数字でわかるNo.N11

単語カードなどで覚えた単語、後で残るのは約4割って、ホント?

判定日 読了 約4分音声 5:21文献 3件

「単語カードなどで覚えた単語、後で残るのは約4割」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

覚えた直後は約60%の単語の意味を言えても、時間がたつと約39%に下がります。残るのは、おおよそ4割です。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)

0:00 / 5:21

60.1%から、39.4%へ。

単語カードや単語リストで覚えた単語の意味を、覚えた直後と、しばらくたってから思い出してもらう。たくさんの研究の平均をとると、数字はこう下がっていきます。

これは、まじめに覚えようとした場合の数字です。あとでテストがあると知ったうえで、単語に集中して覚えています。それでも、時間がたつと、覚えた単語の3分の1ほどが抜け落ちていきます。

4つの覚え方を比べる

2020年、ウェッブ、ヤナギサワ、ウチハラの3人は、外国語の単語を意識して覚える活動の研究を集めて、メタ分析を行いました。対象にしたのは、よく研究されている4つの活動です。単語カード、単語リスト、単語を使って文を書く練習、そして穴埋め問題です。

集まったのは22の研究、100の結果でした。それぞれの研究で、覚えた単語のうち何%を思い出せたかを平均しています。

テストは2種類あります。英単語を見て意味を答える「意味の想起」と、意味を見て英単語を答える「形の想起」です。

覚えた直後のテストでは、意味の想起で60.1%、形の想起で58.5%でした。ところが、時間をおいたテストでは、意味が39.4%、形が25.1%に下がりました。英単語を自分で書いたり言ったりできる単語は、4つに1つしか残らなかったわけです。

研究チームは、単語に集中した活動でも、学習が保証されるとはとても言えない、とまとめています。

活動によって、4倍の差

平均は約60%でも、活動ごとの差はとても大きいものでした。直後のテストで、低いものは18.4%、高いものは77.0%。時間をおいたテストでも、23.9%から73.4%まで開きがありました。

別の研究者がこのメタ分析を紹介した文章によると、単語カードと単語リストは比較的大きな効果があり、文を書く練習と穴埋めは比較的小さな効果でした。また、このメタ分析は、1日で終わる学習を調べた研究を集めたものです。何日もかけてくり返し復習した場合の数字ではありません。

さらに、どこで学んでいるか、英語から母語へ・母語から英語へのどちらの向きで覚えるかによっても、結果は変わっていました。

「もう覚えた」と思った単語を、どうするか

では、覚えた単語を失わないためには、どうすればいいのでしょうか。ヒントになるのが、2008年にカーピキとローディガーが行った実験です。

大学生が、スワヒリ語と英語の単語のペア40組を覚えました。たとえば mashua は boat(ボート)です。覚える時間とテストの時間をくり返し、1度正しく答えられたペアの扱いを、条件によって変えました。

ある条件では、正解したペアをそれ以降のテストから外しました。別の条件では、正解したあとも、テストを続けました。さらに、正解したペアを、覚える時間からもテストからも外してしまう条件もありました。研究チームによると、これは「覚えたら、もう練習しない」という、世間の常識や多くの先生がすすめるやり方そのものです。

1週間後の最終テストで、テストを続けた条件の学生は、約80%のペアを思い出せました。テストから外した条件では、36%と33%でした。正解したあとに何度読み直しても、1週間後の成績はほとんど変わりませんでした。

学生たちは、どの条件でも、1週間後に約50%を思い出せるだろうと予想していました。自分の記憶の残り方を、正しく見積もれていなかったのです。

忘れる前提で、計画を立てる

覚えた単語の多くは、放っておけば消えていきます。怠けているせいではありません。まじめに覚えても、数字はこのように下がるのです。

原田英語のおすすめは、単語カードで「覚えた」と思った単語も、すぐにはカードの束から外さないことです。翌日、数日後、1週間後と、日をあけて自分にテストをくり返しましょう。4割しか残らないのなら、思い出す練習で、残る割合を少しずつ上げていけばいいのです。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
想起練習(思い出す練習)
教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。

用語集をすべて見る →

参考文献

  1. WEBB S., YANAGISAWA A., UCHIHARA T. (2020). How Effective Are Intentional Vocabulary‐Learning Activities? A Meta‐Analysis. The Modern Language Journal, 104, 715-738.

  2. Karpicke J. D., Roediger H. L. (2008). The Critical Importance of Retrieval for Learning. Science, 319(5865), 966-968.

  3. Lei Y., Reynolds B. L. (2022). Learning English vocabulary from word cards: A research synthesis. Frontiers in Psychology, 13, 984211.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

あわせて読みたい関連する常識

20問・約2分あなたの勉強法は、科学的に何点?科学度診断をはじめる → 10問・ランダム出題ウソかホントか、見抜けるか?判定チャレンジに挑戦 →