数字でわかるNo.N07
英語の映画を理解するのに必要な語彙は、約3000語からって、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
よく使う3000語に固有名詞などを加えると、映画のせりふの約95%がわかります。98%には約6000語が必要です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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アニメ映画『シュレック』の主人公は、オーガ(ogre)、つまり鬼のような怪物です。この ogre という単語は、映画の中で20回以上も出てきます。
ところが、英語の単語をよく使われる順に並べると、ogre は1万3000番より後ろです。いっしょに旅をするロバの donkey も、3000番より後ろです。英語を学ぶ人の多くは、この2語を知らないまま映画を見始めることになります。
それでも、映画を楽しむことはできるのでしょうか。そのためには、何語くらい知っていればいいのでしょうか。
318本、601時間分のせりふを数える
2009年、ウェッブとロジャーズは、318本の映画の台本を集めて、使われている単語をすべて数えました。合わせて約284万語、上映時間にすると601時間33分です。
映画は、アメリカ映画とイギリス映画に分けました。さらに、アクション、アニメ、コメディ、ホラー、恋愛、SF、戦争、西部劇など11のジャンルに分けています。
調べたのは、よく使われる単語を何語まで知っていれば、せりふの95%と98%がわかるか、です。95%は20語に1語、98%は50語に1語、知らない単語が出てくる状態です。
3000語で95%、6000語で98%
結果はこうです。よく使われる3000ワードファミリーに、人名などの固有名詞と、oh や um のような間投詞・つなぎの言葉を加えると、95.76%。6000ワードファミリーまで広げると、98.15%でした。ワードファミリーとは、もとの語とその変化形や派生語をまとめて1つと数える単位です。
アメリカ映画もイギリス映画も、3000語で95%に届きました。ただし98%には、アメリカ映画が6000語、イギリス映画が7000語でした。
ジャンルによる差もあります。95%に必要な語彙は3000〜4000語で、それほど大きくは変わりません。一方、98%に必要な語彙は、5000語から1万語まで、大きく開いていました。
映画には、絵がある
95%で映画が楽しめるのかどうか、この研究は確かめていません。ただ、映画には文字だけの文章にはない強みがあります。
言語学者のネーションは、2006年の論文で『シュレック』の単語も数えています。4000語と固有名詞で、せりふの96.70%。30語に1語、知らない単語が出てくる計算です。それでも、英語を母語とする2歳の子どもは夢中になって見ますし、8〜9歳の子は何度も見てせりふを覚えてしまいます。
ネーションは、映画には映像による強い手助けがあるとしています。反対に弱点は、話し言葉なので、聞いたそばから消えていくことです。
『シュレック』のせりふは約1万語で、使われているワードファミリーは約1100。その半分以上は、映画の中で1回しか出てきません。6000番より後ろの単語も134あり、ネーションは、これらが子どもの語彙を増やす材料になるとしています。映画を見ることは、語彙を育てるのにとても役立つかもしれない。それがネーションの見方です。
もうひとつ、映画には映画ごとの単語があります。ネーションが『シュレック』と『トイ・ストーリー』を比べると、5000番より後ろの単語で両方に出てきたものは、8語しかありませんでした。ogre や donkey のように、その映画の中でくり返し出てくる語もあります。早いうちに意味がつかめれば、あとは知っている単語と同じように聞けます。
まず3000語を固めて、字幕を味方に
原田英語のおすすめは、よく使う3000語を固めてから、英語の映画に挑戦することです。最初は英語字幕をつけ、聞き取れなかったところを文字で確かめましょう。
ジャンル選びも大事です。98%に必要な語彙が5000語ですむジャンルもあれば、1万語かかるジャンルもあります。難しいと感じたら、自分の英語力のせいだと決めつけず、ジャンルを変えてみてください。ogre を知らなくても、シュレックが何者かは、画面を見ればわかるはずです。
参考文献
Webb S., Rodgers M. (2009). The Lexical Coverage of Movies. Applied Linguistics, 30, 407-427.
doi.org/10.1093/applin/amp010✓ 実在と内容を確認済み
Nation I. S. P. (2006). How Large a Vocabulary is Needed For Reading and Listening? The Canadian Modern Language Review, 63(1), 59-82.
doi.org/10.3138/cmlr.63.1.59✓ 実在と内容を確認済み
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