勉強法の常識No.S47
マシュマロを我慢できる子は、将来成功するって、ホント?

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判定:ウソ
有名な「マシュマロ・テスト」。大きな追試では、待てた時間と将来の成績の関係はかなり小さくなり、家庭の環境でその多くが説明されました。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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4歳半くらいの子どもが、ひとりで部屋にいます。テーブルの上には、ふたがしっかり閉まったびんがあり、中には使い古したクレヨンが入っています。
部屋を出る前に、大人はこう言いました。「このクレヨンを使ってもいいよ。でも、待っていてくれたら、新しくてすてきなお絵かきの道具を持ってくるからね」。
2分半後、大人が戻ってきます。ある子どもたちには、約束どおり、たくさんの新しい道具を持ってきました。別の子どもたちには、手ぶらで戻ってきて、こう言いました。「ごめんね、まちがえちゃった。ほかの道具はなかったんだ」。
約束を破られた子どもたち
2013年、心理学者のキッドらは、28人の子どもでこの実験を行いました。クレヨンのあとには、シールでも同じことをくり返します。約束を守る大人と、守らない大人。子どもたちは、そのどちらかを2回続けて経験しました。
そのあとで、有名な「マシュマロ・テスト」をします。いま目の前のマシュマロを1つ食べてもいい。でも、大人が戻るまで待てたら2つ食べられる。そう伝えて部屋を出るのです。
約束を破られた子どもたちが待った時間は、平均3分2秒でした。約束を守ってもらった子どもたちは、平均12分2秒。4倍近い差です。
子どもたちは、我慢強さだけで待っていたのではありません。この大人は約束を守る人か。待てば本当にもらえるのか。それを見きわめたうえで、待つかどうかを決めていたと考えられます。待てなかった子は、我慢が足りなかったのではなく、待っても報われないと判断したのかもしれません。
有名な研究を、もう一度
マシュマロ・テストを有名にした研究のひとつが、1990年に発表されたショウダ、ミシェルらの研究です。入学前にごほうびを待てた子どもほど、10代になってからの成績や社会的なふるまいが良かった、という結果です。「我慢できる子は成功する」という話は、こうした研究から広まりました。
2018年、ワッツらは、この研究を、もっと多様な子どもたちで確かめ直しました。とくに注目したのは、母親が大学を出ていない家庭の子どもたちです。もとの研究の子どもたちとは、育つ環境が違います。
結果、4歳のときに1分長く待てるごとに、15歳での学力テストの成績が少し高い、という関係は見つかりました。ただ、その関係の強さは、もとの研究の半分ほどでした。
待てる力の、その奥にあるもの
さらにワッツらは、家庭の背景、小さいころの認知能力、家庭の環境といった要因を考えに入れて分析し直しました。すると、残っていた関係のおよそ3分の2が消えました。待てた時間と後の成績の関係の多くは、待つ力そのものではなく、その子が育った環境で説明できたのです。
しかも、学力の差のほとんどは、少なくとも20秒待てたかどうか、というところで生まれていました。長く待てば待つほど成績が良い、という単純な話ではありません。15歳での行動面との関係は、さらに小さく、統計的に意味のある差はほとんど出ませんでした。
待てる環境をつくる
キッドらの実験と合わせて考えると、見えてくることがあります。待つかどうかは、その子の性格だけで決まるわけではない。待てば報われる、と信じられる環境にいるかどうかでも変わる、ということです。
これは、勉強にもあてはまるかもしれません。「自分は我慢強くないから続かない」と思っている人がいたら、我慢強さを責める前に、続けた分がちゃんと報われる仕組みを作ってみましょう。原田英語のおすすめは、やった分が目に見える記録をつけることです。勉強した時間や解いた問題の数を書きためていけば、待った分が報われていることを、自分の目で確かめられます。
参考文献
Watts T., Duncan G., Quan H. (2018). Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication Investigating Links Between Early Delay of Gratification and Later Outcomes. Psychological Science, 29, 1159-1177.
doi.org/10.1177/0956797618761661✓ 実在と内容を確認済み
Kidd C., Palmeri H., Aslin R. N. (2013). Rational snacking: Young children's decision-making on the marshmallow task is moderated by beliefs about environmental reliability. Cognition, 126(1), 109-114.
doi.org/10.1016/j.cognition.2012.08.004✓ 実在と内容を確認済み
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