勉強法の常識No.S19
人は「右脳型」「左脳型」に分かれるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
脳の働きに左右の差はあります。でも、脳全体が右寄り、左寄りというタイプの人がいる証拠は見つかっていません。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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「わたし、右脳型だから、数学は苦手なんだよね」。こんな言葉を、聞いたことはないでしょうか。
右脳型の人は直感的で芸術家肌、左脳型の人は論理的で言葉に強い。性格診断や自己啓発の本などで見かける分け方です。
この考えは、学校の先生のあいだにも広まっています。2012年、デッカーらがイギリスとオランダの先生を調査しました。「右脳と左脳のどちらが優位かで、学ぶ人の違いを説明できる」という文を示したのです。正しいと答えた先生は、イギリスで91%、オランダで86%でした。
では、脳を実際に調べると、どうなるのでしょうか。
左右の差があるのは本当
まず、確かなことから。脳の中には、左右どちらかに偏って働く部分があります。言葉を扱う働きや、目で見た空間を処理する働きがその例です。
問題は、その偏りが、一人の脳の中でまとまっているかどうかです。左寄りの働きがどれも強い「左脳型」の人や、右寄りの働きがどれも強い「右脳型」の人がいるのか。脳の画像を使った研究では、これまではっきりした証拠は出ていませんでした。
1,011人の脳を、7,266の区画に分けて
2013年、ニールセンらは、この問いを大がかりに調べました。使ったのは、研究用に公開されている脳の画像データです。7歳から29歳までの1,011人が、何もせずに安静にしているときに撮影されたものでした。
研究チームは、脳の灰白質と呼ばれる部分を7,266の区画に分けました。そして、区画どうしのつながりの強さが左右でどれだけ違うかを、一人ひとり測りました。
その結果、左に偏ったつながりの中心になる場所が9か所、右に偏ったつながりの中心が11か所見つかりました。左側には、言葉にかかわるブローカ野やウェルニッケ野などが入っていました。右側には、注意をコントロールするネットワークの部分が入っていました。
「右脳型」の人は見つからなかった
では、左に偏ったつながりが強い人は、ほかの左寄りのつながりもまとめて強いのでしょうか。
調べてみると、そうした関係が見られたのは、同じ場所を共有するつながりどうしに限られていました。左右の偏りは、脳のあちこちでばらばらに決まる局所的な性質で、脳全体の性質ではないようでした。研究チームは、脳全体として左脳が強い人、右脳が強い人がいるというデータは得られなかった、とまとめています。
年齢とともに左右の偏りがわずかに強まる傾向はありましたが、男女の違いは見られませんでした。
「型」で自分を決めつけない
この研究が調べたのは、安静にしているときの脳のつながりです。性格や得意科目と直接比べたわけではありません。それでも、「右脳型」「左脳型」という分け方の土台になるはずの、脳全体の偏りは確かめられませんでした。
苦手の理由を脳の型に求めても、勉強のやり方は何も変わりません。「自分は右脳型だから」と思ったら、その言葉は一度しまっておきましょう。かわりに、効果が確かめられた方法を試してみてください。思い出す練習と、日をあけた復習です。
参考文献
Nielsen J., Zielinski B., Ferguson M., Lainhart J., Anderson J. (2013). An Evaluation of the Left-Brain vs. Right-Brain Hypothesis with Resting State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging. PLoS ONE, 8, e71275.
doi.org/10.1371/journal.pone.0071275✓ 実在と内容を確認済み
Dekker S., Lee N., Howard-Jones P., Jolles J. (2012). Neuromyths in Education: Prevalence and Predictors of Misconceptions among Teachers. Frontiers in Psychology, 3, 429.
doi.org/10.3389/fpsyg.2012.00429✓ 実在と内容を確認済み
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