数字でわかるNo.N12
英語母語話者が日本語を学ぶには、約2200時間かかるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
アメリカ国務省の目安では、日本語は最も難しい「カテゴリー4」で、授業だけで2200時間。フランス語などの3〜4倍です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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アメリカの外交官は、赴任先の言葉を、国務省の語学学校で学びます。この学校が教えている言語は、60にもなります。
その学校が公開している表があります。英語を母語とする人が、それぞれの言語をどのくらいの期間で身につけられるかを、4つのグループに分けた目安です。日本語は、その中でいちばん時間のかかるグループに入っています。
24週から88週まで
いちばん短いのは、英語に近い言語のグループです。スペイン語とフランス語は30週、オランダ語、イタリア語、ポルトガル語、スウェーデン語などは24週。授業時間にすると、552〜690時間です。
次のグループは約36週、828時間。ドイツ語、ハイチ・クレオール語、インドネシア語、マレー語、スワヒリ語がここに入ります。英語と同じ系統の言語であるドイツ語が、スペイン語やフランス語より長くかかるとされているのは、少し意外かもしれません。
3つめのグループは約44週、1012時間です。表では「難しい言語」と呼ばれています。英語とは言葉や文化の違いが大きい言語です。ロシア語、トルコ語、タイ語、ベトナム語、ヒンディー語、ギリシャ語など、40の言語が並んでいます。しかも、このリストはすべてを挙げたものではない、と注意書きがついています。
そして最後のグループが、88週、2200時間。表には「とても難しい言語」とあり、英語を母語とする人にとって特別に難しい言語だと説明されています。入っているのは、アラビア語、中国語(標準語と広東語)、日本語、韓国語の5つだけです。
スペイン語やフランス語の552〜690時間と比べると、日本語の2200時間は3〜4倍にあたります。
ゴールは「仕事で使える」レベル
この時間は、何をめざした数字なのでしょうか。
目標は、ILRという、アメリカ政府の機関で使われている語学力の尺度で、話す力と聞く力をあわせて3に届くことです。ILRの説明では、話す力の3は「一般的な職業上の運用力」とされています。実際的な話題、社会的な話題、仕事の話題について、改まった会話でもくだけた会話でも、ほとんどの場面で効果的に参加できる、という水準です。
ただし同じ説明には、仕事で使える場面は、共通の知識や国際的な決まりごとにかかわる話題にかぎられることが多い、とも書かれています。2200時間をかけて届くのは、ネイティブと同じ力ではなく、仕事の場で通用する力なのです。
勉強の量も相当なものです。典型的な1週間は、授業が23時間、自習が17時間。毎日、仕事のように語学に向き合う生活です。それでも日本語は、88週、つまり1年半以上かかるとされています。
もちろん、これは目安です。国務省も、実際にかかる時間は、学ぶ人の生まれつきの向き不向き、これまでに外国語を学んだ経験、授業を受ける時間などによって変わると書いています。
遠い言葉どうしは、時間がかかる
この表は、英語を母語とする人から見た距離です。日本語を母語とする人が英語を学ぶ時間を測ったものではありません。
ただ、表が日本語を難しいとする理由は、英語との言葉や文化の違いの大きさです。その違いは、日本語の側から英語を見ても、同じように横たわっています。日本人にとっての英語も、英語に近い言語を学ぶヨーロッパの人より、時間がかかると考えるのが自然でしょう。
「なかなか上達しない」は、ふつうのこと
英語の勉強を何年も続けているのに、思うように話せない。そう感じている人は、自分を責める前に、この表を思い出してください。
外交官が毎日授業を受けて、1年半以上かかる距離です。学校の授業と少しの自習だけで、すぐに越えられるものではありません。上達が遅いと感じても、それだけで自分には才能がないと決めつけるのは早すぎます。まず疑うべきは、才能より、かけてきた時間の量です。
原田英語のおすすめは、英語を「何か月で終わらせるもの」ではなく、「何年もかけて積み上げるもの」と考えることです。1日1時間なら、1年で365時間。数字にしてみると、自分がいまどのあたりを歩いているのかが見えてきます。
参考文献
U.S. Department of State. Foreign Language Training (FSI language learning timelines). Accessed 2026-10-22.
www.state.gov/foreign-language-training✓ 実在と内容を確認済み
Interagency Language Roundtable. ILR Skill Level Descriptions for Speaking. Accessed 2026-10-23.
www.govtilr.org/Skills/ILRscale2.htm✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





