英語の常識No.E30
聞くより読む方が、単語を覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
同じ学術的な内容なら、講義を聞くより文章を読むほうが単語は伸びました。ただし、英語力が上がるほど、その差は縮まりました。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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書かれた文字は、ページの上にとどまってくれます。知らない単語があれば、目を止めて考えられます。前の行に戻って読み直すこともできます。
話し言葉は、そうはいきません。聞きのがした単語は、次の文にのみこまれて消えていきます。知らない単語の意味を考えているあいだにも、話はどんどん先へ進みます。
そう考えると、単語を覚えるなら、聞くより読むほうが有利に思えます。2011年、ビダルは、この予想を大がかりな実験で確かめました。
230人、3つのグループ
参加したのは、英語を学ぶ学生230人です。3つのグループに分かれました。1つめのグループは、学術的な英語の文章を3本読みました。2つめのグループは、英語の講義を3本、映像で見て聞きました。3つめのグループは何も読まず、何も聞かずに、単語のテストだけを受けました。
調べたのは、文章や講義の内容に触れたついでに、どれだけ単語が身につくかです。
ビダルは、ほかの条件もあわせて調べています。単語が何回出てくるか、どんな種類の単語か。文章や講義の中で意味がどう説明されているか。単語の形から意味が推測できるか、などです。
読むほうが伸びた、けれど
結果は、予想どおりでした。英語力で分けた4つのレベルのどれでも、読んだグループのほうが、聞いたグループより単語が伸びていました。1か月後のテストでも、たいていは読んだグループのほうが、単語をよく覚えていました。
ところが、細かく見ると、別のこともわかりました。英語力が高いグループほど、読むことと聞くことの差は小さくなっていたのです。そして、いちばん英語力の高い学生たちでは、1か月後のテストで、読んだ場合と聞いた場合の差がはっきりしなくなっていました。
聞いて覚えられるようになるまで
なぜ、英語力が高くなると差が縮むのでしょうか。この研究がその理由まで確かめたわけではありませんが、ひとつの考え方があります。
英語力がまだ低いうちは、聞くときに、音を聞き取って単語に分けるだけで頭がいっぱいになります。知らない単語に気づいて、意味を考えるゆとりはあまりありません。英語力が上がって聞き取りが楽になると、そのぶんのゆとりを、新しい単語に向けられるようになる、というものです。
つまり、「聞くより読むほうが単語を覚えやすい」という話は、多くの学習者には当てはまります。けれども、英語力がとても高い人では、その差がはっきりしなくなっていました。判定が「半分ホント」なのは、このためです。
いまの自分に合わせて
原田英語のおすすめは、英語力の段階で、読むと聞くの役割を変えることです。新しい単語を増やしたい段階では、まず読む。聞く練習では、すでに知っている単語を、耳で聞いてもわかるようにすることをめざします。英語力が上がってきたら、講義や英語の番組も、新しい単語を拾う場所に加えていきます。
読むか、聞くか。単語を覚える近道は、いまの自分の英語力によって変わります。
参考文献
Vidal K. (2011). A Comparison of the Effects of Reading and Listening on Incidental Vocabulary Acquisition. Language Learning, 61, 219-258.
doi.org/10.1111/j.1467-9922.2010.00593.x✓ 実在と内容を確認済み
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