教科別の常識No.K35

理科は、男子のほうが得意だって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:01文献 3件

「理科は、男子のほうが得意だ」のイメージイラスト

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

アメリカの全国テストでは男子がわずかに上ですが、差はとても小さく、学校の成績ではむしろ女子が上回っています。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果米国の全国テストで男子がわずかに上(高校3年で効果量0.13)

全国テストでは、男子のほうが少しだけ点が高い。ところが学校の成績では、女子のほうが少しだけ高い。理科の男女差を調べた研究を並べると、こんな食いちがいが出てきます。

どちらが本当の姿なのでしょうか。「理科は男子のほうが得意」という言葉の中身を、ひとつずつ確かめてみます。

アメリカの全国テストでは

2015年、ライリーらは、アメリカの全国学力調査のデータを、1990年から2011年までまとめて分析しました。

理科では、男子がわずかに上回る差が、20年あまりずっと続いていました。高校3年生での差は、効果量で0.13です。効果量は差の大きさを表す数字で、0.2でも「小さい」とされます。0.13は、それよりさらに小さな差です。男子と女子の点数の分布は、ほとんど重なっていると考えてよい大きさです。

ただし、いちばん点の高い層だけを見ると、話が変わります。理科でも数学でも、最上位の層には、男子が女子の2倍以上いました。

通知表では、女子が上

一方、先生がつける成績を調べると、逆の結果になります。2014年、ボイヤーとボイヤーは、小学校から大学院までの成績の男女差を調べた研究を集めました。369のグループから取り出した、502の比較です。

全体として、女子の成績が少し上でした。効果量は0.225です。差がいちばん大きかったのは国語などの言語の科目で、いちばん小さかったのは数学でした。この女子の優位は、理科を含むほとんどの教科に広がっていました。学力テストとは違う傾向です。しかも、この差は、研究が発表された年代によって変わっていませんでした。

上位層はどうなっているか

テストの最上位では男子が多い。では、学校の成績でクラスの上位に入るのはどちらなのでしょうか。

2018年、オディーらは、160万人以上の生徒の成績を分析しました。平均では女子が上で、成績のばらつきは男子のほうが大きいという結果でした。ただ、男女の差は、平均でもばらつきでも、理系の教科ではほかの教科より小さめでした。

この結果をもとにした計算では、クラスの上位10%には、理系の教科で男女がほぼ同じ数だけ入ります。理系以外の教科では、女子のほうが多くなりました。学校で理系の教科の成績が良い女子は、決して少なくないのです。それでも、理系の仕事を選ぶ女性は男性より少ない、と著者らは指摘しています。

得意かどうかは、性別では決まらない

まとめると、テストでは男子がごくわずかに上で、最上位の層には男子が多い。学校の成績では女子がわずかに上。どちらの差も小さく、男子にも女子にも、理科が得意な人と苦手な人がたくさんいます。

判定が「半分ホント」なのは、テストの最上位という一部分だけを見れば、たしかに男子が多いからです。でも、それを「男子だから得意」「女子だから苦手」と自分に当てはめる根拠にはなりません。1回のテストの点を見て、自分の性別のせいにするのはやめましょう。比べる相手は、隣の席の人の性別ではなく、先月の自分です。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Reilly D., Neumann D., Andrews G. (2015). Sex differences in mathematics and science achievement: A meta-analysis of National Assessment of Educational Progress assessments. Journal of Educational Psychology, 107, 645-662.

  2. Voyer D., Voyer S. (2014). Gender differences in scholastic achievement: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 140, 1174-1204.

  3. O'Dea R., Lagisz M., Jennions M., Nakagawa S. (2018). Gender differences in individual variation in academic grades fail to fit expected patterns for STEM. Nature Communications, 9, 3777.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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