勉強法の常識No.S42
授業の集中力は10〜15分しか続かないって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
よく聞く「集中は10分で切れる」。たどってみると、この数字を支える研究はほとんど見つかりませんでした。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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「8秒、10分、それとも、もっと?」
これは、2016年に生理学教育の専門誌に載った論文の題名です。書いたのは研究者のブラッドベリーです。テーマは、大学の講義で学生の集中がどのくらい続くか、です。
「人の集中は10分から15分しか続かない」。先生向けの研修や勉強法の本で、何度も見かける言葉です。ブラッドベリーによれば、この「常識」をもとに、講義を15分に短くした教育機関もあったといいます。
では、この数字はどこから来たのでしょうか。
引用の糸をたどると
2007年、心理学者のウィルソンとコーンは、この主張の根拠とされてきた研究を、さかのぼって調べました。
調べたのは、いろいろな種類の研究です。講義のあいだに学生がノートを取る量の変化を調べたもの。講義中の学生の様子を観察したもの。学生自身に、どのくらい集中できていたかを答えてもらったもの。体の反応から集中を測ろうとしたもの。
結論は、「10分から15分で集中が落ちる」という考えを、これらの研究はほとんど支えていない、というものでした。しかも多くの研究は、集中の続き方に人によって差があることを考えに入れていませんでした。
9年後のブラッドベリーの論文も、同じ方向の結論です。この話題について書かれた文章は多いのに、その多くは前の文章を引用しているだけで、実際に集中を測った研究はわずかしかありませんでした。もっともよく根拠として挙げられる文献は、学生の集中についてほとんど何も書いていなかったといいます。集中を測ろうとした研究も、多くは測り方に問題があったり、観察する人の主観に頼っていたりしました。
引用が引用を呼ぶうちに、もとの中身がほとんどない数字が「常識」になっていった、というわけです。
集中を左右するのは、時計より先生
では、集中について何がわかっているのでしょうか。ブラッドベリーは、文献を見渡していちばん一貫していた結果を挙げています。学生の集中の差を生むのは、講義という形式そのものよりも、先生の違いだというのです。
同じ90分でも、引き込まれてあっという間に終わる授業もあれば、5分で時計を見たくなる授業もあります。中身の面白い授業でも、話し方しだいで退屈にもなります。集中は、時間の長さで機械的に決まるものではありません。
ウィルソンとコーンは、先生たちに2つのことを勧めています。学生ひとりひとりの集中の違いを考えに入れること。そして、学生が大事な内容をノートに書けているかを確かめることです。
自分の区切りを見つける
もちろん、人の集中が永遠に続くわけではありません。長く勉強すれば疲れます。ここで言えるのは、「10分から15分」という決まった数字に根拠がない、ということです。
「どうせ10分で集中は切れる」と思い込むと、本当は続けられたはずの勉強まで細切れにしてしまうかもしれません。逆に、何時間も机に向かっていれば集中しているはずだ、と考えるのも危険です。
原田英語のおすすめは、自分で確かめることです。たとえば、25分、40分、60分と区切りを変えて勉強し、それぞれのあとで、いま読んだ内容を教科書を閉じて説明してみます。どの長さで説明がいちばんしっかりできたかが、あなたの区切りです。科目や時間帯によっても変わるので、ときどき確かめ直しましょう。
参考文献
Wilson K., Korn J. (2007). Attention during Lectures: Beyond Ten Minutes. Teaching of Psychology, 34, 85-89.
doi.org/10.1080/00986280701291291✓ 実在と内容を確認済み
Bradbury N. A. (2016). Attention span during lectures: 8 seconds, 10 minutes, or more? Advances in Physiology Education, 40(4), 509-513.
doi.org/10.1152/advan.00109.2016✓ 実在と内容を確認済み
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