英語の常識No.E39
女性は男性よりずっとおしゃべりって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
録音機で数えると、1日に話す語数は男女とも約1万6000語でした。差は統計的に意味のないほどの小ささです。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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「女性は1日に約2万語を話すが、男性は約7000語しか話さない」。アメリカの精神科医ブリゼンディーンの本『The Female Brain』の初版に書かれ、広く知られるようになった数字です。3倍近い差です。うなずいた人も多かったのではないでしょうか。
では、この数字は誰がどうやって数えたのでしょう。それを本気で確かめたのが、アメリカの心理学者メールらでした。
身につけた録音機が、1日を数える
メールらが使ったのは、電子的に作動する小さな録音機です。参加者はこれを身につけて、ふだんどおりに暮らします。録音機は周りの音をときどき自動で短く録音し、その中に入った会話を研究者が書き起こします。録音された語数から、1日に話した語数全体を推定するしくみです。
調べたのは、アメリカとメキシコの大学生、合わせて396人。データは6年ほどの間に行われた、いくつかの研究から集めたものでした。1人あたり数日分の暮らしの音が、こうして記録されました。
差は、500語あまり
2007年、結果は科学誌『サイエンス』に載りました。起きている間に話した語数の平均は、女性が1万6215語、男性が1万5669語でした。
差は500語あまりで、統計的に意味のある差ではありませんでした。2万語対7000語という話とは、まるで違います。論文の結論は短く、女性も男性も1日に約1万6000語を話していた、というものでした。
では、2万語と7000語はどこから来たのでしょうか。当時のABCニュースによると、ブリゼンディーン自身が、この数字は信頼できない又聞きの資料にもとづいていたと気づき、出版社に削除を頼んでいました。数字は、本から消えたあとも、人の口から口へと伝わり続けたことになります。
平均より大きかったもの
男女の平均の差より、ずっと大きかったのは、個人の差です。大学の発表によると、最もよく話した人と最も話さなかった人の差は、1日に約4万5000語ありました。最もよく話した男性3人のうち1人は、1日に約4万7000語を話していました。一方で、最も無口な男性は、500語を少しこえる程度でした。
おしゃべりかどうかは、性別より、人による違いのほうがずっと大きかったのです。
ただし、この研究の参加者は大学生だけです。メール自身も、対象が大学生にかたよっている点を気にしていたと、大学の発表は伝えています。年齢や仕事が違えば、結果が変わる可能性は残ります。
「よく聞く数字」を疑う
この話は、英語の勉強にもそのまま当てはまります。「日本人はLとRが一生聞き分けられない」「英語は聞き流すだけで話せる」。みんなが知っている話ほど、誰がどう確かめたのかが忘れられがちです。
原田英語のおすすめは、勉強法の「常識」に出会ったら、一度だけ立ち止まって「それ、何人を調べたの?」と聞いてみることです。答えが見つからない話は、2万語と7000語のように、数えてみたら消えてしまうかもしれません。
参考文献
Mehl M., Vazire S., Ramírez-Esparza N., Slatcher R., Pennebaker J. (2007). Are Women Really More Talkative Than Men?. Science, 317, 82-82.
doi.org/10.1126/science.1139940✓ 実在と内容を確認済み
University of Arizona (2007). Stereotype About Female Talkativeness Unfounded, Researchers Report. ScienceDaily, July 6, 2007 (press release).
www.sciencedaily.com/releases/2007/07/070705152953.htm✓ 実在と内容を確認済み
ABC News (2007). Study: Women Don't Talk More Than Men.
abcnews.go.com/print?id=3348076✓ 実在と内容を確認済み
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