数字でわかるNo.N09

単語は文章で10回出会えば、かなり身につくって、ホント?

判定日 読了 約4分音声 4:58文献 2件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

1回、3回、7回、10回と比べると、文章で10回出会った単語には大きな学習効果がありました。ただし、完全に身につけるには10回では足りないようです。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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英語の単語を覚えるのに、何回出会えばいいのか。これを確かめるのは、思ったより難しい問題です。

ふつうの英文で実験すると、読む人がその単語をもともと知っていたのか、文章で覚えたのかが区別できません。それに、単語ごとに出てくる回数もばらばらです。

そこで研究者は、ちょっと変わった手を使います。英文の中の単語を、この世に存在しない「ニセの単語」に置きかえるのです。ニセの単語なら、誰も前から知っているはずがありません。

1回、3回、7回、10回

2007年、ウェッブは、英語を学ぶ日本人の学生121人を対象に、この方法で実験をしました。本物の英文の中で、よく使われる単語をニセの単語に置きかえます。そのうえで、学生がその単語に出会う回数を、1回、3回、7回、10回の4通りに分けました。

単語がどんな文脈で出てくるかも、条件がそろうように調整しました。出会う回数以外の違いで、結果が変わらないようにするためです。

読んだあとは、10種類のテストで、単語の知識を細かく測りました。つづり、ほかの語との結びつき、文法上の働き、文の中での使い方、意味と形の対応などです。

回数が増えるたびに、何かが伸びる

結果は、出会う回数が増えるたびに、少なくともどれか1つの面で知識が伸びていました。1回より3回、3回より7回、7回より10回。回数を重ねるほど、単語の知識が少しずつ厚くなっていったのです。

ウェッブは、文脈の中で未知の単語に10回出会えば、かなりの学習効果が期待できるとまとめています。ただし同時に、単語を完全に知るには、10回より多くのくり返しが必要かもしれないとも書いています。

単語を「知っている」には、いくつもの面があります。意味がわかる、つづりが書ける、どの単語といっしょに使うかわかる、文の中で正しく使える。10回出会っても、そのすべてがそろうとは限らないということです。

3か月後には、ほとんど消えていた

では、出会った単語は、どのくらい長く残るのでしょうか。2003年のウェアリングとタカキの研究は、その厳しい面を見せてくれます。

参加したのは、中級以上の日本人女性15人です。読んだのは、400語レベルに書き直した英語の読み物『小公女』。中の25語のつづりを変えて、知らない単語にしておきました。単語によって、本の中に1回しか出てこないものから、15〜18回出てくるものまであります。

テストは3種類です。その単語を見たことがあるか。選択肢から意味を選べるか。ヒントなしで意味を答えられるか。これを、読んだ直後、1週間後、3か月後に行いました。

すると、多くの単語は覚えられていませんでした。たくさん出てきた単語ほど覚えられやすく、忘れにくい傾向はありました。しかし3か月後に意味を覚えていたのは、25語中、平均で1語ほど。8回未満しか出会わなかった単語は、意味を覚えていたものがありませんでした。

ウェアリングとタカキは、1冊の読み物から残る新しい単語はわずかで、語彙を増やすには、とても多くの量を読む必要があると結論しています。

ただし2人は、読み物の価値を、新しく覚えた単語の数だけで測るべきではないとも書いています。すでに知っている単語の知識を深め、豊かにする働きもあるからです。

「10回」は、ゴールではなく通過点

2つの研究を合わせると、見えてくることがあります。10回は、単語がかなり身につき始める目安です。ウェアリングとタカキの研究でも、8回未満しか出会わなかった単語は、3か月後には何も残っていませんでした。でも、そこで終わりにすると、時間とともに薄れていきます。

原田英語のおすすめは、同じ単語に、ちがう場面で出会い直すことです。単語帳で覚えた単語に、教科書で出会い、英文記事で出会い、ドラマのせりふで出会う。いちいち回数を数えなくてもかまいません。10回を超えて、何度も顔を合わせた単語が、最後まで残る単語です。

参考文献

  1. Webb S. (2007). The Effects of Repetition on Vocabulary Knowledge. Applied Linguistics, 28, 46-65.

  2. Waring R., Takaki M. (2003). At what rate do learners learn and retain new vocabulary from reading a graded reader? Reading in a Foreign Language, 15(2), 130-163.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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