数字でわかるNo.N21
学習者の72%が、効果の低い勉強法の方が効いたと感じていたって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
実験では90%の人が「間をあける」方法で得をしていたのに、72%は「まとめて覚える」ほうが効いたと感じていました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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単語カードが100枚あるとします。全部を1つの束にして回すと、1周するのに時間がかかり、2周目に入るころには最初のカードをすっかり忘れています。そこで、10枚ずつの小さな束に分けて、1束ずつ「完璧にしてから次へ」。こうすると、ぐっと覚えている感じがします。
多くの人が自然にやっているこのやり方を、心理学者のコーネルは、実験で確かめました。
1つの大きな束か、4つの小さな束か
2009年、コーネルは、参加者にウェブ上の学習プログラムで単語カードを使ってもらいました。覚えるのは、アメリカの大学院入試に出るような、難しい単語のペアです。
比べたのは、2つのやり方です。1つは、カードを1つの大きな束にして回す方法。もう1つは、同じ枚数を4つの小さな束に分け、1束ずつ別々に学ぶ方法です。
大きな束では、同じカードにもう一度出会うまでに、ほかのカードをたくさんはさみます。つまり、学習と学習のあいだが広くあきます。これを「分散学習」と呼びます。小さな束では、同じカードがすぐにまた回ってきます。学習がぎゅっと詰まるので、こちらは「集中学習」です。
90%が得をして、72%が勘違いした
実験は3回行われました。結果はどれも同じ向きで、1つの大きな束で学んだほうが、テストの成績が良くなりました。テスト前日にまとめて詰め込むやり方と比べても、間をあけて学ぶほうが勝ちました。
実験全体で見ると、分散学習のほうがよく覚えられた人は、参加者の90%にのぼりました。
ところが、本人たちの感じ方は逆でした。最初の学習が終わった時点で、参加者の72%が「小さな束でまとめて学ぶほうが効果的だった」と答えていたのです。
手応えは、あてにならない
なぜ、こんな食い違いが起きるのでしょうか。
小さな束では、さっき見たばかりのカードがすぐに戻ってきます。答えがすっと出てくるので、「もう覚えた」と感じやすくなります。大きな束では、カードが戻ってくるころには少し忘れかけていて、思い出すのに苦労します。その苦労が「うまくいっていない」という感覚につながる、と考えられます。
でも、テストの日に思い出すのは、少し時間がたったあとです。すぐ戻ってくるカードで練習しても、その場面の練習にはなりません。忘れかけたところで思い出す苦労のほうが、本番に近い練習になっているわけです。
この研究は、ウェブ上の学習プログラムで行われたもので、教室や自宅でのふだんの勉強とは条件が違います。それでも、「効いている感じ」と「本当に効いていること」がずれる、という結果は、勉強法を選ぶときの大事な注意になります。
束は大きく、間は広く
原田英語のおすすめは、単語カードを小分けにしないことです。100枚なら100枚の束のまま回します。思い出せないカードが多くて落ち着かないかもしれませんが、それが分散学習の手触りです。
手応えが少ない日でも、記憶には残っているかもしれない。そう思ってめくり続けることが、カード学習ではいちばん大切です。
参考文献
Kornell N. (2009). Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23, 1297-1317.
doi.org/10.1002/acp.1537✓ 実在と内容を確認済み
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