教科別の常識No.K39
美術館や劇場への校外学習は、楽しいだけで勉強にならないって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
行く生徒をくじ引きで決めた実験で、美術館や劇場への校外学習が、考える力や作品の理解を伸ばしました。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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今日からできるやり方
- 行く前に、作品や劇のあらすじを調べておく
- 見ながら「なぜそう感じたか」をメモする
- 帰ったら、感じたことを人に話してみる
校外学習が勉強になるかを確かめるのは、意外に難しいことです。美術館に行った生徒と行かなかった生徒を比べても、もともと芸術が好きな生徒や、恵まれた家庭の生徒が行っていただけかもしれないからです。
いちばん確かなのは、行くか行かないかを、くじ引きで決めることです。そうすれば、2つの組の違いは、行ったかどうかだけになります。アメリカでは、それを実際にやった研究者たちがいます。
新しい美術館と、くじ引き
2014年、ボウエン、グリーン、キシダの3人は、新しく開館した「クリスタル・ブリッジズ・アメリカ美術館」の学校見学の仕組みを利用しました。対象は3811人の生徒。見学に参加するかどうかを、くじ引きで割り当てたのです。
そのあとで、見学に行った生徒と行かなかった生徒に、同じ課題に取り組んでもらいました。初めて見る絵を前にして、その絵を読み解く課題です。
見ていない絵を読み解く
見学に行った生徒は、絵を分析するときの批判的に考える力が、はっきり高くなっていました。美術館で見た絵の知識を答えたのではありません。初めて見る絵に対しても、考える力が働いていたのです。
この効果は、恵まれない家庭の生徒ほど大きくなりました。著者らは、そうした生徒が芸術にふれる機会が減っていることを踏まえ、機会を取り戻し広げることが大切だと述べています。
生の舞台と、同じ話の映画
では、劇場ではどうでしょう。劇を見に行く校外学習は昔から行われてきましたが、その効果をきちんと示した証拠はほとんどありませんでした。
2018年、グリーンらは、2年にわたって5つのくじ引き実験を行いました。学校のグループを、くじ引きで、生の劇を見に行く組と行かない組に分けたのです。一部のグループは、同じ話を映画で見る組に割り当てられました。
生の劇を見た生徒には、いくつもの効果が見られました。自分と違う考えの人を受け入れる心が高まり、相手の立場に立って考える力も高まりました。劇の筋や、劇に出てきた言葉も、よく覚えていました。
一方、同じ話を映画で見た生徒には、こうした効果は見られませんでした。同じ話でも、目の前で人が演じる舞台であることに意味があったようです。劇場に行った生徒は、また劇場に行きたいという気持ちも育っていたようでした。
行く前と、行ったあと
どちらもアメリカでの研究で、ふつうの学力テストの点数を調べたものではありません。それでも、校外学習は楽しいだけの行事ではない、ということを、くじ引きという確かな方法で示しました。
原田英語のおすすめは、行く前に少しだけ準備することです。作品の作者や、劇のあらすじを調べておく。見ながら、なぜそう感じたかを短くメモする。帰ったら、感じたことを誰かに話してみる。楽しいことと学べることは、同じ一日の中で両立します。
参考文献
Bowen D., Greene J., Kisida B. (2014). Learning to Think Critically: A Visual Art Experiment. Educational Researcher, 43, 37-44.
doi.org/10.3102/0013189X13512675✓ 実在と内容を確認済み
Greene J., Erickson H., Watson A., Beck M. (2018). The Play's the Thing: Experimentally Examining the Social and Cognitive Effects of School Field Trips to Live Theater Performances. Educational Researcher, 47, 246-254.
doi.org/10.3102/0013189X18761034✓ 実在と内容を確認済み
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