語学・英語学習

英語の間違いは「その場で直す」か「あとで直す」か。実験で差を分けたのは“直された後”かもしれない

英語の間違いは「その場で直す」か「あとで直す」か。実験で差を分けたのは“直された後”かもしれない

読む前に予想してみよう!

英語の間違いは、会話の途中ですぐ直してもらうのが、どんな人にもいちばん効く

研究カード(どんな研究?)
対象
英語学習者(中学生〜専門学校生など)
規模
追試186人+20研究の系統的レビューほか
研究の種類
比較実験(追試)・系統的レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

訂正のタイミング研究は結果がバラバラ。186人の追試では、2回の練習の「間」に直すと、全部終わってから直すより文法ルールの直後テストがよかった。カギは直された後の再挑戦かも。

ひとことで言うと直すのは今すぐでも、あとでもOK。直してもらったら、もう一回使おう!

もくじ
  1. 20研究を並べても「正解のタイミング」はなかった
  2. 186人の追試:「練習と練習の間」に直すと効いた
  3. 「クセになる前に直す」も大事
  4. どんでん返し:緊張しやすい人には「その場の訂正」が効きにくい
  5. まとめ

英会話で「I go to Kyoto yesterday.」と言った瞬間、先生に「went!」と止められる。話の流れが切れて、何を言おうとしていたか忘れてしまった――。

かといって、全部話し終えてから「さっきのgoはwentね」と言われても、どこで言ったか思い出せない。間違いは、その場で直すべき? あとで直すべき?

英語の先生にも学習者にも身近なこの問題、実は研究者のあいだでも長く決着がついていません。ところが2025年の追試で、意外な「第3の答え」が見えてきました。

0120研究を並べても「正解のタイミング」はなかった

2023年に発表された系統的レビューは、2006〜2021年の20の研究を集めて、訂正のタイミングと外国語の伸びを比べました。結論は、「いつ直すのが最適か」に決まった答えはない。

理由のひとつは、研究ごとに「すぐ」「あとで」の意味がバラバラなことです。間違えた直後なのか、課題が終わってからなのか、何回かの授業の最後なのか。話す練習か書く練習か、直し方がはっきりしているかどうかといった違いも、結論を出しにくくしていました。

02186人の追試:「練習と練習の間」に直すと効いた

この実験は、2016年に「すぐ直す方が有利」と報告した研究の追試です。研究チームが確かめたかったのは、「すぐ直すのが効くのは、直された後にもう一度その形を使うチャンスがあるからではないか」という仮説でした。

「間に直す」組は、直された後に2回目の課題で受動態を使い直せます。「終わってから直す」組には、その機会がありません。タイミングそのものより、直された後に練習できるかどうかが効いていた可能性があるのです。

直された後に「もう一段」使う機会があるかどうかが、差を生んでいたのかもしれない
直された後に「もう一段」使う機会があるかどうかが、差を生んでいたのかもしれない

03「クセになる前に直す」も大事

中学1年生145人が英語の過去形を使う会話課題を3回の授業で行った2020年の実験では、1回目の授業で直してもらった組が、最後の授業まで直されなかった組より伸びました。研究者は、間違いが自動的に出るクセになる前に直すことの大切さを指摘しています。

ここでの「あとで」は、数分後ではなく、何回か練習した後の最後の授業。間違ったまま何度も言い続けると、その形が口に染みついてしまうのかもしれません。

04どんでん返し:緊張しやすい人には「その場の訂正」が効きにくい

82人の英語学習者が物語を話す課題を行った2023年の実験では、全体としてはその場で直しても、話し終えてから直しても、効果は同じくらいでした。

ところが、外国語を話す不安の強さを考えに入れると話が変わります。その場で直す方法は、不安が小さい人ほどよく効き、不安が強い人には効きにくかったのです。一方、あとで直す方法の効果は、不安の強さと関係がありませんでした。

さらに2026年には、66人が1学期間、生成AIのチャットボットと英語で会話した実験も報告されました。会話の途中で直す組と、会話の後で直す組で、文法の伸びに統計的な差はなし。ただし、途中で直す組の方が、使い心地の評価は高くなりました。

05まとめ

「その場で直す」か「あとで直す」か。研究を並べると、どちらか一方が常に勝つわけではありません。

むしろ見えてきたのは、直された表現を、すぐにもう一度使うことの大切さ。次に英会話で直されたら、「Oh, I went to Kyoto yesterday!」と、その場で言い直してみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"I go to Kyoto yesterday." Should a teacher stop the student and say "went" right away, or wait until the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"I go to Kyoto yesterday." Should a teacher stop the student and say "went" right away, or wait until the conversation is over? A review of 20 studies found no clear answer, partly because researchers define "right away" and "later" in different ways.

A 2025 study tried a third option. Vocational college students, 186 in total, did two tasks that used the English passive voice. Some were corrected during the tasks, some between the two tasks, and some only after both tasks.

The between-task group did better on a grammar-rule test given soon after the lessons than the after-both-tasks group, and about as well as the group corrected during the tasks. The researchers think the second task mattered. It gave students a chance to try the corrected form right away.

130 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「I go to Kyoto yesterday.」先生は生徒を止めてすぐに「went」と言うべきでしょうか、それとも会話が終わるまで待つべきでしょうか。20の研究をまとめたレビューでは、はっきりした答えは見つかりませんでした。その理由の一つは、研究者によって「すぐ」と「あとで」の定義が違うことです。

2025年の研究は、第3の選択肢を試しました。専門学校の学生計186人が、英語の受動態を使う課題を2つ行いました。課題の途中で直された学生、2つの課題の間に直された学生、両方の課題が終わってから初めて直された学生がいました。

課題の間に直されたグループは、授業のすぐ後の文法ルールのテストで、両方の課題の後に直されたグループより成績がよく、課題の途中で直されたグループとほぼ同じでした。研究者たちは、2回目の課題が差を生んだと考えています。それが、直された形をすぐに使ってみるチャンスを学生に与えたのです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did the review of 20 studies find no clear answer?

Q2. Which group did better than the after-both-tasks group?

Q3. Which advice fits the passage best?

重要単語

  • corrective feedbackC1
    名詞(句)訂正フィードバック(間違いへの指摘や直し)The teacher gave corrective feedback after the task. correct(正す)の形容詞形 corrective。第二言語習得研究の基本用語で、CF と略される。
  • immediateB1
    形容詞即時の、すぐのImmediate feedback comes right after the error. 副詞 immediately は「すぐに」。接続詞のように Immediately he arrived, ...(~するとすぐ)と使う用法もあるが、主に英国英語。
  • delayedB1
    形容詞遅らせた、あとからのDelayed feedback is given after the conversation ends. delay(遅らせる)の過去分詞。研究では delayed posttest(遅延事後テスト)の形でもよく出る。
  • interimC1
    形容詞合間の、中間のInterim feedback is given between two tasks. an interim report(中間報告)のように使う。inter-(間)が語源の手がかり。
  • replicationC1
    名詞追試、再現研究A replication tests whether a result appears again. replicate(再現する)の名詞形。科学の信頼性を語る長文のキーワード。
  • passive voiceB1
    名詞(句)受動態"The window was broken" is in the passive voice. voice は文法用語で「態」。能動態は active voice。
  • outperformC1
    動詞~より成績がよい、~をしのぐThe between-task group outperformed the after-task group. out-(~を上回って)+ perform。outnumber(数で上回る)、outlive(~より長生きする)も同じ仕組み。
英語の間違い、その場で直すか、あとでまとめて直すか。186人の追試では「1回目の練習と2回目の練習の間」に直す組が、全部終わってから直す組より文法ルールのテストで伸びた。カギは、直された表現をすぐ使い直せることかもしれない。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Li, Li & Qian (2025) What Is the Ideal Time to Provide Corrective Feedback? An Approximate Replication of Li, Zhu, and Ellis (2016), Language Learningdoi.org
  2. Fu & Li (2020) The effects of immediate and delayed corrective feedback on L2 development, Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  3. Xu & Zeng (2023) Optimal timing of treatment for errors in second language learning – A systematic review of corrective feedback timing, Frontiers in Psychologydoi.org
  4. Rassaei (2023) The interplay between corrective feedback timing and foreign language anxiety in L2 development, Language Teaching Researchdoi.org
  5. Kamelabad et al. (2026) Personalized language learning with an LLM chatbot: effects of immediate vs. delayed corrective feedback, Frontiers in Educationdoi.org