勉強法の常識No.S51
できない人ほど、自分を過大評価しがちって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
いわゆる「ダニング=クルーガー効果」。成績が下位の人ほど、自分の実力を高く見積もる傾向が実験で示されています。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)
0:00 / 4:12
1995年、アメリカのピッツバーグで、ある男が白昼堂々、2つの銀行に押し入りました。変装はしていません。防犯カメラにも、顔がはっきり映っていました。
その夜のニュースで映像が流れると、1時間もたたないうちに男は逮捕されました。警察に映像を見せられた男は、信じられないという顔で、こうつぶやいたといいます。「でも、果汁を塗ったのに」。
男は、顔にレモン汁を塗れば、ビデオカメラに映らなくなると信じていたのです。
レモン汁の男から始まった論文
この事件を書き出しに使ったのが、1999年に発表されたコーネル大学の心理学者クルーガーとダニングの論文です。題名は『未熟で、そのことに気づいていない』。2人が言いたかったのは、こういうことです。何かが苦手な人は、二重の不利を背負っている。まちがった判断をしてしまううえに、その苦手さのせいで、自分がまちがっていることにも気づけない。
論文の中では、チャールズ・ダーウィンの言葉も引かれています。知識よりも無知のほうが、しばしば自信を生む。
12番目の人が、62番目だと思っていた
2人は4つの研究で、この考えを確かめました。
最初の研究のテーマは、ユーモアです。コーネル大学の学生65人に30個のジョークを読んでもらい、それぞれどのくらい面白いかを評価してもらいました。その評価を、プロのコメディアンたちの評価と比べて、「笑いがわかる力」の点数にします。そのうえで学生たちに、自分の力は同じ大学の学生の中でどのくらいの位置だと思うか、答えてもらいました。
成績が下から4分の1に入った学生たちは、実際には100人中で下から12番目くらいの位置でした。ところが本人たちは、自分は下から58番目くらいだと見積もっていました。平均より上だと思っていたのです。
文法や論理のテストでも、同じ傾向が見られました。4つの研究をまとめると、成績が下から4分の1の参加者は、実際には下から12番目くらいでした。それなのに、自分は下から62番目くらいだと考えていました。
反対に、ユーモアのテストで上から4分の1に入った学生たちは、自分の位置を実際より低く見積もっていました。できる人は、自分の力をやや控えめに見る傾向があったのです。
力がつくと、見えてくる
この研究では、もうひとつ大事なことがわかりました。論理の問題の解き方を教えて、できなかった人の力を伸ばすと、その人たちは自分の力の限界に気づけるようになったのです。苦手を見抜く目は、その分野の力そのものから生まれる、というわけです。
なお、著者たち自身も、この結果の一部は統計上のくせで説明できるのではないか、という疑問を論文の中で取り上げ、追加の研究で確かめています。
自分の感覚より、問題を解いた結果を
勉強で言えば、苦手な単元ほど「たぶんわかっている」と感じやすい、ということになります。わかっていないことに気づくための知識そのものが、まだ足りないからです。
ですから、自分の理解度を、自分の感覚だけで判断するのは危険です。原田英語のおすすめは、「わかったつもり」の単元ほど、教科書を閉じて問題を解いてみることです。模試の結果も、自分では見えにくい弱点を映してくれる鏡です。点が悪かったら、それは自分を責める材料ではなく、気づくための材料です。
参考文献
Kruger J., Dunning D. (1999). Unskilled and unaware of it: How difficulties in recognizing one's own incompetence lead to inflated self-assessments.. Journal of Personality and Social Psychology, 77, 1121-1134.
doi.org/10.1037/0022-3514.77.6.1121✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





