勉強法の常識No.S10
「スラスラできた」と感じる勉強ほど身についているって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
練習中の手ごたえは、身についたかどうかの目安になりにくいものです。少し苦労する勉強のほうが、長く残ることがあります。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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心理学には、ふだんの会話では区別しない2つの言葉を、きっちり分けて使う習慣があります。「学習」と「パフォーマンス」です。
パフォーマンスは、練習しているその場で見える出来ばえのことです。単語テストで何問正解したか、問題を何分で解けたか。学習は、あとまで残る変化のことです。何週間かたっても覚えていて、初めて見る問題にも使える力です。
2015年、ソダーストロムとビョークは、この2つの区別にかかわる研究を幅広く見直しました。2人のまとめは、練習中の出来ばえは、学習が本当に起きたかどうかの目安としては当てにならないことが多い、というものでした。
出来ばえと学習は、ずれる
2人によると、この区別のもとになったのは、何十年も前の動物の研究や、体の動きを覚える研究でした。そこでは、練習中の出来ばえにはっきりした変化が見えなくても、学習は進んでいることがあると示されていました。
最近になって、その反対も確かめられています。練習中の出来ばえが上がっても、学習はあまり進んでいないことがあるのです。それどころか、出来ばえを上げる工夫が、学習には逆の効果を持つ場合さえあります。
結果を見ても、考えは変わらなかった
2008年、コーネルとビョークは、いろいろな画家の絵を見て、それぞれの作風を覚える実験をしました。同じ画家の絵を続けて見る学び方と、ほかの画家の絵と混ぜて見る学び方を比べます。そのあと、初めて見る絵を見せて、どの画家の作品かを当ててもらいました。
成績がよかったのは、混ぜて見た学び方でした。ところが参加者は、続けて見た学び方のほうが効果的だったと評価しました。続けて見ると、同じ画家の特徴がすっと頭に入り、うまく学べている感じがしたようです。
しかも参加者は、自分のテスト結果で反対のことが示されたあとも、続けて見たほうが効果的だったと答えていました。
手ごたえは、それほど強く人の判断を左右します。ソダーストロムとビョークも、人は練習中の出来ばえを、長く残る学習の確かな目安だと思いこみやすい、と指摘しています。
「望ましい困難」を選ぶ
練習中は難しく感じたり、成績が下がったりするけれど、あとまで残る学習を増やす工夫。ビョークたちは、こうした工夫を「望ましい困難」と呼んできました。日をあけて復習する、種類を混ぜて練習する、読み返すかわりに思い出す、などがその例です。
ただし、苦しければ何でもいいわけではありません。説明を読んでもまったく理解できないほど難しい教材は、ただの困難です。少しがんばれば乗り越えられるくらいの負荷が、望ましい困難です。
判定は、あとから下す
では、自分の勉強がうまくいっているかは、どうやって確かめればいいのでしょうか。
原田英語がすすめるのは、判定を数日後に回すことです。勉強した直後の「できた感じ」では決めません。数日たってから、何も見ずに解いてみる。それで解けたら、その勉強法は合っています。
すらすら進んだ日ほど、少し疑ってみてください。手ごたえがなくて不安な日のほうが、あとで効いてくることがあります。
参考文献
Soderstrom N., Bjork R. (2015). Learning Versus Performance. Perspectives on Psychological Science, 10, 176-199.
doi.org/10.1177/1745691615569000✓ 実在と内容を確認済み
Kornell N., Bjork R. (2008). Learning Concepts and Categories. Psychological Science, 19, 585-592.
doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x✓ 実在と内容を確認済み
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