一粒万倍日・天赦日とは? 何をするといい日で、どう決まるのか
1「一粒万倍」はお経の言葉:1粒の種が1万倍に
田んぼに1粒の籾をまくと、秋には穂が実り、たくさんの米がとれます。「一粒万倍」は、この1粒が万倍になるようすを表す言葉です。もとは仏教のお経『報恩経』にある一句で、「世の中で利益を求めるなら、田を耕すのがいちばん。一粒をまけば万倍になる」という意味だとされています。
おもしろいのは、この言葉に戒めの意味もあることです。わずかな物でも粗末にしない、1粒の米でも大切にしなさい、という教えにも使われてきました。
この言葉から生まれた暦の吉日が一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)です。国語辞典には、開店や金貸しなど物事を始めるのに良い日で、反対に借金をするには悪い日と書かれています。借りたお金まで万倍にふくらむ、という考え方です。
2天赦日の意味:天がすべてを許す「最上の吉日」
天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)は、暦の中でいちばん格の高い吉日とされます。国立国会図書館の「日本の暦」は、百神が天に集まり、天が万物を許す日で、何をするにも吉だと説明しています。
一粒万倍日がだいたい月に4〜6日、1年で60日ほどあるのに対し、天赦日は年に5〜6回しかありません。そのため、天赦日と一粒万倍日が同じ日に重なると、特に縁起のよい日として話題になります。2026年は10月1日がその重なる日でした。
どちらも、暦の一番下の段に書かれていた「下段(げだん)」や「選日(せんじつ)」と呼ばれる吉凶の書きこみの仲間です。大安や仏滅の六曜とは別のしくみなので、一粒万倍日で仏滅という日もふつうにあります。
3いつ? 決まり方は「季節」と「十二支」の組み合わせ
一粒万倍日も天赦日も、日付で決まっているわけではありません。毎日には十干十二支(えと)が順番に割り当てられていて、その干支と季節の組み合わせで決まります。
天赦日は、季節ごとに干支が1つだけ決まっています。
・春(立春〜立夏の前日):戊寅(つちのえとら)の日
・夏(立夏〜立秋の前日):甲午(きのえうま)の日
・秋(立秋〜立冬の前日):戊申(つちのえさる)の日
・冬(立冬〜立春の前日):甲子(きのえね)の日
干支は60日で一回りするので、1つの季節(約90日)に1〜2回しか来ません。これが「年5〜6回」の理由です。
一粒万倍日は、二十四節気で区切った月(節月)ごとに、十二支が2つ決まっています(下の表)。十二支は12日で一回りするので、1か月に4〜6回めぐってきます。
カレンダーの1日〜31日の区切りではなく、立春・啓蟄などの節気で月が変わるのがポイントです。そのため、節分の日と立春の日では、一粒万倍日になる十二支が入れかわります。
| 節月(次の節気の前日まで) | 一粒万倍日になる日 |
|---|---|
| 立春(2月4日ごろ)から | 丑の日・午の日 |
| 啓蟄(3月5日ごろ)から | 寅の日・酉の日 |
| 清明(4月5日ごろ)から | 子の日・卯の日 |
| 立夏(5月5日ごろ)から | 卯の日・辰の日 |
| 芒種(6月6日ごろ)から | 巳の日・午の日 |
| 小暑(7月7日ごろ)から | 午の日・酉の日 |
| 立秋(8月7日ごろ)から | 子の日・未の日 |
| 白露(9月7日ごろ)から | 卯の日・申の日 |
| 寒露(10月8日ごろ)から | 午の日・酉の日 |
| 立冬(11月7日ごろ)から | 酉の日・戌の日 |
| 大雪(12月7日ごろ)から | 子の日・亥の日 |
| 小寒(1月5日ごろ)から | 子の日・卯の日 |
4何をするといい? 避けることは?
辞典や国立国会図書館の説明では、一粒万倍日に向いているのは仕事始め・開店・種まき・出金、百科事典では仕入れや投資も挙げられています。ここから、今では次のようなことに選ぶ人がいます。
・新しい財布をおろす、口座を開く
・お店や会社を始める、習いごとや勉強を始める
・婚姻届を出す、引っ越しをする
反対に避けるとされるのは、借金と借り物です。ローンの契約日を選べるなら、気にする人は別の日にします。
よく聞かれる宝くじについても、はっきりさせておきましょう。一粒万倍日に買う人は多いですが、当せん番号は抽選で決まるので、買った日で確率は変わりません。退職届を出す日も同じで、吉日より、会社の決まりや引きつぎの日程を優先したほうが確実です。
吉日は「この日に始めよう」と背中を押してくれるきっかけとして使うのが、いちばん上手な付き合い方です。
5不成就日や寅の日と重なったら? 迷ったときの考え方
一粒万倍日に、不成就日(ふじょうじゅび)が重なることがあります。不成就日は「この日に始めたことは成就しない」とされる日で、旧暦の月ごとに決まった日から8日おきにめぐってきます。
吉日と凶日が重なった日をどう読むかは、暦の本やサイトによって答えが違います。吉が消えるとする説明も、吉が弱まるだけとする説明もあり、決まった正解はありません。
寅の日も、金運や旅立ちによい日として人気です。ただし辞典には、虎は千里を行って千里を戻ることから、昔は婚礼を避けたとも書かれています。入籍の日に寅の日が重なると迷う人が多いのは、このためです。
どれも科学的な根拠はなく、昔の人が暮らしの目安にした言い伝えです。気になるなら重なっていない吉日を選ぶ、家族が気にしないなら2人にとって覚えやすい日を優先する。どちらを選んでも、間違いではありません。
❓FAQあわせてよく聞かれる質問
一粒万倍日・天赦日の読み方は?
一粒万倍日は「いちりゅうまんばいび」、天赦日は「てんしゃにち」です。「いちりゅうまんばいにち」「てんしゃび」と読むこともあります。
一粒万倍日はいつ? カレンダーで調べるには?
節月ごとに決まった十二支の日で、月に4〜6日あります。日の十二支は暦(こよみ)に書かれているので、上の表と照らし合わせればわかります。暦やカレンダーのサイトでも一覧にされています。
一粒万倍日にやってはいけないことは?
借金と、人から物を借りることです。借りたものが万倍にふくらむとして、避けられてきました。それ以外は、特に禁止されていることはありません。
一粒万倍日に宝くじを買うと当たりやすい?
当せん確率は買った日では変わりません。縁起をかついで楽しむのはよいですが、「当たりやすくなる」根拠はありません。
天赦日にやってはいけないことは?
特にありません。何をするにもよい日とされています。ただし不成就日などの凶日と重なる日もあるので、気になる人は暦で確かめます。
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