数字でわかるNo.N08
海外のテレビ番組は、映画より簡単って、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
95%の理解に必要な語彙は、映画もテレビも約3000語で同じ。ところが98%になると、テレビは約7000語と、映画より多く必要でした。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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アメリカの刑事ドラマ『ザ・ワイヤー』には、attorney(弁護士)、warrant(令状)、bail(保釈)といった単語がくり返し出てきます。どれも、英語のよく使う単語の上位3000語には入らない単語です。
ドラマは話が身近だから、映画より簡単。そう思われがちですが、単語の数で比べると、話はそう単純ではありません。
88番組、26万語を数える
2009年、ウェッブとロジャーズは、テレビ番組88本の台本を集めて、使われている単語を数えました。合わせて約26万4000語です。番組はアメリカとイギリスに分け、ニュース、ドラマ、コメディ、昔の番組、子ども向け番組、SFといったジャンルに分けました。
同じ2人は、同じ年に318本の映画も調べています。比べるには、ちょうどよい組み合わせです。
目安にしたのは、せりふの95%と98%です。95%なら20語に1語、98%なら50語に1語、知らない単語が出てきます。
結果は次のとおりです。よく使われる3000ワードファミリーに、人名などの固有名詞と、oh のような間投詞やつなぎの言葉を加えます。すると、テレビのせりふの95.45%がわかりました。映画は95.76%でした。95%の線なら、テレビも映画も、ほぼ同じ3000語で届きます。
ところが、98%を目標にすると差が出ます。テレビは7000ワードファミリーで98.27%。映画は6000ワードファミリーで98.15%でした。テレビのほうが、1000語分多く必要だったのです。
ジャンルと回によって、大きく変わる
テレビ番組の数字は、ジャンルによっても大きく変わりました。95%に必要な語彙は2000〜4000語、98%には5000〜9000語と、かなりの幅があります。同じ番組でも、回によってカバー率が大きくばらつきました。
テレビのほうが難しいとも、簡単とも、ひとことでは言えないわけです。
2022年には、シャフリアリとモタメディニアが、14番組・286回分を調べています。一方は『ブレイキング・バッド』や『モダン・ファミリー』のような、台本のあるドラマやコメディです。もう一方は『アメリカズ・ゴット・タレント』のようなリアリティ番組や、トーク番組です。
台本のある番組は、95%に3000語、98%に6000語が必要でした。台本のないリアリティ番組やトーク番組は、95%に2000語、98%に4000語ですみました。その場で話す言葉は、よく使う単語にかたよるようです。
どちらの番組も、よく使う1000語に固有名詞などを足すだけで、せりふの90%に届いていました。研究チームによると、テレビ番組は、2000〜3000語レベルの単語を見ながら覚えるのに向いています。その先の4000〜9000語レベルの単語にも、ある程度の見こみがあるそうです。
同じドラマを見続けると、楽になる
冒頭の『ザ・ワイヤー』は、この研究の中で特別な結果を見せました。1シーズン分を調べると、98%に必要な語彙は5000語まで下がったのです。
理由は、犯罪や裁判にかかわる単語が、何度もくり返し出てくるからでした。jury(陪審)、prosecute(起訴する)、testify(証言する)などです。話題の単語がかたよって多く出てくるので、そこを押さえれば、少ない語彙でも98%に届いたのです。
ウェッブとロジャーズは、テレビを見ても、あまり使われない単語に出会う回数は少ないと報告しています。それでも結論はこうです。よく使う3000語を知っている学習者が、毎日1時間以上テレビを見れば、見ながら自然に覚える語彙はかなりの量になりうる。
原田英語のおすすめは、気に入ったドラマをひとつ決めて、何話も続けて見ることです。同じ登場人物、同じ話題の単語が、くり返し耳に入ってきます。映画を1本ずつ見るより、シリーズを追いかけるほうが、単語の面では楽になっていくはずです。
参考文献
Webb S., Rodgers M. (2009). Vocabulary Demands of Television Programs. Language Learning, 59, 335-366.
doi.org/10.1111/j.1467-9922.2009.00509.x✓ 実在と内容を確認済み
Webb S., Rodgers M. P. H. (2009). The Lexical Coverage of Movies. Applied Linguistics, 30(3), 407-427.
doi.org/10.1093/applin/amp010✓ 実在と内容を確認済み
Shahriari H., Motamedynia M. (2022). Exploring the Vocabulary Makeup of Scripted and Unscripted Television Programs and Their Potential for Incidental Vocabulary Learning. TESL Canada Journal, 39(2).
doi.org/10.18806/tesl.v39.i2/1374✓ 実在と内容を確認済み
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