英語の常識No.E41
洋楽や歌を使うと、英語が覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
歌って覚えるとフレーズが残りやすく、歌を聞くだけでも単語は増えます。ただ、歌だけで話せるようになる証拠はありません。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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小さいころに覚えたアルファベットの歌を、いまでも最後まで歌える人は多いでしょう。メロディーに乗った言葉は、なぜか頭に残ります。では、この力を外国語の勉強に使えるのでしょうか。
ハンガリー語を、歌って覚える
2014年、イギリスのルドケらは、大人60人にハンガリー語の短いフレーズを覚えてもらいました。ハンガリー語は、参加者にとってまったくなじみのない言葉です。
参加者は、くじ引きのように3つのグループに分けられました。どのグループも「聞いて、くり返す」のは同じです。違うのは、くり返し方でした。ふつうに話す、リズムをつけて話す、歌う、の3通りです。学習の時間は15分でした。
いくつかのテストをまとめて見ると、歌ったグループの成績が最もよくなりました。はっきりした差が出たのは、ハンガリー語のフレーズを思い出して、自分で口に出すテストです。ただ覚えているだけでなく、自分の口から出せるかどうかで、歌の効果が見えたのです。
この差は、年齢、性別、気分、音を覚えておく記憶の力、音楽の得意不得意や経験では説明できませんでした。音楽が得意な人だけが得をする、という話ではなかったのです。
1回、3回、5回
2019年、カナダのパヴィアらは、別の角度から歌を調べました。英語の学習者に英語の歌を聞いてもらい、知らない単語がどれだけ身につくかを見たのです。著者たちによると、それまで歌を聞くことで単語がどれだけ増えるかを実験で測った研究は、ほとんどありませんでした。
使ったのは2曲です。同じ歌を1回、3回、5回と、聞く回数を変えました。テストでは、単語の音を聞いてわかるか、意味と結びついているか、決まった語の組み合わせがわかるか、の3つを調べました。
結果、歌を聞くだけでも単語は身につきました。同じ歌を何度も聞くほど伸び、歌の中で同じ単語に多く出会うほど、よく覚えていました。
歌が運ぶもの、運ばないもの
2つの研究から言えるのは、歌は言葉を記憶に運ぶ乗り物になる、ということです。歌うと、決まったフレーズを丸ごと口から出しやすくなります。聞くだけでも、くり返し出てくる単語は身につきます。
ただし、どちらも短い実験です。ルドケらの実験は15分の学習で、身についたのはフレーズを言葉どおりに覚える力でした。覚えたフレーズを場面に合わせて組みかえ、会話で使えるようになったかは、調べていません。歌で英語を「話せるようになる」とまでは言えないのです。
歌を教材にするなら
原田英語のおすすめは、好きな歌を1曲決めて、何度も聞くことです。パヴィアらの結果どおり、回数が効きます。歌詞を見て意味を確かめ、気に入ったフレーズは一緒に歌いましょう。
そのうえで、覚えたフレーズを、自分の言いたいことに当てはめて言いかえてみる。この一手間を足せば、歌は口ずさむだけのものから、話す練習の入り口に変わります。
参考文献
Ludke K., Ferreira F., Overy K. (2014). Singing can facilitate foreign language learning. Memory & Cognition, 42, 41-52.
doi.org/10.3758/s13421-013-0342-5✓ 実在と内容を確認済み
Pavia N., Webb S., Faez F. (2019). Incidental vocabulary learning through listening to songs. Studies in Second Language Acquisition, 41, 745-768.
doi.org/10.1017/S0272263119000020✓ 実在と内容を確認済み
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