失恋のダメージは「思ったより小さかった」。人は別れのつらさを大きく見積もりすぎていた

読む前に予想してみよう!
人は、失恋したときのつらさを実際より大きく予想しがちだ
追跡研究では、別れを経験した人の実際のつらさは、事前の予想より小さかった。
- 対象
- 米国の大学生
- 規模
- 数十〜百数十人
- 研究の種類
- 追跡調査+脳波を使った実験
- 確かさ
- ★★★☆☆
交際中の人に「別れたらどれくらいつらいか」を予想してもらい、実際に別れた人を追跡すると、つらさは予想より小さかった。別れの後に"自分を取り戻す"成長も見られた。
ひとことで言うと失恋はつらい。でもそのつらさは、自分が思うより小さいかも!
「この人と別れたら、もう生きていけない」——。
恋をしているとき、そんなふうに感じたことがある人もいるかもしれません。そして実際に失恋すると、世界が終わったような気持ちになることもあります。
でも、心理学の研究によると、私たちは失恋のつらさを、実際よりかなり大きく予想してしまうようなのです。
01「別れたらどれくらいつらい?」を予想してもらう
心理学では、未来の自分の気持ちを予想することを「感情予測」と呼びます。そして人は、つらい出来事について、「どれだけつらいか」「どれだけ長く続くか」を大きく見積もりすぎる傾向があることが、さまざまな場面で知られています。失恋でも、実際のつらさは予想より小さいことが確かめられました。ただし、予想が外れた原因は「最初のつらさの強さ」の見積もりで、つらさが薄れていく速さの予想には、ズレが見られませんでした。
02なぜ予想が外れるのか
予想が外れる理由のひとつは、予想するときに「別れ」のことしか考えていないからだと考えられています。
実際の生活には、友達との時間、部活、勉強、好きな音楽や動画など、ほかにもたくさんのことがあります。それらが少しずつ心を支え、気持ちを回復させていきます。でも、予想しているときは、そうした「ほかの出来事」が頭からすっぽり抜け落ちてしまうのです。
また、人の心には、つらい出来事を意味づけし直して乗り越える力が備わっています。この「心の回復力」を、私たちは自分でも過小評価しているのかもしれません。

03別れのあとに「自分を取り戻す」こともある
失恋にはつらさだけでなく、成長がともなうこともあります。
アメリカの研究では、半年以内に別れを経験した大学生155人を調べました。すると、付き合っていた間に自分が広がる感覚(新しい経験や視点を得る感覚)が少なかった関係を終えた人ほど、別れた後に「本当の自分を取り戻した」と感じ、前向きな感情や成長を報告していました。
04立ち直りを助ける心の使い方
では、失恋の後、気持ちを整理するにはどうすればいいのでしょうか。
アメリカの研究では、失恋で落ち込んでいる人に、元恋人の写真を見る前に3つの方法を試してもらい、気持ちと脳波を調べました。
- 相手の欠点を思い出す:好きな気持ちは弱まったが、気分は不快寄りになった
- 「好きな気持ちがあるのは自然」と受け入れる:気持ちの大きな変化はなかった
- 楽しいことを考えて気をそらす:好きな気持ちは変わらなかったが、気分は明るくなった
そして3つとも、元恋人の写真に注意が引きつけられる反応を弱めていたのです。どれか1つが正解というより、目的に合わせて使い分けるのがよさそうです。
05まとめ
失恋はつらいもの。でも、研究によれば、そのつらさは私たちが予想するほど大きくはありません。
今まさに失恋の真っただ中にいる人へ。あなたの心は、あなたが思っているより、ずっと強くて回復力があります。焦らず、ゆっくり、晴れ間が来るのを待ちましょう。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPsychologists call predicting our future feelings "affective forecasting," and people often overestimate…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
When people are in love, they often think a breakup would be terrible. Researchers in the United States asked university students in relationships, "How sad would you feel if you broke up?"
Then they followed the students over time. Some of them really broke up. They felt less sad than they had expected. We often forget about friends, hobbies, and other good things in life. Our hearts are stronger than we think.
72 words ・ CEFR A2
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恋をしているとき、人は別れたらひどくつらいだろうとよく考えます。アメリカの研究者たちは、交際中の大学生に「もし別れたら、どれくらい悲しいと思いますか」とたずねました。
そして、時間をかけて学生たちを追跡しました。そのうちの何人かは本当に別れました。彼らは、予想していたほど悲しくはありませんでした。私たちは、友達や趣味など、人生のほかの良いことをよく忘れてしまいます。私たちの心は、自分が思うより強いのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
別れのつらさの予想と実際の違いがテーマなので D。
Q2. How did the students who broke up feel?
They felt less sad than they had expected. とあるので A。「まったく悲しくない」とは書かれていない。
Q3. In this passage, "expected" means ...
expect は「予想する」。had expected で「予想していた」なので B。
Psychologists call predicting our future feelings "affective forecasting," and people often overestimate how bad and how long-lasting their negative feelings will be. A 2008 study tested this with American university students who were dating. They predicted how upset they would feel after a breakup and then reported their feelings regularly. Those who actually broke up during the study felt less distress than they had predicted.
One reason is that when we imagine a breakup, we forget about other parts of life, such as friends, club activities, and music, that help us recover. Another study of 155 students found that people who ended relationships in which they had not grown much often reported positive feelings and personal growth afterwards.
118 words ・ CEFR B1
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心理学者は、将来の自分の気持ちを予想することを「感情予測」と呼び、人はしばしば否定的な気持ちがどれほどひどく、どれほど長く続くかを大きく見積もりすぎます。2008年の研究は、交際中のアメリカの大学生でこれを検証しました。彼らは別れた後にどれくらい動揺するかを予想し、その後、定期的に自分の気持ちを報告しました。研究の期間中に実際に別れた人は、予想していたよりも苦痛を感じていませんでした。
理由の一つは、別れを想像するとき、私たちは友達や部活動、音楽など、回復を助けてくれる人生のほかの部分を忘れてしまうことです。155人の学生を対象にした別の研究では、あまり成長できなかった関係を終えた人は、その後、前向きな気持ちや個人的な成長を報告することが多いと分かりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is "affective forecasting"?
第1文で predicting our future feelings を affective forecasting と呼ぶとあるので C。
Q2. According to the passage, why do people's predictions go wrong?
we forget about other parts of life ... that help us recover とあるので A。
Q3. What can we infer from the study of 155 students?
成長できなかった関係を終えた人が前向きな気持ちや成長を報告したので、別れが良い変化につながることもあると推論できる。正解は B。
People in love sometimes feel that a breakup would be unbearable, yet research on affective forecasting suggests that such predictions are usually exaggerated. Humans tend to overestimate both the intensity and the duration of their emotional reactions to negative events, a pattern known as the impact bias. In a 2008 prospective study, American university students in relationships predicted how distressed they would be if the relationship ended and then reported their feelings at regular intervals. Among those who actually broke up, the distress they experienced was smaller than they had forecast.
Researchers suggest that when imagining a breakup, people focus narrowly on the loss and neglect the friendships, activities, and coping abilities that cushion it. A study of 155 students who had recently ended relationships also found that those whose relationships had offered little self-expansion reported rediscovering themselves and experiencing growth, although this survey was retrospective and cannot prove causation.
A further experiment showed that recalling an ex-partner's flaws reduced love feelings, while distraction improved mood. The forecasting study involved a limited sample of university students, so caution is needed. If sadness continues for a long time, talking to a trusted adult or professional is important.
196 words ・ CEFR B2
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恋をしている人は、別れたら耐えられないだろうと感じることがありますが、感情予測の研究は、そうした予想がたいてい大げさであることを示しています。人は否定的な出来事に対する感情反応の強さと持続時間の両方を大きく見積もりすぎる傾向があり、このパターンはインパクト・バイアスとして知られています。2008年の前向き研究では、交際中のアメリカの大学生が、関係が終わったらどれくらいつらいかを予想し、その後一定の間隔で自分の気持ちを報告しました。実際に別れた人の間では、経験したつらさは予想していたよりも小さかったのです。
研究者たちは、別れを想像するとき、人は失うことだけに狭く注目し、それを和らげてくれる友情や活動、対処する力を見落としてしまうと示唆しています。さらに、最近関係を終えた学生155人の研究では、自己拡大(新しい経験や視点の獲得)の少ない関係だった人ほど、自分を再発見し成長を経験したと報告しましたが、この調査は回顧的なもので因果関係を証明することはできません。
別の実験では、元恋人の欠点を思い出すと好きな気持ちが弱まり、気をそらすと気分が良くなることが示されました。感情予測の研究は大学生の限られたサンプルだったため、注意が必要です。悲しみが長く続く場合は、信頼できる大人や専門家に話すことが大切です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the "impact bias"?
overestimate both the intensity and the duration of their emotional reactions ... known as the impact bias とあるので D。
Q2. Why can't the study of 155 students prove causation?
this survey was retrospective and cannot prove causation とあるので A。
Q3. What did the experiment on ex-partners show?
recalling an ex-partner's flaws reduced love feelings, while distraction improved mood とあるので C。
重要単語
- forecastB2動詞・名詞予測する/予測It is hard to forecast our own feelings.
weather forecast「天気予報」でおなじみ。fore(前もって)+cast(投げる)。 - distressB2名詞苦痛、悩みThe news caused her great distress.
stress より強い「心の苦しみ」。in distress「困っている・遭難して」。 - recoverB1動詞回復するHe recovered quickly from the cold.
recover from ~「~から回復する」。名詞 recovery。 - reappraisalC1名詞とらえ直し、再評価Reappraisal can change how we feel.
re+appraise(評価する)。感情調整の研究でよく出る用語。 - distractionB2名詞気晴らし、気をそらすことMusic can be a good distraction.
distract(気をそらす)の名詞形。勉強の「気を散らすもの」の意味でもよく使う。 - exaggerateB2動詞大げさに言う、誇張するDon't exaggerate the problem.
g が2つ重なるつづりに注意。名詞 exaggeration。
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交際中の人に「もし別れたらどれくらいつらい?」と予想してもらい、本当に別れた人を追跡したら、実際のつらさは予想より小さかったらしい。人は失恋のダメージを大きく見積もりすぎる。心は思ったより強いのかも。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Eastwick et al. (2008) Mispredicting distress following romantic breakup: Revealing the time course of the affective forecasting error, Journal of Experimental Social Psychologydoi.org
- Lewandowski & Bizzoco (2007) Addition through subtraction: Growth following the dissolution of a low quality relationship, The Journal of Positive Psychologydoi.org
- Langeslag & Sanchez (2018) Down-regulation of love feelings after a romantic break-up: Self-report and electrophysiological data, Journal of Experimental Psychology: Generaldoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










