英語の常識No.E20
単語は文脈で何回も出会えば、自然と覚えられるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
出会う回数が増えるほど、単語の知識は伸びます。ただし10回出会っても、完全に知るには足りないかもしれません。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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英語の文章を読んでいて、見たことのない単語が出てきたとします。前後の文から、なんとなく意味の見当がつく。しばらく読むと、また同じ単語が出てくる。3回目には、もう辞書を引かなくても読めるような気がしてきます。
では、その単語を「知っている」と言えるのは、何回目からなのでしょうか。2007年、ウェッブは、日本人の英語学習者121人を集めて、この問いを確かめました。
知らない単語を、わざと作る
この種の実験には、やっかいな問題があります。テストに出す単語を、参加者がもともと知っているかもしれないことです。そこでウェッブは、本物の英文の中で、よく使われる単語を、意味のない作り物の単語に置きかえました。これなら、だれにとっても初めて見る単語になります。
参加者は、その作り物の単語に、文章の中で1回、3回、7回、10回のどれかの回数だけ出会いました。そのあと、10種類のテストで、単語の知識を細かく測りました。つづり、意味と形の結びつき、文法的なはたらき、文の中での使われ方、ほかの単語との連想などです。
回数が増えるたびに、何かが伸びる
結果は、出会う回数が増えるたびに、少なくともひとつの面で知識が伸びていた、というものでした。10回出会うと、かなりの学習が起こりうることもわかりました。それでもウェッブは、単語を完全に知るには、10回より多い出会いが必要かもしれない、と書いています。
単語を知るというのは、ひとつのことではありません。意味がわかっても、つづりが書けるとは限りません。つづりが書けても、文の中で正しく使えるとは限りません。出会うたびに、そうした知識のすき間が少しずつ埋まっていく、と考えると、この結果がわかりやすくなります。
回数だけでは決まらない
2019年、ウチハラ、ウェッブ、ヤナギサワの3人は、26の研究、のべ1,918人分をまとめて分析しました。どれも、出会う回数と単語の学習の関係を調べた研究です。回数と学習の結びつきは、相関係数で0.34。中くらいの強さでした。
相関係数は、0なら関係なし、1に近いほど強い関係を表します。0.34は、回数が増えれば覚えやすくなる傾向ははっきりあるものの、回数だけですべてが決まるわけではない、という強さです。
結びつきの強さは、いくつかの条件で変わっていました。学習者の年齢や、もともとの語彙力。出会いと出会いのあいだに間隔があるか。絵などの目に見える手がかりがあるか。学習者が内容にどれだけ入り込んでいるか、などです。
出会いを、自分でつくる
自然に10回出会うのを待つのは、気の長い話です。原田英語のおすすめは、読んでいて気になった単語をメモし、日をあけて見直すことです。そのうえで同じテーマの文章を続けて読めば、同じ単語にまた出会いやすくなります。
単語は、1回で覚えるものではありません。出会うたびに、知っている部分が少しずつ増えていくものです。
参考文献
Webb S. (2007). The Effects of Repetition on Vocabulary Knowledge. Applied Linguistics, 28, 46-65.
doi.org/10.1093/applin/aml048✓ 実在と内容を確認済み
Uchihara T., Webb S., Yanagisawa A. (2019). The Effects of Repetition on Incidental Vocabulary Learning: A Meta‐Analysis of Correlational Studies. Language Learning, 69, 559-599.
doi.org/10.1111/lang.12343✓ 実在と内容を確認済み
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