数字でわかるNo.N02
教養ある大人のネイティブの語彙は、約1万7000語(基本語)って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
数え方を「基本語」にそろえると、約1万7000語。1日に2〜3語ずつ増えていくペースにあたります。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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分厚い英語の辞書を1ページ目から順にめくって、知っている単語に印をつけていく。英語のネイティブがそれを最後までやったら、印はいくつになるでしょうか。
使う辞書が、1961年に出たアメリカの大辞典『ウェブスター第3版新国際辞典』だとしましょう。序文には、45万語以上を収めていると書かれています。
辞書から単語を抜き出してテストし、全体の語彙を推定する。この方法は昔からありましたが、研究によって答えが大きくばらつきました。1990年、ゴールデン、ネーション、リードの3人は、その原因を3つの問いに整理しました。何を1語と数えるか。どの単語をテストするか。どうやってテストするか。
3人は、ひとつずつ答えを出していきました。
45万語が、5万4000語になるまで
最初の問いは「何を1語と数えるか」です。3人はまず、別の研究の数え方を借りて、辞書の項目を約26万7000とみなしました。序文の45万語から、ぐっと減ります。
次に、辞書から間隔をあけて項目を抜き出し、5つの種類に分けました。たとえば write は「基本語」です。rewrite は、部品の意味から全体がわかるので「派生語」。Bible のように大文字で始まる語は「固有の語」。writing desk のように2語以上でできた語は「複合語」。記号や略語、古い語、方言などは「その他」に入ります。さらに、つづりが同じで別の項目として載っている語も、二重に数えないように除きました。
こうして見積もると、辞書全体の基本語は約5万4000でした。派生語は約6万4000、複合語は約6万7000、固有の語は約1万9000です。基本語は、辞書の項目の2割ほどにすぎません。派生語は、基本語を知っていれば少しの手間で理解できます。だから、数えるのは基本語だけで十分だと考えたのです。
50語のテストを5回
どの単語をテストするかも、慎重に選びました。基本語の約1%にあたる単語を辞書から規則的に抜き出し、よく使われる単語が多すぎも少なすぎもしないように調整します。1961年より後に増えた新しい単語も、別の補遺の本から少し足しました。テストはニュージーランドで行うので、その国でよく使われる単語は、リストの前のほうへ移しました。
そこから、ネイティブが知っていそうな250語を、50語ずつ5つのテストに分けました。答え方は、それぞれの単語を知っているかどうかを示すだけです。4つの選択肢から意味を選ぶような問題ではなく、自分で判断して答える形式でした。
テストを受けたのは、ニュージーランドの22歳以上の大学卒業者20人でした。推定された語彙は、少ない人で1万3200、多い人で2万700。平均は1万7200の基本語でした。
3人は、それまで「控えめすぎる」と思われていた推定のほうが、実際にはいちばん正確らしいと結論しています。そして、この数は1日に2〜3語ずつ増えていくペースにあたる、と計算しました。
人数は20人と少なく、全員が大学を出た人です。それでも、数え方をきちんと決めてから数えた点で、のちの研究でもよく引かれる数字になりました。
日本人の上級者は、どれくらいか
3年後の1993年、神戸の流通科学大学の研究者が、このテストを日本人に試しています。英語力がかなり高い日本人の大人21人に受けてもらったところ、結果は4900から1万2100。平均は7770でした。
英語を使いこなす日本人でも、ネイティブの平均の半分ほど。この差を見て、がっかりする必要はありません。ネイティブの1万7000語も、子どものころから毎日2〜3語ずつ、長い年月をかけて積み上がった数です。
基本語を1つ覚えると、仲間がついてくる
この研究の数え方には、学習のヒントもあります。基本語を1つ覚えれば、派生語の多くは少ない手間で理解できます。write を知っていれば、rewrite は初めて見ても意味の見当がつきます。
原田英語のおすすめは、新しい単語を覚えたら、辞書で同じ仲間の語をざっと眺めておくことです。1日2〜3語なら、通学の電車の中でも増やせます。ネイティブと同じペースで、こつこつ数を重ねていきましょう。
参考文献
GOULDEN R., NATION P., READ J. (1990). How Large Can a Receptive Vocabulary Be?. Applied Linguistics, 11, 341-363.
doi.org/10.1093/applin/11.4.341✓ 実在と内容を確認済み
Izawa H. (1993). The English Vocabulary of 21 Japanese Adults on a High Proficiency Level. JALT Journal, 15(1), 63-.
jalt-publications.org/jj/articles/2821-english-vocabulary-21-japanese-adults-high-proficiency-level✓ 実在と内容を確認済み
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