数字でわかるNo.N11
単語カードなどで覚えた単語、後で残るのは約4割って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
覚えた直後は約60%の単語の意味を言えても、時間がたつと約39%に下がります。残るのは、おおよそ4割です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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60.1%から、39.4%へ。
単語カードや単語リストで覚えた単語の意味を、覚えた直後と、しばらくたってから思い出してもらう。たくさんの研究の平均をとると、数字はこう下がっていきます。
これは、まじめに覚えようとした場合の数字です。あとでテストがあると知ったうえで、単語に集中して覚えています。それでも、時間がたつと、覚えた単語の3分の1ほどが抜け落ちていきます。
4つの覚え方を比べる
2020年、ウェッブ、ヤナギサワ、ウチハラの3人は、外国語の単語を意識して覚える活動の研究を集めて、メタ分析を行いました。対象にしたのは、よく研究されている4つの活動です。単語カード、単語リスト、単語を使って文を書く練習、そして穴埋め問題です。
集まったのは22の研究、100の結果でした。それぞれの研究で、覚えた単語のうち何%を思い出せたかを平均しています。
テストは2種類あります。英単語を見て意味を答える「意味の想起」と、意味を見て英単語を答える「形の想起」です。
覚えた直後のテストでは、意味の想起で60.1%、形の想起で58.5%でした。ところが、時間をおいたテストでは、意味が39.4%、形が25.1%に下がりました。英単語を自分で書いたり言ったりできる単語は、4つに1つしか残らなかったわけです。
研究チームは、単語に集中した活動でも、学習が保証されるとはとても言えない、とまとめています。
活動によって、4倍の差
平均は約60%でも、活動ごとの差はとても大きいものでした。直後のテストで、低いものは18.4%、高いものは77.0%。時間をおいたテストでも、23.9%から73.4%まで開きがありました。
別の研究者がこのメタ分析を紹介した文章によると、単語カードと単語リストは比較的大きな効果があり、文を書く練習と穴埋めは比較的小さな効果でした。また、このメタ分析は、1日で終わる学習を調べた研究を集めたものです。何日もかけてくり返し復習した場合の数字ではありません。
さらに、どこで学んでいるか、英語から母語へ・母語から英語へのどちらの向きで覚えるかによっても、結果は変わっていました。
「もう覚えた」と思った単語を、どうするか
では、覚えた単語を失わないためには、どうすればいいのでしょうか。ヒントになるのが、2008年にカーピキとローディガーが行った実験です。
大学生が、スワヒリ語と英語の単語のペア40組を覚えました。たとえば mashua は boat(ボート)です。覚える時間とテストの時間をくり返し、1度正しく答えられたペアの扱いを、条件によって変えました。
ある条件では、正解したペアをそれ以降のテストから外しました。別の条件では、正解したあとも、テストを続けました。さらに、正解したペアを、覚える時間からもテストからも外してしまう条件もありました。研究チームによると、これは「覚えたら、もう練習しない」という、世間の常識や多くの先生がすすめるやり方そのものです。
1週間後の最終テストで、テストを続けた条件の学生は、約80%のペアを思い出せました。テストから外した条件では、36%と33%でした。正解したあとに何度読み直しても、1週間後の成績はほとんど変わりませんでした。
学生たちは、どの条件でも、1週間後に約50%を思い出せるだろうと予想していました。自分の記憶の残り方を、正しく見積もれていなかったのです。
忘れる前提で、計画を立てる
覚えた単語の多くは、放っておけば消えていきます。怠けているせいではありません。まじめに覚えても、数字はこのように下がるのです。
原田英語のおすすめは、単語カードで「覚えた」と思った単語も、すぐにはカードの束から外さないことです。翌日、数日後、1週間後と、日をあけて自分にテストをくり返しましょう。4割しか残らないのなら、思い出す練習で、残る割合を少しずつ上げていけばいいのです。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 想起練習(思い出す練習)
- 教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。
参考文献
WEBB S., YANAGISAWA A., UCHIHARA T. (2020). How Effective Are Intentional Vocabulary‐Learning Activities? A Meta‐Analysis. The Modern Language Journal, 104, 715-738.
doi.org/10.1111/modl.12671✓ 実在と内容を確認済み
Karpicke J. D., Roediger H. L. (2008). The Critical Importance of Retrieval for Learning. Science, 319(5865), 966-968.
doi.org/10.1126/science.1152408✓ 実在と内容を確認済み
Lei Y., Reynolds B. L. (2022). Learning English vocabulary from word cards: A research synthesis. Frontiers in Psychology, 13, 984211.
doi.org/10.3389/fpsyg.2022.984211✓ 実在と内容を確認済み
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