英語の常識No.E21

単語帳で暗記しても、使える単語にはならないって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:10文献 2件

「単語帳で暗記しても、使える単語にはならない」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

単語カードや単語リストでの学習には、はっきりした効果があります。忘れる分は、復習と、読む・聞くで補えば大丈夫です。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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「単語帳で覚えた単語なんて、実際には使えないよ」。英語を勉強していると、一度はこんな言葉を耳にするのではないでしょうか。単語帳をめくる手が、ふと止まりそうになる言葉です。

では、単語帳やカードで覚えた単語は、本当に「使えない」のでしょうか。調べてみると、話はかなり違っていました。

4つの覚え方を、まとめて採点する

2020年、ウェッブ、ヤナギサワ、ウチハラの3人は、単語そのものに集中する勉強法の効果を、まとめて分析しました。対象は、研究でよく調べられてきた4つです。単語カード、単語リスト、書いて覚える練習、そして穴埋め問題。22の研究から集めた100の結果を、ひとつにまとめました。

テストは2種類です。英語を見て意味を答えるテストと、意味を見て英語のつづりを答えるテストです。

6割覚えて、時間とともに減る

学習の直後、意味のテストでは平均60.1%、つづりのテストでは58.5%の単語が身についていました。学んだ単語の、およそ6割です。

ところが、時間をおいたテストでは、意味が39.4%、つづりが25.1%に下がっていました。つづりのほうが、落ち方が大きかったのです。研究者たちは、単語に集中して学んでも、覚えられるとは限らない、と書いています。

勉強法による差も大きく、直後のテストで18.4%から77.0%までの幅がありました。学習者がどこで学んでいるかや、英語から日本語へ、日本語から英語へという覚える向きも、結果を左右していました。

別の記事で紹介したように、やさしい本を1冊読んだ実験では、3か月後に意味を覚えていた新しい単語は、25語中1語ほどでした。テストも期間も違うので単純には比べられませんが、意識して覚えることの手ごたえは、数字にはっきり出ています。

頭の中の辞書に入るのか

それでも、「テストで答えられるだけで、使える単語にはなっていない」という疑いは残ります。2011年、エルゴートは、この点を別の角度から確かめました。

学習者に、48個の作り物の単語を、意識して覚えてもらいます。そのうえで調べたのは、テストの点ではなく、頭の中での処理の速さとつながりです。画面に出た文字の並びが単語かどうかを、すばやく判断してもらう課題を使いました。直前に別の単語を一瞬だけ見せて、その影響を測る工夫も加えています。

結果、覚えた作り物の単語は、本物の単語と同じような反応を引き起こしていました。意味のつながった単語の判断を速めることもありました。処理の自動化の度合いは、意味のない文字の並びより高く、あまり使われない本物の英単語よりも高いほどでした。エルゴートは、意識して覚えることで、単語の知識の中身と働きの両方が身につき始める、とまとめています。

覚えたら、英文の中で会い直す

もちろん、単語帳だけで、その単語の使われ方がすべてわかるわけではありません。時間がたてば、覚えた単語の多くは抜けていきます。

原田英語のおすすめは、単語帳で覚えた単語に、日をあけて何度か会い直すことです。カードで復習するだけでなく、その単語が出てくる英文を読んだり聞いたりします。英語から日本語、日本語から英語と、両方の向きで練習しておくのもよい方法です。

単語帳は、単語と知り合うための入り口です。知り合った単語に英文の中で何度も会ううちに、使える単語になっていきます。

参考文献

  1. WEBB S., YANAGISAWA A., UCHIHARA T. (2020). How Effective Are Intentional Vocabulary‐Learning Activities? A Meta‐Analysis. The Modern Language Journal, 104, 715-738.

  2. Elgort I. (2011). Deliberate Learning and Vocabulary Acquisition in a Second Language. Language Learning, 61(2), 367-413.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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