教科別の常識No.K30
理科は、自分で試して発見するのがいちばん身につくって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
ヒントなしで発見させる方法は、先に教わる方法より身につきにくいことがわかっています。手助けつきの発見なら効果があります。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)
0:00 / 4:01
論文での効果手助けなしの発見は、教わるより不利(効果量−0.38)。手助けつきの発見なら有利(0.30)
今日からできるやり方
- 実験の前に、考え方の手本を教科書で確かめる
- 手本を見てから、似た実験を自分で計画する
- 「なぜそうなったか」を言葉で説明してみる
小学生が、理科の自由研究のポスターを審査する。2004年、クラールとニガムは、そんな課題を実験の最後に用意しました。審査する子どもたちは、その前に、ある大事な考え方を学んでいました。問題は、その学び方です。
自分で見つけるか、教わるか
参加したのは、小学3・4年生の112人です。学ぶ内容は、正しい実験の組み立て方と、その結果の読み取り方でした。比べたい条件だけを変え、ほかの条件はそろえる。理科の実験の基本です。
子どもたちは、2つの学び方に分かれました。ひとつは、自分でいろいろ試しながら、そのやり方を見つける学び方。もうひとつは、先生からはっきり教わる学び方です。
自分で見つけたことのほうが、深く身につく。教育の現場では、長くそう考えられてきました。ところが結果は逆でした。教わった組では、ずっと多くの子どもがやり方を身につけたのです。自分で発見できた子は、少数にとどまりました。
審査の腕前は、変わらなかった
ここで、最初に書いたポスター審査が出てきます。自由研究のポスターを見て、その実験がきちんと組み立てられているかを判断する課題です。教わったことを、もっと広く、現実に近い場面で使えるかを確かめたのです。
教わって身につけた多くの子どもたちは、自分で発見した少数の子どもたちと同じくらい、上手に審査できました。どの道を通って身につけたかは、そのあとの使いこなしに関係がなかったのです。論文の題名は「学びの道筋の同等性」でした。
発見に、手助けを足す
では、自分で考えて見つける学びには意味がないのでしょうか。2011年、アルフィエリらは、164の研究をまとめた2つのメタ分析を発表しました。
ひとつめは、手助けなしの発見学習と、はっきり教える授業の比較です。580の比較のほとんどの条件で、教える授業のほうが成果は上でした。効果量はマイナス0.38で、発見学習のほうが不利という結果です。
ふたつめは、手助けを加えた発見学習と、ほかの教え方との比較でした。こちらは360の比較で、手助けつきの発見学習のほうが成果は上でした。効果量は0.30です。著者らのまとめはこうです。手助けなしの発見は、学ぶ人の役に立たない。一方で、その場での正誤の知らせ、解き方の手本、足場になる支え、自分で説明させる問いかけは役に立つ。
考える前に、手本を一度
自分で考えること自体が悪いのではありません。初めて学ぶ人に発見を任せきりにすると、多くの人がたどり着けないまま終わってしまう、ということです。
原田英語のおすすめは、実験の前に、教科書で考え方の手本を一度確かめることです。手本を見てから、似た実験を自分で計画する。そして、なぜそうなったかを自分の言葉で説明してみる。発見の楽しさは、手本のあとでも十分に味わえます。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 効果量
- 効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
参考文献
Klahr D., Nigam M. (2004). The Equivalence of Learning Paths in Early Science Instruction. Psychological Science, 15, 661-667.
doi.org/10.1111/j.0956-7976.2004.00737.x✓ 実在と内容を確認済み
Alfieri L., Brooks P., Aldrich N., Tenenbaum H. (2011). Does discovery-based instruction enhance learning? Journal of Educational Psychology, 103, 1-18.
doi.org/10.1037/a0021017✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





