ENGLISH TEACHER’S BRIEFING
原田先生の英語教育ニュースレター
中高英語教師のための授業アイデア&最新情報
2026年7月29日(水) Vol.160
MOSTAR — STARI MOST & KUJUNDŽILUK
LUK I
今日のヘッドライン
TODAY’S HEADLINE
国立教育政策研究所、公開シンポ「生成AI時代の学校教育と教師 — 人間の果たすべき役割」8月6日オンライン開催・無料
国立教育政策研究所が8月6日(木)13:30〜16:30、公開シンポジウムをオンラインで開きます。参加費無料、定員300名、申込締切は8月3日(月)で、定員に達し次第終了。第1部「AIと社会」、第2部「生成AIと学習」、第3部「生成AIと学校・教師」の三部構成で、AI研究者・教育政策関係者・認知科学者・現場の教師が並びます。タイトルの主語が「AI」ではなく「教師」である点が読みどころです。英語科にとっては、翻訳・添削・会話練習がAIで賄えるようになったあと、教室に残るのは何かという問いに直結します。夏休み中なので、2学期の指導方針を決める前に聞いておく価値があります。
LUK II
今日の帯活動アイデア
5-MINUTE WARM-UPS
① Keystone(要石ビルド)
対象:中1〜高3 | 時間:5分 | 準備:不要
① 黒板の中央に「要石」となる語を1つ置く(例:because)。
② 教室を左右2チームに分ける。左は文の前半、右は後半を担当。
③ 左右交互に1語ずつ足していき、最後に要石でつなげて1文を完成させる。
④ 文法的に破綻したら、その時点で崩落。もう一度、別の語から積み直す。
② 教室を左右2チームに分ける。左は文の前半、右は後半を担当。
③ 左右交互に1語ずつ足していき、最後に要石でつなげて1文を完成させる。
④ 文法的に破綻したら、その時点で崩落。もう一度、別の語から積み直す。
💡 中央から外へではなく両端から中央へ積むので、生徒は常に「この先どうつながるか」を予測しながら語を選びます。接続詞・関係詞の指導日に効きます。
② Two Banks, One Bridge(両岸に一本)
対象:中3〜高3 | 時間:5分 | 準備:不要
① ペアに、あえて対立する2つの立場を配る(例:Homework is necessary. / Homework is a waste of time.)。
② 各自30秒で自分の立場を英語で主張する。
③ 残り2分で、二人とも「その通り」と言える1文を英語で作る(例:Homework helps only when we know why we do it.)。
④ 数ペアに、その1文だけを読み上げてもらう。
② 各自30秒で自分の立場を英語で主張する。
③ 残り2分で、二人とも「その通り」と言える1文を英語で作る(例:Homework helps only when we know why we do it.)。
④ 数ペアに、その1文だけを読み上げてもらう。
💡 勝ち負けを決めない討論です。譲歩と限定(only when / as long as / unless)が自然に必要になるので、高校の譲歩表現の導入にそのまま使えます。
LUK III
AI × 英語指導 最前線
AI TOOLS
FOR TEACHERS
LessonUp — 手持ちのPowerPointを、そのまま「双方向の授業」に
オランダ発の授業プラットフォーム。既存のスライドを読み込み、クイズ・自由記述・穴埋め・ドラッグ&ドロップ・ワードクラウド・指名ルーレットを差し込めます。生徒は6桁コードで参加し、回答はカード形式で教師の手元に集まるので、挙手に頼らず全員の理解度が見えます。AI補助でルーブリックや小テストの下書きも作成可。無料プランあり。
FOR STUDENTS
Hallo — AI相手と「人」相手を行き来できる英会話アプリ
AI音声との会話練習に加えて、世界中の学習者・講師が入るライブルームがあるのが特徴。AIで型を作り、人前で試すという二段構えができます。発音・文法へのAIフィードバック付き。まずは1日5分から始められる無料枠あり。生徒に勧める際は「AIで練習→ライブで1回だけ発話」と課題を切ると、指導しやすくなります。
LUK IV
英語教育ニュース FLASH
NEWS FLASH
JAPAN 01
第9回「英検ESG祭り」10/31〜11/8 — 小5・6が受験料無料でCSEスコアを測る
英検協会が、準会場登録済みの塾・英会話教室を対象に第9回英検ESG祭りを実施します。小学5・6年生のリスニング・リーディング2技能を、合否ではなくCSEスコアで評価。受験料は無料、最少10人から。参加登録は7月27日14時開始、申込は9月16日17時まで。中学英語の担当者にとっては、4月に入学してくる生徒の「入口の実力」が数値で見える数少ない機会です。小中連携の材料として、地域の実施状況を押さえておくと役に立ちます。
JAPAN 02
未来の学習コンテンツEX 2026夏期「生成AIを活用した授業と評価」8/21 早稲田大+オンライン
学習情報研究センター主催。参加費無料、定員は会場・オンライン合わせて300名。テーマに「評価」が入っているのがポイントで、AIで作った教材をどう評価に接続するかは英語科がいちばん詰まりやすい部分です。パフォーマンステストのルーブリックづくりに悩んでいる方は、8/6のシンポと合わせて聞くと視界が開けます。
GLOBAL
米:英語学習者向け教員養成の連邦補助金が秋に復活 — ただし所管を変えて
英語学習者(EL)の指導力を高めるための連邦補助金プログラムが、この秋あらためて公募されると報じられました。ただし監督体制は変更され、いったん打ち切られた研究プロジェクトの扱いは不透明なまま。日本の「日本語指導が必要な児童生徒」への支援体制とも重なる論点で、制度が揺れても現場の子どもは待ってくれないという現実が浮かびます。
LUK V
無料で使える英語学習サイト
FREE RESOURCES
UsingEnglish.com
文法解説・語彙クイズ・イディオム辞典・教師向けワークシートが一つに揃った老舗サイト。特に「Reference」の文法用語集は、生徒に説明する言葉を自分の中で整理し直すのに便利です。
🔗 サイトを見る →
Espresso English
1回3〜5分で読み切れる短い文法・語彙・フレーズのレッスンが大量に無料公開されています。帯活動の「今日の1点」を探すのに向いた粒度で、そのまま板書に落とせます。
🔗 サイトを見る →
Purdue OWL
米パデュー大学のライティング指導サイト。パラグラフ構成・引用・接続表現の解説が体系的で、高校の英作文やエッセイ指導の「型」を確認するときの基準として使えます。
🔗 サイトを見る →
Tatoeba
同じ単語・表現を含む例文を大量に検索できる多言語例文データベース。日本語訳が付いた文も多く、「この語は実際どんな文で使われるのか」を生徒と一緒に確かめる時間に向いています。
🔗 サイトを見る →
🇧🇦 ボスニア・ヘルツェゴビナ — 「英語だけが、誰の母語でもない」教室
ボスニア語・クロアチア語・セルビア語という3つの公用語は、言語学的にはほぼ同じ言葉です。それでも国内には、同じ校舎を民族別のカリキュラムで分けて使う「1つ屋根の下の2つの学校(dvije škole pod jednim krovom)」と呼ばれる形態が今も残っています。生徒たちは廊下ですれ違いながら、別々の歴史を、別々の教科書で学ぶ。
そのなかで英語は少し違う位置にいます。誰の母語でもないぶん、どの側のものでもない。英語の授業だけは同じ教材で、同じ問いを扱える科目になりやすく、実際に共同プロジェクトの共通語として使われてきました。2004年に架け直されたモスタルのスターリ・モスト(古い橋)は、そのまま「壊れたものは架け直せる」という比喩として語られます。
🔑 明日から使えるテクニック:Third Language Move
意見が割れそうな話題(校則、スマホ、部活の時間)を扱うとき、最初の1往復だけあえて英語でやらせます。英語はクラスの誰の母語でもないので、言い方の刺々しさや上下関係が乗りにくく、残るのは中身だけ。“I think … because …” の型を配っておけば、日本語に戻したあとの議論も驚くほど静かになります。
TODAY’S QUOTE FOR TEACHERS
“… language use as a social, cultural, and political act.”
言語を使うことは、社会的で、文化的で、政治的な行為である。
— Alastair Pennycook(アラステア・ペニークック/批判的応用言語学)
出典:The Cultural Politics of English as an International Language (1994), p.29
LUK VIII
Wednesday Ćuprija(水曜の橋)
MID-WEEK REFLECTION
水曜は週の真ん中。月曜からの3日を渡り切ったところで、いま自分がどちらの岸に立っているかを確かめる回です。
OBALA
岸 — 出発点
今週の授業、月曜の自分は何をやろうとしていた?
LUK
アーチ — 支えたもの
うまくいった場面は、何が下から支えていた?(教材/声かけ/座席/時間配分)
PRELAZ
渡り — 向こう岸
残り2日で、どの生徒を向こう岸まで連れて行きたい?名前を1人だけ書く。
ONE-MINUTE TIP
💡 One-Fix Rule — 赤ペンは「今回直す1点」だけ
夏休み明けの英作文課題は、全部直すと返却が遅れ、生徒は赤の量に圧倒されて何も直しません。今回のフォーカスを1つだけ宣言してから集めると、採点は速くなり、生徒の直しは確実になります。「今回は時制だけ見ます」「今回は文と文のつなぎだけ見ます」。残りの誤りは消えたわけではなく、次回の1点になるだけ。3回で3つ、確実に積み上がります。
REFERENCE LINKS
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原田先生のニュースレター Vol.160
haradaeigo.com
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Vidimo se sutra — またあした。
