数字でわかるNo.N20
先生たちは、脳に関する神話の約半分を信じていたって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
イギリスとオランダの教師242人に聞くと、脳についての思い込み(神経神話)の49%を正しいと答えていました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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まず、次の5つの文を読んで、正しいと思うものを選んでみてください。
1. 人は、自分に合った学習スタイル(目で見る、耳で聞く、体を動かす)で教わると、よく学べる。 2. 人は、脳の10%しか使っていない。 3. 甘い飲み物やお菓子をとったあと、子どもは集中しにくくなる。 4. 刺激の多い環境で育つと、幼児の脳は良くなる。 5. 水を1日6〜8杯飲まないと、脳が縮む。
いくつ選んだでしょうか。
答えは、5つとも神話
この5つは、2012年にデッカーらが行った調査で、「神経神話」として出された文です。神経神話とは、脳科学の話をもとにしているようで、実際には誤解や言いすぎになっている思い込みのことです。
調査の相手は、イギリスの教師137人と、オランダの教師105人。小学校と中学・高校の先生で、しかも「脳科学を授業に生かしたい」と関心を持っている人たちです。オンラインで32の文を見せ、正しいか、まちがいかを答えてもらいました。32のうち15が神経神話でした。
結果、先生たちは平均で、神経神話の49%を正しいと答えていました。
文ごとに見ると、差はかなり開いています。学習スタイルの文を正しいと答えたのは、イギリスで93%、オランダで96%。「脳の10%」はどちらも5割近く、甘いものの文は5割台でした。刺激の多い環境の文は、イギリスで95%、オランダで56%。水と脳の文は、イギリスで29%、オランダで16%と少数派でした。
脳に詳しい先生ほど、信じていた
一方で、脳についての一般的な知識を問う文には、約70%が正しく答えていました。先生たちが脳について何も知らないわけではありません。
分析を進めると、脳の一般的な知識が多い先生ほど、神経神話も多く信じていました。科学雑誌をよく読む先生は一般的な知識の点数が高かったものの、それで神話から守られていたわけではなかったのです。
デッカーらは、脳科学を教室に生かしたいと熱心な先生ほど、本物の科学と、科学っぽい話とを見分けるのが難しいのではないか、と考えています。知識があるからこそ、もっともらしい話を受け入れる土台ができてしまう、ということかもしれません。
「売られている方法」に気をつける
とくに信じられていたのは、商品として売られている教育プログラムに関わる神話でした。たとえば「短い協調運動で、右脳と左脳のはたらきの統合が良くなる」という文は、イギリスで88%、オランダで82%の先生が正しいと答えています。
この調査は、脳科学に関心のある先生を、限られた地域で集めたものです。すべての先生がそうだとは言えません。それでも、「脳科学に興味がある」ことと「神話に強い」ことは別だ、という結果は覚えておく価値があります。
確かめるのは、読者の仕事でもある
これは先生だけの問題ではありません。テレビやネット、勉強法の本にも、「脳科学によると」という話はあふれています。
原田英語のすすめる確かめ方は、単純です。「脳」という言葉が出てきたら、その話のもとになった論文があるかを探す。あれば、要旨だけでも読んでみる。このサイトの記事も、例外ではありません。
冒頭のクイズで1つでも選んだ人は、平均的な先生と同じスタート地点に立っています。
参考文献
Dekker S., Lee N., Howard-Jones P., Jolles J. (2012). Neuromyths in Education: Prevalence and Predictors of Misconceptions among Teachers. Frontiers in Psychology, 3.
doi.org/10.3389/fpsyg.2012.00429✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





