英語の常識No.E39

女性は男性よりずっとおしゃべりって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:56文献 3件

「女性は男性よりずっとおしゃべり」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

録音機で数えると、1日に話す語数は男女とも約1万6000語でした。差は統計的に意味のないほどの小ささです。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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「女性は1日に約2万語を話すが、男性は約7000語しか話さない」。アメリカの精神科医ブリゼンディーンの本『The Female Brain』の初版に書かれ、広く知られるようになった数字です。3倍近い差です。うなずいた人も多かったのではないでしょうか。

では、この数字は誰がどうやって数えたのでしょう。それを本気で確かめたのが、アメリカの心理学者メールらでした。

身につけた録音機が、1日を数える

メールらが使ったのは、電子的に作動する小さな録音機です。参加者はこれを身につけて、ふだんどおりに暮らします。録音機は周りの音をときどき自動で短く録音し、その中に入った会話を研究者が書き起こします。録音された語数から、1日に話した語数全体を推定するしくみです。

調べたのは、アメリカとメキシコの大学生、合わせて396人。データは6年ほどの間に行われた、いくつかの研究から集めたものでした。1人あたり数日分の暮らしの音が、こうして記録されました。

差は、500語あまり

2007年、結果は科学誌『サイエンス』に載りました。起きている間に話した語数の平均は、女性が1万6215語、男性が1万5669語でした。

差は500語あまりで、統計的に意味のある差ではありませんでした。2万語対7000語という話とは、まるで違います。論文の結論は短く、女性も男性も1日に約1万6000語を話していた、というものでした。

では、2万語と7000語はどこから来たのでしょうか。当時のABCニュースによると、ブリゼンディーン自身が、この数字は信頼できない又聞きの資料にもとづいていたと気づき、出版社に削除を頼んでいました。数字は、本から消えたあとも、人の口から口へと伝わり続けたことになります。

平均より大きかったもの

男女の平均の差より、ずっと大きかったのは、個人の差です。大学の発表によると、最もよく話した人と最も話さなかった人の差は、1日に約4万5000語ありました。最もよく話した男性3人のうち1人は、1日に約4万7000語を話していました。一方で、最も無口な男性は、500語を少しこえる程度でした。

おしゃべりかどうかは、性別より、人による違いのほうがずっと大きかったのです。

ただし、この研究の参加者は大学生だけです。メール自身も、対象が大学生にかたよっている点を気にしていたと、大学の発表は伝えています。年齢や仕事が違えば、結果が変わる可能性は残ります。

「よく聞く数字」を疑う

この話は、英語の勉強にもそのまま当てはまります。「日本人はLとRが一生聞き分けられない」「英語は聞き流すだけで話せる」。みんなが知っている話ほど、誰がどう確かめたのかが忘れられがちです。

原田英語のおすすめは、勉強法の「常識」に出会ったら、一度だけ立ち止まって「それ、何人を調べたの?」と聞いてみることです。答えが見つからない話は、2万語と7000語のように、数えてみたら消えてしまうかもしれません。

参考文献

  1. Mehl M., Vazire S., Ramírez-Esparza N., Slatcher R., Pennebaker J. (2007). Are Women Really More Talkative Than Men?. Science, 317, 82-82.

  2. University of Arizona (2007). Stereotype About Female Talkativeness Unfounded, Researchers Report. ScienceDaily, July 6, 2007 (press release).

  3. ABC News (2007). Study: Women Don't Talk More Than Men.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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