英語の常識No.E51

英語圏の子どもは、フォニックス(つづりと音のルール)を学ぶと読む力が伸びるって、ホント?

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判定:ホント

英語圏の子どもでは、つづりと音のルールを順序立てて教えると、読む力が伸びることが多くの実験で確かめられています。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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though、through、tough、cough。最後の4文字はどれも ough なのに、読み方はそれぞれ違います。英語のつづりと発音の関係は、英語を母語とする子どもにとっても、すっきりしたものではありません。

それでも、英語のつづりには、かなりの規則性があります。c-a-t で「キャット」、sh は「シュ」。こうした、つづりと音の対応のルールを教える方法を、フォニックスといいます。

38の実験をまとめる

アメリカでは、子どもに読み方をどう教えるかが、長く議論されてきました。国の委員会である「全米読書委員会」は、読み方の指導についての研究を集めて分析しました。2001年、エーリらは、そのうちフォニックスの分析を論文にまとめています。

集めたのは38の実験です。その中から、フォニックスを順序立てて計画的に教えたグループと、そうでないグループを比べた66の組み合わせを分析しました。比べる相手には、フォニックスを体系的には扱わない指導や、文章を丸ごと読む中で読み方を身につけさせる指導なども含まれます。

結果、順序立てたフォニックスは、どの比較相手よりも、読む力をよく伸ばしていました。効果の大きさを示す数値(効果量)は0.41で、著者たちは「中くらい」と評価しています。効果は、指導が終わったあとも続いていました。

伸びたのは、単語を読む力だけではありません。知らない単語を音にする力、文章を読んで理解する力、つづりを書く力にも、効果が見られました。

早く始めるほど

効果は、始める時期によって違いました。早い時期に始めた場合の効果量は0.55で、小学1年生より後に始めた場合の0.27の、約2倍でした。

家庭の経済状況が低い子にも中くらいの子にも効果があり、読むことに困難を抱えた子どもにも役立っていました。少人数のグループやクラス全体で教えても、1対1の指導に比べて効果が落ちることはありませんでした。ただし、知的な面に困難がある子どもを含む、読むのが苦手な子どもたちのグループでは、効果が見られませんでした。

「効果はもっと小さい」という再検証

この分析には、反論も出ました。2003年、カミリらは、委員会の分析の方法を調べ直し、研究をまとめる方法として十分ではなかった、と指摘しました。

カミリらが計算し直すと、フォニックスの効果量は0.24でした。元の0.41より小さいものの、それでも十分に意味のある効果だとしています。同時に、言葉を使う活動を計画的に行うこと(0.29)や、個別指導(0.40)にも効果がありました。そして、フォニックスにこれらを組み合わせると、フォニックスだけの場合の3倍ほどの効果になりうる、と述べています。

カミリらの結論は、フォニックスは読む力の一部を支えるもので、そこばかりを強調しすぎるべきではない、というものでした。

日本で英語を学ぶ人には

注意したいのは、ここで紹介した研究が、英語を母語とする子どもを対象にしていることです。すでに英語を話し、聞いてわかる子どもが、文字の読み方を学ぶ場面の話です。日本で英語を学ぶ人に、同じ効果があるかは、これらの研究からはわかりません。

原田英語のおすすめは、試すなら、つづりと音のルールを、音読とセットで練習することです。ルールを知るだけでなく、実際に声に出して、知っている単語の音とつなげる。カミリらの指摘どおり、フォニックスだけに頼らず、言葉を使う練習と組み合わせましょう。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Ehri L., Nunes S., Stahl S., Willows D. (2001). Systematic Phonics Instruction Helps Students Learn to Read: Evidence from the National Reading Panel's Meta-Analysis. Review of Educational Research, 71, 393-447.

  2. Camilli G., Vargas S., Yurecko M. (2003). Teaching Children to Read: The Fragile Link Between Science & Federal Education Policy. Education Policy Analysis Archives, 11, 15.

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