英語の常識No.E49
新しい単語の意味も、日本語を使わず英語だけで説明すべきって、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
新しい単語の意味は、母語でひと言添えたほうが身につきやすい、という研究があります。英語だけにこだわる必要はありません。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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たとえば英語の授業で、先生が reluctant という単語を、英語だけで説明したとします。説明は「It means not willing to do something.」です。その中の willing がわからなければ、生徒の頭には「?」がもう1つ増えます。日本語で「気が進まない」とひと言いえば、一瞬で終わる話です。
それでも、「英語の授業は英語で」という考えは根強くあります。英語にふれる量を増やすため、学び始めから英語をできるだけ使うように。教育の方針を決める立場の人たちからも、よく出される勧めです。
中国の大学生80人
では、新しい単語の意味を教える場面に限ると、どうなのでしょうか。2012年、ティアンとマカロは、中国の大学1年生80人で確かめました。
学生を英語の力ごとにそろえたうえで、くじ引きのように2つのグループに分けました。英語の音声を聞き取る活動の途中で、先生が新しい単語の説明をします。一方のグループには英語だけで、もう一方には中国語もまぜて説明しました。さらに、単語の説明を特に受けない37人のグループとも比べています。
単語のテストでは、説明を受けた2つのグループが、説明なしのグループを上回りました。ただ聞くだけより、単語に目を向けさせたほうが、よく身につくということです。そして、中国語をまぜた説明のほうが、英語だけの説明よりも効果的である可能性が示されました。著者たちは、これを「最初の証拠」と控えめに表現しています。
英語の力が高い学生なら英語だけでよい、とも考えられます。でも、英語の力の高さによって、どちらの説明が有利かがはっきり変わることはありませんでした。
韓国の小学生と大学生
2013年、リーとマカロは、年齢による違いを調べました。対象は韓国の、英語を習い始めて数年の小学生443人と、英語の力がずっと高い大学生286人です。
先生が新しい単語を、韓国語と結びつけて説明するか、英語だけで説明するかを比べました。すると、小学生でも大学生でも、韓国語と結びつけたほうが、単語の習得と記憶に効果がありました。とくに大きな効果が出たのは、小学生のほうでした。
日本語は「入口」に使う
単語の注釈についての研究でも、似た結果が出ています。2020年、ヤナギサワらは42の研究をまとめて分析しました。それによると、英文を読むときの単語の注釈は、英語で書くより母語で書いたほうが、単語がよく覚えられていました。
英語にたくさんふれることは、もちろん大切です。ただし、ここで紹介した研究が日本語の出番として調べたのは、新しい単語の意味を伝える場面だけです。授業の大部分を日本語にしてよい、という結果ではありません。
原田英語のおすすめは、日本語を単語の「入口」に使うことです。新しい単語の意味は日本語でさっと確かめ、そのあとの例文を読む、聞く、使う練習は、英語でたっぷり行う。入口で迷う時間を減らせば、そのぶん英語にふれる時間が増えます。
参考文献
Tian L., Macaro E. (2012). Comparing the effect of teacher codeswitching with English-only explanations on the vocabulary acquisition of Chinese university students: A Lexical Focus-on-Form study. Language Teaching Research, 16, 367-391.
doi.org/10.1177/1362168812436909✓ 実在と内容を確認済み
Lee J., Macaro E. (2013). Investigating age in the use of L1 or English-only instruction: Vocabulary acquisition by Korean EFL learners. The Modern Language Journal, 97, 887-901.
doi.org/10.1111/j.1540-4781.2013.12044.x✓ 実在と内容を確認済み
Yanagisawa A., Webb S., Uchihara T. (2020). How do different forms of glossing contribute to L2 vocabulary learning from reading? Studies in Second Language Acquisition, 42(2), 411-438.
doi.org/10.1017/s0272263119000688✓ 実在と内容を確認済み
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