勉強法の常識No.S50
フィードバックは多ければ多いほどいいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
フィードバックは学習を大きく左右します。ただ、3分の1以上のケースでかえって成績を下げていたという分析も。量より中身です。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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テストが返ってきたとします。答案の上には、先生の赤ペンで大きく「よくがんばりました!」。もうひとつの答案には、まちがえた問題の横に「公式は合っている。2行目の符号を見直そう」。
どちらも、先生からのフィードバックです。でも、次のテストで点を伸ばしてくれるのは、どちらでしょうか。
3分の1以上が、逆効果だった
フィードバックとは、自分のやったことについて返ってくる情報のことです。点数、丸つけ、先生のコメント、友だちの感想。学習には欠かせないものだと、誰もが考えています。
ところが1996年、心理学者のクルーガーとデニシは、意外な事実を報告しました。フィードバックの効果を調べた研究を集め、607の結果をまとめて分析したところ、平均すると成績は上がっていました。効果量は0.41です。ところが、3分の1を超えるケースでは、フィードバックによってかえって成績が下がっていたのです。
2人によれば、この逆効果は20世紀の初めごろから起きていたのに、ほとんど無視されてきたといいます。そして、フィードバックが「課題」から離れ、「自分自身」に注意を向けさせるものになるほど、効果は小さくなる傾向がありました。
「何を返すか」で、効果は大きく変わる
2007年、教育学者のハッティとティンパーリーは、フィードバックを、学習と成績に強い影響を与えるもののひとつに数えました。ただし、その影響はプラスにもマイナスにもなる、とも書いています。
2人は、効くフィードバックは、3つの問いに答えるものだと考えました。目標はどこか。いまどこまで来ているか。次に何をすればいいか。さらに、フィードバックを4つの段階に分けました。課題そのものについて。取り組み方について。自分の学び方の管理について。そして、本人の人柄についてです。このうち、いちばん効きにくいとされたのが、本人へのほめ言葉です。
2020年には、ハッティ自身も加わった研究チームが、435の研究、6万1,000人を超えるデータを分析し直しました。全体の効果量は0.48。ただし、フィードバックの種類による違いがとても大きく、ひとつの方法としてまとめて扱うことはできない、と結論づけています。
ほうびや罰だけのフィードバックは、効果量0.24。正解かどうかを伝えて直すフィードバックは0.46。そこに、自分の学び方をどう調整するかの情報まで加えたフィードバックは0.99でした。
ほめ言葉だけでは、次の一歩が見えない
冒頭の2つの答案に戻りましょう。「よくがんばりました!」は、うれしい言葉です。でも、どこを直せばいいかは、何も教えてくれません。むしろ注意が「自分はできる人かどうか」に向いてしまい、問題そのものから離れてしまうおそれがあります。
一方、「2行目の符号を見直そう」は、課題について具体的に、次にすべきことを示しています。フィードバックは、多ければいいのではありません。何が返ってくるかがすべてです。
原田英語のおすすめは、自分で自分にフィードバックを返すことです。答え合わせで丸とバツをつけたら、バツの横に「なぜまちがえたか」と「次はどうするか」を1行ずつ書き込む。それだけで、ただの採点が、次の一歩を示すフィードバックに変わります。
参考文献
Hattie J., Timperley H. (2007). The Power of Feedback. Review of Educational Research, 77, 81-112.
doi.org/10.3102/003465430298487✓ 実在と内容を確認済み
Kluger A. N., DeNisi A. (1996). The effects of feedback interventions on performance: A historical review, a meta-analysis, and a preliminary feedback intervention theory. Psychological Bulletin, 119(2), 254-284.
doi.org/10.1037/0033-2909.119.2.254✓ 実在と内容を確認済み
Wisniewski B., Zierer K., Hattie J. (2020). The Power of Feedback Revisited: A Meta-Analysis of Educational Feedback Research. Frontiers in Psychology, 10, 3087.
doi.org/10.3389/fpsyg.2019.03087✓ 実在と内容を確認済み
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