英語の常識No.E29
音声を聞きながら読むと、単語の定着率が大きく上がるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
読む、聞きながら読む、聞くだけ。どの方法でも単語は学べましたが、3か月後まで残ったのはごくわずかでした。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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同じ英語のお話を、3通りの方法で味わうとします。目で読む。音声を聞きながら、文字を目で追う。目を閉じて、音声だけを聞く。
まん中の「聞きながら読む」は、聞き読みとも呼ばれ、音声つきの多読の本でよく勧められる方法です。耳と目の両方を使うのだから、単語もよく残りそうに思えます。では、3つの方法で、新しい単語の残り方はどれだけ違うのでしょうか。
28語のゆくえ
2008年、ブラウン、ウェアリング、ドンカウブアの3人は、この3つの方法を比べました。ウェアリングは、やさしい本を1冊読ませる実験で、新しい単語がほとんど残らないことを示した研究者でもあります。
3人は、お話の中から28語ずつ、3組の単語を選びました。どの組も、お話の中によく出てくる単語から、あまり出てこない単語まで、4つの段階に分けてあります。テストは2種類で、読んだり聞いたりした直後、1週間後、3か月後に行いました。
3か月後に残ったもの
新しい単語は、3つのどの方法でも、ついでに身につくことがありました。けれども、ほとんどの単語は身につきませんでした。
お話の中によく出てくる単語ほど、覚えられやすく、忘れにくい傾向がありました。この点は、本を1冊読ませた実験と同じです。
3か月後、ヒントなしで意味を思い出すテストの結果は、こうでした。読んだ場合も、聞きながら読んだ場合も、意味を覚えていたのは平均で28語中1語ほど。聞くだけの場合は、0語でした。
文字があるか、ないか
この数字から、2つのことが読み取れます。
ひとつは、聞くだけに比べれば、文字のある2つの方法のほうが単語が残ったことです。耳だけで知らない単語をとらえるのは、思った以上に難しいようです。
もうひとつは、3か月後の数字で見るかぎり、聞きながら読んでも、読むだけと同じだったことです。耳と目を両方使ったからといって、単語の残り方が大きく上がったわけではありませんでした。「聞き読みで単語の定着率が大きく上がる」という話が半分しか当たっていないのは、このためです。
聞き読みの使いどころ
とはいえ、聞き読みが損な方法というわけではありません。読むのと同じくらい単語が残り、そのうえ、英語の音と文字を同時に浴びることができます。
原田英語のおすすめは、聞き読みを、新しい単語を増やす方法としてではなく、知っている単語の音と文字を結びつける練習として使うことです。新しい単語は、単語帳などで意識して覚え、日をあけて復習します。そうして覚えた単語に聞き読みで出会い直せば、目で見てわかる単語が、耳で聞いてもわかる単語になっていきます。
耳と目を両方使えば何でも覚えられる、というわけにはいきません。それでも、組み合わせ方しだいで、聞き読みはしっかり役に立ちます。
参考文献
Brown R., Waring R., Donkaewbua S. (2008). Incidental vocabulary acquisition from reading, reading-while-listening, and listening to stories. Reading in a Foreign Language, 20, 136-163.
doi.org/10.64152/10125/66816✓ 実在と内容を確認済み
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