英語の常識No.E42
ジェスチャーをつけると、単語を覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
意味に合った身ぶりを添えると、新しい単語が記憶に残りやすくなります。ただ手を動かすだけでは効きません。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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英語を話すアメリカの大学で、日本語の動詞を教える実験がありました。日本人が英単語を覚えるときと、ちょうど逆の立場です。たとえば「飲む」という知らない言葉を聞きながら、コップを口元で傾けるしぐさを見る。それだけで、覚え方は変わるのでしょうか。
1週間後まで残った差
2009年、アメリカのケリーらは、大人に短い時間で、日本語の新しい動詞を覚えてもらいました。単語を手の身ぶりと一緒に見せる場合と、身ぶりなしで見せる場合を比べたのです。
テストは、5分後、2日後、1週間後の3回行いました。最もよく覚えていたのは、言葉と同じ意味を、目に浮かぶような身ぶりで重ねて見せたときでした。言葉で「飲む」と言いながら、飲むしぐさをする。意味が二重に届く形です。
ケリーらは、試しに脳の反応も測っています。3日間の練習のあと、覚えた単語を示したときの脳波を調べました。すると、身ぶりつきで覚えた単語では、記憶を思い出すときに出るとされる反応が大きくなっていました。一方で、「見たことがある」という感じに関わる反応には、差がありませんでした。身ぶりは、なんとなく見覚えがある程度ではなく、しっかり思い出せる記憶を作っていた可能性があります。ただし、著者たち自身、この脳波の実験は予備的なものだとしています。
意味のない動きでは、だめだった
では、手を動かせば何でもいいのでしょうか。2011年、ドイツのマケドニアらが、この点を確かめました。
参加者は、新しい単語を2通りの身ぶりと一緒に覚えます。1つは、意味を表す身ぶり。もう1つは、意味と関係のない身ぶりです。同じ人が両方を体験し、比べました。
意味を表す身ぶりで覚えた単語のほうが、時間がたっても忘れにくくなりました。
その後、脳の働きを画像で調べると、意味を表す身ぶりで覚えた単語では、体の動きを準備する脳の部分が働いていました。意味のない身ぶりで覚えた単語では、頭を切りかえたり、注意を向けたりすることに関わる部分が働いていました。
著者たちは、記憶を助けているのは体を動かすこと自体ではない、と考えています。その単語の意味に合った動きのイメージが、記憶を支えているというのです。
単語に振りつけをする
身ぶりで覚えるには、ひとつ条件があります。動きが、単語の意味を表していることです。jump なら跳ぶまね、throw なら投げるまね、sleep なら手を枕にして首をかしげる。動詞や形のあるものは、身ぶりを作りやすい単語です。
原田英語のおすすめは、身ぶりをつけながら、単語を声に出して言うことです。見るだけ、動くだけにしないで、言葉と動きを同時に出す。ケリーらの実験でも、言葉と身ぶりが同じ意味を運んだときに、記憶がいちばん残りました。
人前でやるのが恥ずかしければ、机の下で手だけ動かしてもかまいません。大事なのは、その動きが単語の意味とつながっていることです。
参考文献
Kelly S., McDevitt T., Esch M. (2009). Brief training with co-speech gesture lends a hand to word learning in a foreign language. Language and Cognitive Processes, 24, 313-334.
doi.org/10.1080/01690960802365567✓ 実在と内容を確認済み
Macedonia M., Müller K., Friederici A. (2011). The impact of iconic gestures on foreign language word learning and its neural substrate. Human Brain Mapping, 32, 982-998.
doi.org/10.1002/hbm.21084✓ 実在と内容を確認済み
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