英語の常識No.E47
わからない単語は、辞書を引かずに意味を推測したほうが記憶に残るって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
推測してから覚えても、先に意味を教わって覚えても、残る量は同じくらい。推測するほうが、時間はかなり多くかかりました。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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She put on her galoshes before going out into the rain.
galoshes を知らなくても、「雨の中に出る前に身につける何か」だと見当がつきます。長靴の一種かな、と思って調べると、靴の上からはくゴムのカバーのことでした。当たらずといえども遠からず。自分で推測した単語は、なんだか忘れない気がします。
「わからない単語は、辞書を引く前に文脈から推測しよう」。英語の授業でよく聞く助言です。推測すれば頭を使うので、記憶に残りやすい。そう考えるのは自然です。では、本当にそうなのでしょうか。
推測、確認、暗記
2003年、オランダのモンドリアは、この問いを実験で確かめました。比べたのは、2つの覚え方です。
1つめは「推測型」です。知らない単語の意味を文脈から推測し、単語リストで答えを確かめ、それから意味を暗記します。2つめは「訳もらい型」です。最初から訳を見せてもらい、すぐに暗記に入ります。
モンドリアは、それぞれの方法に、どれだけ時間がかかったかも記録しました。覚えた量だけでなく、かけた時間あたりの効率も比べるためです。
残った量は同じ、かかった時間は違う
結果、記憶に残った量は、2つの方法でほぼ同じでした。推測したからといって、よく覚えていたわけではなかったのです。
一方で、推測型は、かなり多くの時間がかかっていました。同じ量を覚えるのに時間が余分にかかるなら、効率は悪いことになります。モンドリアは、推測型は効率が悪い、と結論づけています。
いちばん効いたのは、覚える段階
モンドリアは、推測型の3つの段階を、1つずつ取り出しても調べました。推測するだけ、確かめるだけ、暗記するだけでも、それぞれに記憶に残る効果はありました。
その中で、最も効果が大きかったのは暗記でした。推測の効果と、確認の効果は、同じくらいでした。
推測は、ゼロではないけれど、暗記ほどは単語を残さない。単語が記憶に残るかどうかを最も左右していたのは、意味がわかったあとに、しっかり覚えようとする段階でした。
推測は読む力、暗記は単語の力
文脈から推測する力は、もちろん大切です。試験の長文や、辞書を引けない会話の中では、推測しながら先へ進むしかありません。推測の練習は、読む練習として価値があります。
ただ、その単語を覚えたいなら、話は別です。推測して当たった満足感で終わらせず、意味を確かめ、覚える時間をとる。最初から意味を調べてしまっても、残る量は変わりません。浮いた時間は、復習に回せます。
原田英語のおすすめは、2つを分けて考えることです。長文を読むときは、推測しながら止まらずに読む。読み終わったら、覚えたい単語だけを選び、意味を確かめて、自分でテストする。galoshes も、推測しただけでは、来週には忘れているかもしれません。
参考文献
Mondria J. (2003). The effects of inferring, verifying, and memorizing on the retention of L2 word meanings. Studies in Second Language Acquisition, 25, 473-499.
doi.org/10.1017/S0272263103000202✓ 実在と内容を確認済み
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