勉強法の常識No.S37
完璧に覚えた後も、その場で繰り返し続けるのが一番って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
完璧に覚えたあとも、その場でくり返し続けると、1週間後には効きます。でも数週間たつと、その差は大きく縮んでしまいます。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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英単語を20個、ようやく全部言えるようになりました。テスト範囲はここまでで、残り時間はあと30分あります。
あなたなら、どうしますか。多くの人は「念のため、もう何周かしておこう」と考えるはずです。せっかく覚えたのだから、忘れないように、今のうちに固めておきたい。とても自然な考えです。
「念のため」の効き目を測る
一度完璧に覚えたあとも、同じ時間内で学習を続けることを、心理学では「過剰学習」、英語でオーバーラーニングと呼びます。勉強法としては人気がありますが、長い目で見て本当に効くのかは、はっきりしていませんでした。
2005年、心理学者のローラー、パシュラーらは、これを確かめる実験を報告しました。参加したのは218人の大学生です。1つ目の実験では地理に関する事実を、2つ目の実験では単語の意味を覚えてもらいました。
覚え方は、問題に答えて正解を見る、というテスト形式のくり返しです。くり返す回数を変えることで、ちょうど覚えたところでやめるグループと、そのあとも続ける過剰学習のグループを作りました。
そして、参加者は1週間後から9週間後のどこかで戻ってきて、最後のテストを受けました。
1週間後は大差、その後は
1週間後のテストでは、過剰学習のグループが、少なく学習したグループよりずっと多く思い出せました。ここまでは「念のため」が報われた形です。
ところが、テストまでの期間が長くなると、1週間後にあれほど開いていた差は、急に縮まっていきました。
つまり、念のための追加の学習は、すぐ先のテストには役立ちます。でも、何週間も先まで覚えておきたい内容には、かけた時間ほどの効果がありません。研究チームは、長く覚えておくための方法としては、過剰学習は効率が悪いとまとめています。
やめどきは「一度できたら」
2007年、ローラーとパシュラーは、それまでの研究をもとに、勉強時間を増やさずに記憶を長持ちさせる方法を論文にまとめました。
その答えの一つ目は、1回の勉強は、内容をきちんと覚えられるところまでは続けるべきだ、ということです。中途半端でやめてはいけません。ただし、覚えたあとすぐに同じ内容を勉強し続けるのは、時間の使い方として効率が悪い、とも書いています。
二つ目は、同じ勉強時間を2回に分けてあいだをあける「分散学習」です。その効果は、1回目と2回目のあいだをどれだけあけるかと、2回目から試験までがどれだけ先かの、両方の組み合わせで決まるといいます。
余った30分の使い道
冒頭の場面に戻りましょう。20個の単語を全部言えるようになったら、その単語は、その日はそこで終わりにします。残りの30分は、まだ覚えていない次の範囲に使います。
そして数日後、最初の20個をもう一度テストします。忘れていた単語があれば、そこで覚え直します。同じ時間を使うなら、その場で何周もするより、日をあけてもう一度やるほうが、長く残ります。
ただ、この実験の参加者は大学生で、覚えたのは地理の事実と単語の意味でした。計算のような技能や、明日のテストのための一夜漬けについては、話が違う可能性があります。
原田英語のおすすめは、単語帳に「覚えた日」を書きこんでおき、数日後の自分にテストを予約することです。「念のため」は、今日ではなく、数日後にとっておきましょう。
参考文献
Rohrer D., Taylor K., Pashler H., Wixted J., Cepeda N. (2005). The effect of overlearning on long‐term retention. Applied Cognitive Psychology, 19, 361-374.
doi.org/10.1002/acp.1083✓ 実在と内容を確認済み
Rohrer D., Pashler H. (2007). Increasing Retention Without Increasing Study Time. Current Directions in Psychological Science, 16, 183-186.
doi.org/10.1111/j.1467-8721.2007.00500.x✓ 実在と内容を確認済み
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