5.
doi.org/10.1126/sciadv.aaw2594✓ 実在と内容を確認済み
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