英語の常識No.E18
多読(たくさん読むこと)は、英語力アップに効果があるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
たくさんの研究をまとめた分析で、多読の効果は小〜中くらいと確かめられています。近道ではありませんが、確かに効く方法です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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南太平洋の島国フィジー。農村にある8つの小学校には、本がほとんどありませんでした。子どもたちは英語を、決まった教科書と授業で学んでいました。
そこへ、研究者のエリーとマングバイが、英語の絵本を届けます。4年生と5年生の各クラスに、子どもが夢中になりそうな、絵入りのお話の本を250冊ずつ。対象は380人の子どもたちと、16人の先生です。先生たちには、子どもたちに本を読ませるための2つのやり方が伝えられました。
比べるために、似た条件の学校の子ども234人は、それまでどおり、読むことにあまり力を入れない英語の授業を続けました。
本が届いた教室で
1983年に報告された結果は、はっきりしていました。8か月後、たくさんのお話に触れた子どもたちは、英語を読んで理解する力と、聞いて理解する力が、ふつうの2倍の速さで伸びていました。20か月後には、その差はさらに広がり、ほかの言葉の力にも伸びが広がっていました。
たくさんの本を読む。外国語の学び方として、これがどのくらい効くのかを示した、よく知られた研究です。この「やさしい本をたくさん読む」学び方を、多読といいます。
ただし、これは1つの地域の1つの研究です。多読が本当に効くのかを知るには、たくさんの研究をまとめて見る必要があります。
3942人分のデータ
2015年、ナカニシは、多読についての研究を集めて、まとめて分析しました。くわしく探して見つけた34の研究、参加者は合わせて3942人です。
多読をしたグループとしなかったグループを比べると、効果の大きさを表す数字(効果量)は0.46でした。これは「中くらい」とされる大きさです。多読をしたグループの平均点が、点数のばらつきの半分近くぶん、上回っていたことを意味します。多読をした人の前後を比べると、効果量は0.71と、さらに大きくなりました。
ナカニシは、多読は読む力を伸ばすので、言葉の授業の一部に取り入れるべきだ、と結論しています。
どんなときに、よく効くか
翌2016年、チョンとデイも、1980年から2014年に発表された49の研究、参加者5919人をまとめて分析しました。結果は、小から中くらいの効果。ナカニシの分析と、ほぼ同じ方向の答えです。
この分析では、どんな条件で効果が大きいかも調べています。子どもや中高生より大人で効果が大きく、英語を日常で使う国で学ぶ場合より、日本のように英語を外国語として学ぶ環境のほうが、効果が大きくなっていました。紙の本よりウェブで読むお話のほうが効果が高く、多読を授業のカリキュラムの一部として行った場合が、いちばん効果が大きかったといいます。
日本で英語を学ぶ人にとっては、心強い結果です。ふだん英語に囲まれていない環境では、本から入ってくる英語の量が、それだけ大きな意味を持つのかもしれません。
2つの分析が示すのは、多読は近道ではないけれど、確かに読む力を伸ばす方法だということです。なお、2つの分析が主に測ったのは、英語を読む力です。判定は「ホント」です。
やさしい本を、たくさん
多読で大切なのは、「たくさん」読めるように、やさしい本を選ぶことです。辞書を引きながら1ページに何十分もかかる本では、量を読めません。わからない単語がほとんどなく、話の流れを楽しめるくらいの本が目安です。
原田英語のおすすめは、英語学習者のために語彙をしぼって書かれた「グレーディッドリーダー」から始めることです。いちばんやさしいレベルから始めて、すらすら読めるようになったら次のレベルへ進みます。途中でつまらなくなった本は、やめて別の本に替えてかまいません。
時間は、1日10〜15分からで十分です。読んだ本の題名と語数をノートに書いておくと、積み上がっていく量が目に見えて、続ける力になります。
フィジーの子どもたちを変えたのは、文法の説明ではなく、教室に置かれた250冊のお話の本でした。あなたの机にも、最初の1冊を置いてみましょう。
参考文献
Nakanishi T. (2015). A Meta-Analysis of Extensive Reading Research. TESOL Quarterly, 49, 6-37.
doi.org/10.1002/tesq.157✓ 実在と内容を確認済み
Jeon E., Day R. (2016). The effectiveness of ER on reading proficiency: A meta-analysis. Reading in a Foreign Language, 28, 246-265.
doi.org/10.64152/10125/66901✓ 実在と内容を確認済み
Elley W. B., Mangubhai F. (1983). The impact of reading on second language learning. Reading Research Quarterly, 19(1), 53-67.
doi.org/10.2307/747337✓ 実在と内容を確認済み
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