お線香は何本? 宗派別の本数と立て方、寝かせる浄土真宗、お墓参りのとき
1なぜ宗派で本数が違う? 真言宗の「3本」には意味がある
お線香の本数は、法律やマナー本が決めたものではありません。それぞれの宗派が、お経や教えにそって作法を伝えてきた結果です。
わかりやすいのが真言宗の3本です。真言密教では、身(からだ)・口(言葉)・意(こころ)の3つの行いを清め、大日如来の「三密」にそろえるために3本を立てる、と説明されます。仏・法・僧の三宝にささげる、という説明もあります。
一方、禅宗の曹洞宗・臨済宗では1本が基本です。江戸時代の禅寺では、お線香1本が燃えつきるまでの約40分を「一炷(いっしゅ)」と呼び、座禅の時間をはかる単位にしていました。お線香は、香りでその場と自分を清めるものであり、時計の役目も果たしていたのです。
つまり本数は「多いほどていねい」ではありません。自分の家の宗派の数が正解です。
2お線香を寝かせるのはどの宗派? 浄土真宗の置き方
お通夜で、前の人がお線香を折って寝かせているのを見て、驚いたことはありませんか。あれは浄土真宗の作法です。
浄土真宗本願寺派(西本願寺)は、お線香は立てずに、短く数本に折って寝かせると案内しています。そのため、ふだん使う香炉は口が広い陶磁器の「土香炉」を使います。口がせまい金属の香炉は、寝かせるのに向かないからです。大谷派(東本願寺)でも、香炉に合わせて折り、寝かせて供えるのが一般的です。
浄土真宗の家に行ったときは、香炉の中を見るのがいちばんの手がかりです。前の人のお線香が寝ていたら、同じように折って寝かせます。わからなければ、家の人に「お線香は寝かせますか」と聞いてかまいません。
| 宗派 | お線香の本数・置き方(一般的な例) |
|---|---|
| 天台宗・真言宗 | 3本を立てる(手前に1本、奥に2本の逆三角形) |
| 浄土宗 | 1本を立てる(1〜3本とする解説もある) |
| 臨済宗・曹洞宗 | 1本を立てる |
| 日蓮宗 | 1本か3本とする解説が多い(寺によって違う) |
| 浄土真宗(本願寺派・大谷派) | 立てずに、香炉に合わせて折って寝かせる |
| 宗派がわからないとき | 1本を立てる |
3お線香のあげ方:火のつけ方・消し方・何本でも守ること
本数よりも大事なのが、あげ方の基本です。どの宗派でもほぼ共通しています。
・ろうそくから火を移す(ライターで直接お線香に火をつけない)
・息で吹き消さない。手であおぐか、お線香をすっと下げて炎を消す
・立てたら合掌して一礼
息で吹き消さないのは、人の口から出る息はけがれているから、と説明されることが多い作法です。
お線香は、火がついたまま燃えつきるのを待つものです。仏壇の前を離れるときは、ろうそくの火を消し忘れていないか確かめましょう。
4お墓参りは束で? 四十九日までは絶やさない?
お墓参りでは、本数を数えずに束のままあげることがよくあります。屋外用の「束線香(野線香)」は、まとめて火をつけ、広げて燃やすものです。風があっても消えにくく、煙が多い杉線香が好まれます。家族の人数で分けて、1人ずつ手向けてもかまいません。
もうひとつよく聞かれるのが、「四十九日までは線香を絶やしてはいけない」という話です。これは宗派の決まりではなく、地域や家に伝わる言い伝えに近いものです。「絶やさない」期間も、火葬が終わるまで、四十九日まで、とさまざまに伝えられています。
四十九日の前と後で本数を変える、という決まりも、宗派の作法としては一般的ではありません。夜通し火をつけておくのは火事の心配があります。長くつけておきたいなら、10時間ほど燃える渦巻き型の巻線香を使う方法もありますが、そのときも火の元には十分気をつけます。
5宗派がわからないときは? 迷ったときの安全な選び方
友人の家の仏壇や、お通夜・告別式でお線香をあげるとき、相手の宗派はわからないことがほとんどです。
その場合は、自分の家の宗派のやり方でかまわないとされています。自分の宗派もわからなければ、1本を立てるのがいちばん無難です。お通夜などで係の人がいれば、本数や置き方を案内してくれることもあります。
ここで紹介した本数は、あくまで代表例です。同じ宗派でも、寺や地域によって違うことがあります。自分の家の仏壇やお墓のことなら、菩提寺に一度たずねておくと、それからは迷わずにすみます。
❓FAQあわせてよく聞かれる質問
お線香は2本でもいい?
宗派の作法で2本と決めているところは少なく、1本か3本が一般的です。2本だから失礼ということはありませんが、迷ったら1本にしましょう。
お盆やお彼岸は本数を増やす?
増やす決まりはありません。お盆やお彼岸も、ふだんと同じく宗派の本数であげます。
お線香の火を息で消してしまったら?
ばちが当たるようなことはありません。次からは手であおぐか、お線香を下げて消せば大丈夫です。
燃え残ったお線香はどうする?
香炉に燃え残りが何本もたまると、次のお線香が立てにくくなるので、ときどき取り除きます。捨てるときは、火が完全に消えていることを確かめてから、住んでいる自治体の分け方に従います。
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