勉強法の常識No.S68

「いつ・どこで・何をやるか」まで決めておくと、勉強をサボりにくいって、ホント?

判定日 読了 約4分音声 5:02文献 2件

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判定:ホント

「もし〇〇になったら、△△する」と決めておくと、目標を達成しやすくなります。94の検証をまとめた効果は、中〜大でした。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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クリスマスイブをどう過ごしたかを、レポートに書いて送ってほしい。書くのは、イブのあとの2日間の休日のうちに。

1997年に発表された、ある実験の一場面です。ドイツの心理学者ゴルヴィツァーとブランシュテッターは、クリスマスの1週間前、大学のあちこちで学生たちにこう頼みました。

学生の半分には、ひと手間が加えられました。いつ、どこで書き始めるかを、前もって決めてもらったのです。たとえば、次の日の朝ごはんのすぐあとに、居間の静かな一角で。その場面を思い浮かべ、その場面になったら書く、と心の中で唱え、決めた時間と場所を紙に書き留めました。残りの半分は、この手順を踏みませんでした。

休みのうちにレポートを書いた学生は、時間と場所を決めた組では71%、決めなかった組では32%でした。決めた組で期限内に書いた学生の多くは、前もって決めたその日に書いていました。

決意の強さより、きっかけ

ゴルヴィツァーは、目標についての決心を2種類に分けて考えます。ひとつは「〇〇を達成するぞ」という目標の意図。もうひとつは「もし場面Yになったら、行動Xをする」という形の計画です。後者は「実行意図」と呼ばれます。

「頑張るぞ」と強く決意しても、行動できるとは限りません。目標に向かう途中では、始めるきっかけを逃したり、ほかのことに気を取られたりと、いろいろな問題が起きるからです。実行意図は、こうした問題への備えです。

同じ論文の別の調査では、学生たちに、冬休み中にやりとげたい自分の目標を、やさしいものと難しいものの2つ挙げてもらいました。難しい目標は、実行意図がないと22%しか達成されませんでした。実行意図があると、62%に上がりました。やさしい目標は、もともと78%が達成されていて、実行意図による上乗せはほとんどありませんでした。

94の検証をまとめると

2006年、ゴルヴィツァーとシーランは、実行意図の効果を調べた94の検証を、メタ分析でまとめました。メタ分析とは、たくさんの研究の結果を数字でまとめる方法です。

実行意図は、目標の達成に対して、中くらいから大きいとされる効果を示しました。差の大きさを表す効果量は、0.65です。

効いたのは、行動を始めることだけではありません。目標の邪魔になるものから、取り組みを守る。うまくいかないやり方から、手を引く。次の取り組みのために、力を温存する。そうした場面でも、実行意図は役に立っていました。

仕組みについても、裏づけがありました。決めておいた場面に気づきやすくなり、その場面に出会うと、決めておいた行動が自動的に始まりやすくなる、というものです。

何をするかが、はっきりしていること

ただし、万能ではありません。1997年の論文の3つ目の実験では、ある社会問題について反論を考える課題で、実行意図の効果を調べています。効果があったのは、その問題に強い関心を持つ学生だけでした。関心の低い学生では、かえって結果が悪くなりました。

著者らの考えはこうです。実行意図は、効果的な行動を、よいタイミングに結びつけるものです。効果的な行動を持っていない場合は、効かない行動を場面に縛りつけてしまいかねない、というのです。

勉強で言えば、何をすればいいかがはっきりしていることが前提です。「数学をやる」より、「問題集の12ページから3問解く」くらいまで具体的に決めておくと、実行意図が生きてきます。

きっかけと行動を、紙に書く

原田英語のおすすめは、毎日すでにやっていることを、きっかけにすることです。

夕食を食べ終わったら、机で英単語を10分。電車に乗ったら、単語帳を開く。お風呂から出たら、きょう習った英文を1回音読する。きっかけは、毎日必ずやってくる、はっきりした場面がよいでしょう。

決めたら、紙に書いて机の前に貼っておきます。毎回「きょうはやろうか、どうしようか」と迷わずに済みます。大切なのは、決意の強さより、きっかけを具体的に決めておくことです。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Gollwitzer P., Sheeran P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69-119.

  2. Gollwitzer P. M., Brandstätter V. (1997). Implementation intentions and effective goal pursuit. Journal of Personality and Social Psychology, 73(1), 186-199.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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