数字でわかるNo.N05

英語の本を読むには8000〜9000語、会話なら6000〜7000語が必要って、ホント?

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判定:ホント

「知らない単語が50語に1語」まで減らすには、小説や新聞で8000〜9000語、会話で6000〜7000語。研究の推定どおりです。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を、辞書なしで読みたいとします。知らない単語が50語に1語くらいになるまで語彙を増やすと、必要な数は約8000語です。

ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』なら、約7000語で同じ状態になります。この小説は主な登場人物が4人しかいないので、人名などの固有名詞がとても少ないのです。

こうした数字を、英語の本や会話について、ひとつひとつ出していった研究があります。2006年に発表された、ニュージーランドの言語学者ネーションの論文です。

1000語ずつ、14本のものさし

ネーションはまず、イギリス英語の1億語分の文章と会話を集めたデータベースを使いました。そこから、よく使われる順に1000語ずつ区切った単語リストを14本作りました。数える単位は「ワードファミリー」です。develop、developed、development のように、もとの語と、その変化形や派生語をまとめて1つと数えます。

このデータベースは、9割が書き言葉です。そのため、goodbye や pal(相棒)のように会話ではごくふつうの語が、4番目の1000語のリストに入ってしまうというクセもありました。ネーション自身が、論文の中でこの弱点を書いています。

次に、このものさしを、いろいろな英文に当ててみました。各リストまでの単語を知っていれば、その文章の何%がわかるか、を調べるのです。目標は98%。知らない単語が50語に1語の状態で、辞書なしで読むにはこれくらいが必要だという、フーとネーションの2000年の研究にもとづく基準です。

小説も新聞も、8000〜9000語

調べた小説は、『グレート・ギャツビー』『ねじの回転』『チャタレイ夫人の恋人』など5作です。まとめて計算すると、よく使う2000語で87.83%。4000語と固有名詞で94.8%。9000語と固有名詞で98.24%でした。

ネーションの結論は、小説を読むには8000〜9000語が必要で、それでも50語に1語は見慣れない単語が出てくる、というものでした。

新聞も、ほぼ同じでした。4000語と固有名詞で約95%、98%に届くには少なくとも8000語と固有名詞が必要です。新聞は人名や地名が多く、固有名詞だけで文章の4.55〜6.12%を占めていました。

会話は少し楽。でも、聞き流せない

話し言葉は、ニュージーランドの会話データから2種類を調べました。ひとつはラジオの視聴者参加番組やインタビュー、もうひとつは家族や友人どうしの会話です。

結果は、3000語と固有名詞で95%を超え、98%には6000〜7000語が必要でした。話し言葉は、よく使う単語にかたよる分だけ、書き言葉より少ない語彙ですみます。

ただし、ネーションは注意も書いています。話し言葉は、聞いたそばから消えていきます。読み返せない分、98%より高いカバー率が必要になるかもしれません。1分間に150語の速さで話されると、95%では1分間に7語、知らない単語が飛んでくる計算です。

学習者向けの本なら、3000語で読める

一方で、学習者向けにやさしく書き直した本は、まったく違います。オックスフォード大学出版局のシリーズに、1000語の範囲で書き直された『ドリアン・グレイの肖像』があります。これを調べると、3000語と固有名詞で98.86%に達しました。

8000語と3000語。この差が、原書と学習者向けの本の差です。ネーションによると、英語で大学院の学位に取り組む、学歴の高い非ネイティブの人たちの語彙は、8000〜9000語ほどでした。原書を辞書なしで読むのは、そのくらいの段階です。

原田英語のおすすめは、受験で数千語を覚えたら、まず学習者向けの本で「辞書なしで読める」感覚を味わうことです。そこから少しずつ語彙を増やして、いつか『グレート・ギャツビー』へ。受験の単語帳は、ゴールではなく入り口です。

この記事に出てくる用語
ワードファミリー
use・used・useful のように、もとが同じ単語をひとまとまりとして数える数え方。

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参考文献

  1. Nation I. (2006). How Large a Vocabulary is Needed For Reading and Listening?. The Canadian Modern Language Review, 63, 59-82.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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