教科別の常識No.K27
読解力さえあれば、知らない分野の文章でも読みこなせるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
文章をどれだけ理解できるかは、読む力だけでなく、その話題をどれだけ知っているかに大きく左右されます。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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今日からできるやり方
- 難しい文章の前に、同じ話題のやさしい本を読む
- わからない話題は、図や動画で全体をつかむ
- 理科や社会の知識も、国語の力の土台と考える
野球の試合の、ある回の表か裏。その攻撃のようすだけを書いた文章を、アメリカの中学生64人が黙って読みました。1988年に、レクトとレスリーが行った実験です。
読む力と、野球の知識
64人は、前もって2つのことを調べられていました。読解力が高いか低いか。そして、野球についてよく知っているか、あまり知らないか。この2つを組み合わせて、16人ずつ4つのグループに分けたのです。
読み終えると、生徒たちは試合のようすを2つのやり方で再現しました。1つは、人形を動かして、選手の動きを再現するやり方。もう1つは、言葉で話し直すやり方です。さらに、別の作業をはさんでから試合を要約し、文章の文を大事な順に分ける作業もしました。
読解力が高くても、知らなければ
結果は、すべての測り方で同じでした。野球をよく知る生徒のほうが、成績が上だったのです。
しかも、知識の差による違いは、読解力の高い生徒にも低い生徒にも、同じように表れていました。読解力が高いからといって、知らない話題の文章を、知っている話題と同じように読みこなせるわけではなかったのです。著者らは、もともとの知識が持つ力の強さを示す結果だ、とまとめています。
知識が少ない読み手を助けるもの
2021年、スミスらは、小学校の中学年から高学年の子どもを対象に、知識と読解の関係を調べた23の研究を検討しました。
知識が多いほど理解が進む、という基本は同じでした。ただし、その効き方は、文章の性質や、読み手が誤った思い込みを持っていないか、などによって変わりました。
読むのが苦手な子も、その話題についての知識が豊富なら、読む力の弱さをある程度おぎなえていました。一方、知識の少ない読み手は、文と文のつながりがはっきり書かれた、わかりやすい文章に助けられていました。
どちらの研究も、小学生や中学生が中心です。それでも、知らない分野の文章は、読解力だけでは読みこなせない、という方向は一致しています。
国語の力は、理科と社会にもある
だとすれば、国語の読解問題の点を上げる方法は、読み方のコツを覚えることだけではありません。理科や社会、ニュースや図鑑で知っていることを増やすことも、遠回りに見えて、読む力を支えます。
原田英語のおすすめは、難しい文章に取りかかる前に、同じ話題のやさしい本や図、動画で全体をつかんでおくことです。知らない土地を歩く前に、地図を一度見ておくのと同じです。読む力と知っていること。この2つがそろって初めて、文章はすらすら読めるようになります。
参考文献
Recht D., Leslie L. (1988). Effect of prior knowledge on good and poor readers' memory of text. Journal of Educational Psychology, 80, 16-20.
doi.org/10.1037/0022-0663.80.1.16✓ 実在と内容を確認済み
Smith R., Snow P., Serry T., Hammond L. (2021). The Role of Background Knowledge in Reading Comprehension: A Critical Review. Reading Psychology, 42, 214-240.
doi.org/10.1080/02702711.2021.1888348✓ 実在と内容を確認済み
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