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恋人や夫婦の満足度は、別れの半年〜2年ほど前から「急降下」していた

恋人や夫婦の満足度は、別れの半年〜2年ほど前から「急降下」していた

読む前に予想してみよう!

別れる人の関係の満足度は、付き合ってからずっと同じペースで少しずつ下がっていく

研究カード(どんな研究?)
対象
ドイツ・オーストラリア・イギリス・オランダの全国調査で、恋人や配偶者と別れた人と、年齢や収入などがほぼ同じで別れなかった人
規模
別れた人は調査ごとに987〜3,373人(4調査)
研究の種類
観察研究(同じ人を毎年追った調査の分析、分析計画は事前登録)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

4か国の全国調査で、恋人や配偶者と別れた人について、相手との関係への満足度を別れた日から逆にたどると、何年もゆっくり下がったあと、別れの半年〜2年ほど前から急に落ちていた。

ひとことで言うと別れる前の満足度は「ゆっくり下がる→急に落ちる」の2段階だった!

もくじ
  1. 4か国の1万人あまりの「別れ」を、毎年のアンケートでたどった
  2. 満足度は「ゆっくり→急に」の2段階で下がった
  3. 別れを告げられた側は、満足度が急に落ちるのが遅かった
  4. どんでん返し:「長く付き合うと冷める」に、別れる人がまじっている?
  5. 「満足度が下がったら別れる」とは言えない
  6. まとめ

「最近なんとなく冷めてきた」。それが別れのサインなのか、気になったことがある人は多いはずです。4か国の全国調査で、恋人や配偶者と別れた1万人あまりの記録を、別れた日から逆にたどった研究があります。満足度の下がり方には、はっきりした「型」がありました。

相手との関係への満足度は、まず何年もかけて少しずつ下がり、別れの半年〜2年ほど前から急に落ちていました。オーストラリアの調査では、別れる直前の半年で、その満足度の平均が10点満点の5.6点まで下がっていました。別れなかった人たちは8点台のままでした。

ただし、これは別れた人たちを後からたどって平均した形です。満足度が下がったからといって、その2人が別れるとは限りません。1人1人の別れを予測できる研究ではないのです。

これまでの研究の多くは、「付き合い始めて何年たったか」で満足度の変化を見てきました。今回の研究は時間の数え方を逆にして、「別れまであと何年か」で並べ直しました。すると満足度の変化は、付き合った年数よりも「別れまでの残り時間」と、ずっとよく合っていたのです。

014か国の1万人あまりの「別れ」を、毎年のアンケートでたどった

研究したのは、ドイツのマインツ大学のビューラー(Bühler)さんと、スイスのベルン大学のオルト(Orth)さんです。使ったのは4か国の全国調査です。国じゅうから選んだ人たちに、何年にもわたって毎年同じアンケートをしてきました。参加者は毎年、「パートナーとの関係に、全体としてどのくらい満足していますか」といった質問に答えていました。ドイツ・オーストラリア・オランダの調査では、0点(とても不満)から10点(とても満足)の点数で答えます。

チームは、調査の途中で恋人や配偶者と別れた人を選びました。比べる相手は、同じ調査で別れずに付き合い続けた人たちです。ただし、年齢や収入などがちがうと、それだけで満足度に差が出てしまいます。そこで、年齢・性別・学歴・収入・子どもの有無・性格などが、別れた人たちとほぼ同じになるように選びました。

02満足度は「ゆっくり→急に」の2段階で下がった

4つの調査のすべてで、別れた人の満足度は、ゆるやかに下がる段階のあと、急に下がる段階に入っていました。急な段階が始まったのは、オランダで約2.3年前、イギリスで約2.0年前、ドイツで約1.9年前、オーストラリアで約0.6年前(7か月ほど前)です。

オーストラリアの調査で、別れた人たちの関係の満足度の平均(10点満点)を時期ごとに見ると、次のとおりです(論文の補足資料)。

  • 別れの約10年前:8.2点
  • 約1年半〜2年前:7.5点
  • 1年前〜半年前:6.9点
  • 最後の半年:5.6点

別れなかった人たちは、どの時期も8.2〜8.6点ほどでした。ドイツの調査でも、最後の半年の平均は6.95点で、別れなかった人たち(8.04点)より1点以上低くなっていました。

ゆっくり下がったあと急に落ちる線と、ほぼ水平に続く線のイメージ(論文の図ではありません)
ゆっくり下がったあと急に落ちる線と、ほぼ水平に続く線のイメージ(論文の図ではありません)

03別れを告げられた側は、満足度が急に落ちるのが遅かった

ドイツの調査で、別れを切り出した側を見ると、急な段階が始まったのは別れの約1年前でした。切り出された側では約2か月前と遅く、そのかわり、そこからの下がり方はずっと急でした。

別の研究(2022年)では、別れたあと、切り出した人は幸福感が上がり、切り出された人はしばらく下がってから回復していました。失恋のつらさは思ったより小さかったという研究もあります。

人生全体の満足度も、別れの前に下がっていました。ただし関係の満足度ほどはっきりしませんでした。オーストラリアの調査では、最後の半年の人生の満足度は7.3点(10点満点)で、別れなかった人たち(7.9点)との差は小さめでした。

04どんでん返し:「長く付き合うと冷める」に、別れる人がまじっている?

「長く付き合うと冷める」は、研究でもよく報告されてきました。ビューラーさんたちが2021年に、これまでの研究から165のグループのデータ(合わせて約16万5000人)を集めて分析した研究(メタ分析)でも、満足度は付き合い始めから10年目にかけて下がっていました。

今回の研究で付き合い始めからの10年間を比べると、別れなかった人の満足度の下がり方は小さく、のちに別れた人のほうがずっと大きく下がっていました。平均で見た「長く付き合うと冷める」には、別れに向かう人たちの大きな下がり方がまじっている可能性があります(論文の補足資料の数値から読み取れることで、論文がそう結論づけているわけではありません)。

この「終わりの前に急に下がる」という見方は、人が亡くなる前の数年で幸福感や頭の働きが急に落ちるという研究から借りたものです。たとえば2010年の研究では、幸福感の急な下がり始めは亡くなる3〜5年前でした。

05「満足度が下がったら別れる」とは言えない

  • 後から並べた平均の形:満足度が下がった人のうち何割が別れるか、という予測は調べていない。
  • 原因は分からない:不満が別れを招いたのか、別れを考えて満足度が下がったのかは区別できない。
  • 年に1回の調査:急な段階がいつ始まるかの推定は大まかで、調査によっても7か月ほど前から2年あまり前まで幅がある。
  • 日本のデータはない:日本で同じ形になるかは分からない。切り出した側・された側の比較はドイツだけ。

1人1人の別れを当てるのは難しく、会話から離婚を当てる有名な研究も、別のデータでは当たる割合が下がりました(「離婚が9割当たる」は本当?)。

06まとめ

恋の終わりは、ある日とつぜん来るとは限りませんでした。4か国のデータでは、満足度は長い時間をかけて少しずつ下がり、別れの半年〜2年前から急に落ちていました。切り出される側では、その急な下がり始めが遅れていました。

ゆっくり下がる時期は何年も続きます。その間にどんな話し合いや支えがあれば、急な段階に入らずにすむのか。それは、この研究ではまだ調べられていません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerResearchers in Germany and Switzerland used yearly surveys from Germany, Australia, Britain and the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Researchers in Germany and Switzerland used yearly surveys from Germany, Australia, Britain and the Netherlands. In these surveys, the same people rated how satisfied they were with their relationship. The team chose people who later broke up and compared them with similar people who stayed together.

Then they lined up the scores by the time left before each breakup. In all four surveys, satisfaction first dropped slowly over several years. After that, it fell sharply, starting about half a year to two years before the end. In the German data, people whose partner ended the relationship entered this sharp drop later than people who ended it themselves. People's overall life satisfaction went down too, but the change was smaller and harder to see.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ドイツとスイスの研究者たちが、ドイツ・オーストラリア・イギリス・オランダの毎年の調査を使った。これらの調査では、同じ人たちが、自分の関係にどのくらい満足しているかを点数で答えた。チームは、のちに別れた人たちを選び、年齢や収入などがほぼ同じで別れなかった人たちと比べた。

そして、それぞれの別れまでに残った時間ごとに点数を並べた。4つの調査すべてで、満足度はまず数年かけてゆっくり下がった。そのあと、終わりのおよそ半年〜2年前から急に落ちた。ドイツのデータでは、相手から別れを切り出された人は、自分から切り出した人よりも、この急な下がり方に入るのが遅かった。人生全体の満足度も下がったが、その変化はより小さく、見えにくかった。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Who were the people who broke up compared with?

Q3. Why did the team line up the scores by the time left before each breakup?

重要単語

  • breakupB1
    名詞(恋人との)別れThey stayed friends after the breakup. 動詞は break up(別れる)。break up with ~ で「~と別れる」
  • satisfactionB1
    名詞満足、満足度Her satisfaction with the job grew every year. satisfy(満足させる)の名詞形。be satisfied with ~ で「~に満足している」
  • declineB2
    名詞・動詞低下(する)、下がるThe number of visitors began to decline in winter. 「断る」の意味もある(decline an offer)。入試では両方の意味がよく出る
  • gradualB2
    形容詞ゆるやかな、少しずつのThere was a gradual change in the weather. 副詞は gradually(だんだんと)。反対の意味の語は sudden(突然の)
  • initiateC1
    動詞(物事を)始める、切り出すShe was the one who initiated the breakup. 名詞 initiator は「言い出した人」。initial(最初の)と同じ語源
  • separationB2
    名詞別れ、分離The separation was hard for both of them. 動詞は separate(別れる、分ける)。つづりは sep-a-rate で a が2つ
  • surveyB1
    名詞(アンケートによる)調査The survey asked the same people every year. 動詞では「調査する、見渡す」。conduct a survey で「調査を行う」
4か国の全国調査で、恋人や配偶者と別れた人の満足度を別れた日から逆にたどると、何年もゆっくり下がったあと、別れの半年〜2年ほど前から急に落ちていた。切り出された側は、急に落ち始めるのが遅かった(ドイツのデータ)。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Bühler & Orth (2025) Terminal decline of satisfaction in romantic relationships: Evidence from four longitudinal studies, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  2. Bühler, Krauss & Orth (2021) Development of relationship satisfaction across the life span: A systematic review and meta-analysis, Psychological Bulletindoi.org
  3. Brüning (2022) Separations of romantic relationships are experienced differently by initiators and noninitiators, Proceedings of the National Academy of Sciencesdoi.org
  4. Gerstorf et al. (2010) Late-life decline in well-being across adulthood in Germany, the United Kingdom, and the United States: Something is seriously wrong at the end of life, Psychology and Agingdoi.org