教科別の常識No.K36
歴史は、年号や用語を暗記する科目だって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
資料を読み比べて考える歴史の授業で、考える力だけでなく、事実の知識や読解力まで伸びたという研究があります。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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論文での効果資料を読み比べる6か月の授業で、考える力・知識・読解力がすべて向上
今日からできるやり方
- 用語を覚えたら「なぜ起きたか」を一文で書く
- 同じ出来事を、教科書と資料集で読み比べる
- 資料を読むときは、誰がいつ書いたかを確かめる
1775年4月、アメリカのレキシントンという町で、イギリス軍と植民地の民兵が撃ち合いました。アメリカ独立戦争の始まりとなった戦いです。教科書なら1行で終わる出来事です。年号と地名を覚えれば、テストには答えられます。
でも、もしこの戦いについて書かれた文書や絵が、何枚も目の前に並べられたらどうでしょう。書いた人も、書かれた時期も、言っていることも少しずつ違う。そこから何が起きたのかを考えるのは、年号を覚えるのとはまったく別の作業です。
歴史学者と高校生に、同じ資料を
1991年、ワインバーグは、まさにこの作業を、プロの歴史学者と高校3年生にやってもらいました。レキシントンの戦いについての文書や絵を順に見せ、考えていることを声に出しながら読んでもらったのです。
「覚える答え」か「考える材料」か
声に出された考えを分析すると、歴史学者と高校生では、証拠の扱い方にはっきりした違いがありました。
ワインバーグは、この違いの一部は、歴史をどういうものと考えているかの違いから来ている、と述べています。教科書に書かれたことを、そのまま覚える答えと見るのか。書いた人や立場を確かめながら、過去を組み立てるための材料と見るのか。
サンフランシスコの6か月
では、学校で歴史学者のような読み方を教えたら、どうなるのでしょうか。2012年、ライスマンは、サンフランシスコの5つの高校で、6か月の授業を行いました。対象は11年生、日本の高校2年生にあたる236人です。都市部の学区で、こうした読み方の授業を長く続けた初めての研究です。
授業は、教科書中心のやり方から大きく変わりました。生徒は、自分の持っている知識を使って、いくつもの資料を問いただし、食いちがう記述をつき合わせて、何が起きたのかを考えます。
6か月後、ふつうの授業を受けた生徒と比べて、4つの点すべてで伸びがはっきりしていました。歴史的に考える力。その考え方を今の社会の問題に使う力。事実の知識。そして、一般的な読解力です。
資料を読む授業に時間を使えば、覚える時間が減って知識は落ちる。そんな心配もありそうですが、知識はむしろ伸びていました。ただし、生徒をくじ引きで組に分けた実験ではありません。アメリカの高校での結果なので、日本の授業で同じになるかも確かめる必要があります。
年号は、考えるための道具
年号や用語を覚えることが、むだなわけではありません。資料を読みこなすにも、背景の知識は欠かせません。ただ、覚えることが歴史の勉強のすべてだと思うと、いちばんおもしろい部分を見のがします。
原田英語のおすすめは、用語を1つ覚えたら、「それはなぜ起きたのか」を一文で書いてみることです。同じ出来事を、教科書と資料集で読み比べてみる。資料を見たら、誰が、いつ、何のために書いたのかを確かめる。年号は、考えを始めるための入口です。
参考文献
Wineburg S. (1991). Historical problem solving: A study of the cognitive processes used in the evaluation of documentary and pictorial evidence. Journal of Educational Psychology, 83, 73-87.
doi.org/10.1037/0022-0663.83.1.73✓ 実在と内容を確認済み
Reisman A. (2012). Reading Like a Historian: A Document-Based History Curriculum Intervention in Urban High Schools. Cognition and Instruction, 30, 86-112.
doi.org/10.1080/07370008.2011.634081✓ 実在と内容を確認済み
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