英語の常識No.E10

大人でも努力すれば、完全にネイティブと同じになれるって、ホント?

判定日 読了 約4分音声 4:40文献 2件

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:まだ決着していない

ネイティブに聞こえる大人の学習者はいます。でも精密なテストで、母語話者と完全に一致した人は見つかりませんでした。

まだ決着していないとは… 研究結果が割れていて、まだ結論が出ていない常識です。

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大人になってから学んだ言葉で、母語話者とまったく同じになれるのか。これは、言葉の研究者のあいだでも答えが割れている問題です。誰でもなれる、という研究者もいれば、原理的に無理だ、という研究者もいます。

この問いに答えるため、研究者のアブラハムソンとヒュルテンスタムは、変わった集め方をしました。ふつうの学習者ではなく、「自分はネイティブ並みかもしれない」と考えている人だけを集めたのです。もし大人の学習者で母語話者と同じになれる人がいるなら、この中にいるはずです。

自信のある195人

2009年に報告されたこの研究の参加者は、スペイン語を母語とし、スウェーデン語を第二言語として身につけた195人です。スウェーデン語を学び始めた年齢は、1歳未満から47歳まで幅がありました。全員が、自分のスウェーデン語は母語話者並みかもしれないと考えていました。

最初のテストは、耳による判定です。スウェーデン語を母語とする人たちに参加者の話すスウェーデン語を聞いてもらい、母語話者かどうかを判断してもらいました。

12歳より前に学び始めた人は、多くが母語話者だと判断されました。一方、12歳以降に学び始めた人で、母語話者だと判断されたのは、ごく一部でした。それでも、大人になってから学び始めて、母語話者として通る人は確かにいたのです。

耳はごまかせても

研究者たちは、そこで終わりにしませんでした。母語話者だと判断された人の中から41人を選び、10種類のテストを受けてもらったのです。どれも、とても複雑で、頭をフルに使う課題でした。言葉の使い方、頭の中での言葉の扱い方、処理のしかたを、細かく測るものです。

結果ははっきりしていました。遅く学び始めた人の中に、すべてのテストで母語話者の範囲に収まった人は、1人もいませんでした。それだけではありません。早く学び始めた人でも、すべてのテストで母語話者並みだった人は、ほんの数人でした。

ふつうの会話では母語話者として通る人でも、細かく測ると、どこかに違いが見つかったことになります。

「無理」と言い切れるのか

アブラハムソンとヒュルテンスタムは、この結果を、大人の学習者が母語話者と同じ力に届くことは原理的にない、と解釈しています。子どものうちに始めた人でも、母語話者並みになることは、これまで思われていたよりずっと少ないとも述べています。

ただ、この解釈には反対の意見もあります。たとえば1992年、言語学者のバードソングは、フランス語を学んだ英語話者を調べました。そして、思春期より後に学び始めた人の中にも、さまざまなテストで母語話者並みの成績を示す例外がいると報告しています。この研究では、移り住んだ年齢が早いほど、たとえ思春期を過ぎていても、母語話者の水準に届きやすいという関係も見られました。

研究によって、どんな人を集め、何を「母語話者並み」とするかが違います。テストを細かくすればするほど、違いは見つかりやすくなります。どこまで一致すれば「同じ」と言えるのか。その線の引き方しだいで、答えは変わりうるのです。判定が「まだ決着していない」なのは、このためです。

目標は「完全一致」でなくていい

ひとつ確かなのは、細かいテストを受けた41人が全員、話を聞いたかぎりでは母語話者として通っていたことです。彼らのスウェーデン語に足りなかったのは、とても細かいテストでしか見えない差でした。

英語を学ぶ私たちにとって、その差が困りごとになる場面は多くありません。原田英語のおすすめは、「ネイティブと完全に同じ」ではなく、自分の目的に合った目標を立てることです。留学して授業についていく、仕事でメールや会議をこなす、海外の友だちと冗談を言い合う。目標がはっきりすれば、何を練習すればいいかも見えてきます。

完全に同じになれるかどうかは、研究者たちがまだ議論しています。その答えを待つあいだにも、英語は十分に使えるようになります。

参考文献

  1. Abrahamsson N., Hyltenstam K. (2009). Age of Onset and Nativelikeness in a Second Language: Listener Perception Versus Linguistic Scrutiny. Language Learning, 59, 249-306.

  2. Birdsong D. (1992). Ultimate attainment in second language acquisition. Language, 68(4), 706-755.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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