英語の常識No.E46
単語は絵と一緒に覚えると、日本語訳で覚えるより覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
絵は「覚えた気」にさせやすく、そのままでは訳で覚えるのと差が出ません。自分でテストを入れると、絵が上回りました。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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「絵は、外国語の新しい単語を覚えるのに役立つか? 役立たないと思っている場合に限って」。
2012年にアメリカの心理学者カーペンターとオルソンが発表した論文の題名を、日本語にするとこうなります。ずいぶん、ひねった題名です。けれども、この一文に、研究の結果がそのまま詰まっています。
スワヒリ語を、絵で覚える
カーペンターらは、英語を話す人たちに、アフリカで話されるスワヒリ語の単語を覚えてもらいました。単語を、その物の絵と一緒に見せる場合と、英語の訳と一緒に見せる場合で比べたのです。
絵があれば、単語と物が直接結びつきます。訳を通すより、覚えやすそうに思えます。
ところが、3つの実験で、やり方を変えて確かめても、絵で覚えた単語の成績は、訳で覚えた単語を上回りませんでした。
「これなら思い出せる」の落とし穴
なぜ、絵は効かなかったのでしょうか。カーペンターらは、覚えている途中の参加者に、「あとでこの単語をどのくらい思い出せそうか」を予想してもらいました。
すると、絵と一緒に覚えた単語ほど、思い出せる自信が実際の成績よりも高くなっていました。別の実験では、参加者は、絵と組になった単語のほうが、訳と組になった単語より、わかりやすいと感じていました。
絵は見た瞬間にわかります。そのわかりやすさが、「もう覚えた」という気持ちにつながっていた。その結果、自信を持ちすぎて、絵の助けを生かしきれなかったと考えられます。
自信を取りのぞくと、絵が勝った
そこでカーペンターらは、この自信の持ちすぎを取りのぞく工夫をしました。
1つは、覚える途中で、自分で思い出す練習をさせることです。絵だけを見て、スワヒリ語の単語を思い出そうとすると、思ったほど出てこないことに気づく場合があります。もう1つは、「自信を持ちすぎないように」と、前もって注意しておくことです。
どちらの場合も、結果は逆転しました。絵と一緒に覚えた単語のほうが、訳で覚えた単語より、よく覚えられていたのです。
絵には、記憶を助ける力があります。ただし、その力が生きるのは、絵のわかりやすさに安心しなかったときでした。論文の題名は、このことを言っています。
絵カードの使い方
絵つきの単語カードや、写真つきの単語帳は、見ていて楽しく、わかりやすい教材です。そのわかりやすさこそが、油断のもとになります。
原田英語のおすすめは、絵つきのカードを使うときに、必ず「隠してテスト」をはさむことです。単語の側を手で隠し、絵だけを見て、英語を声に出して言えるか試す。言えなかった単語は、もう一度。見て「わかる」と、自分で「言える」の間には、思っているより大きな差があります。
参考文献
Carpenter S., Olson K. (2012). Are pictures good for learning new vocabulary in a foreign language? Only if you think they are not. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 38, 92-101.
doi.org/10.1037/a0024828✓ 実在と内容を確認済み
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