勉強法の常識No.S36

自信満々で間違えたことは、直りにくいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:09文献 2件

「自信満々で間違えたことは、直りにくい」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ウソ

自信をもって間違えた答えほど、正解を教わったあとに直りやすい。研究者自身の予想を裏切った結果です。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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返ってきたテストで、絶対に合っていると思った問題にバツがついている。あの、顔が熱くなるような感覚を覚えている人は多いはずです。

そして、こう思うかもしれません。こんなに自信があったのだから、この思いこみはきっと根が深い。次もまた同じ間違いをしてしまうだろう、と。

強い思いこみほど、直らないはず

この直感は、記憶の研究者たちの考えとも一致していました。

記憶のしくみを説明する多くの理論では、自信が高いということは、その答えが記憶の中で強く結びついている、ということです。強く結びついた答えは、ほかの答えを押しのけてしまいます。それなら、自信満々の間違いほど、正解を教えられても上書きしにくいはずです。

2001年、心理学者のバターフィールドとメトカーフは、これを確かめる実験をしました。参加者は問題に答え、それぞれの答えにどれくらい自信があるかを評価します。そのあとで正解を教えられ、しばらくしてから同じ問題の再テストを受けました。

予想が外れた

結果は、2人の予想とは逆でした。

高い自信で答えた間違いほど、再テストでは正しく直っていたのです。自信がなかった間違いのほうが、むしろ直りにくくなっていました。この現象は「過修正効果」と呼ばれています。

もう一つ、わかったことがあります。再テストのとき、正解と、もとの間違った答えの両方が頭に浮かぶことがありました。そういう場合、参加者はほとんどいつも正解のほうを選んでいました。2人は、人には何が正しくて何が間違っているかを見分ける、かなり精度の高い力があるのではないかと述べています。

脳の中で起きていること

では、なぜ自信のある間違いほど直りやすいのでしょうか。

2012年、メトカーフ、バターフィールドらは、脳の働きを画像で調べる方法を使って、この謎に取り組みました。考えたのは、自信と実際の正誤がずれると、注意が強く向き、正解がしっかり記憶されるのではないか、という仮説です。

実験では、一般常識の問題を使いました。自信があるのに間違えたときと、自信がないのに正解したとき。どちらも「思っていたのと違う」場面です。この2つの場面では、脳の同じ場所が活発になっていました。仮説を支える結果です。

さらに、自信をもって間違えたときにだけ、別の場所も働いていました。研究チームの解釈では、このとき人は、自分の思いこみと正解の両方を頭に置いて比べています。そして、自分で出した間違った答えを抑えこもうとしているようです。

自信満々の間違いは、「思っていたのと違う」という感覚とともに、頭の中で正解と並べて見直されます。だから記憶に残るのかもしれません。

自信のあったバツこそ見直す

この研究から言えるのは、自信をもって間違えた問題は、落ちこむ材料ではなく、伸びるチャンスだということです。ただし、それは正解を確かめたときに限ります。過修正効果は、正解を教えてもらって初めて起きる現象です。

原田英語のおすすめは、テストが返ってきたら、自信があったのに間違えた問題に、まず印をつけることです。そして正解と、なぜ自分がそう思いこんでいたのかを、並べて書いておきます。数日たったら、その問題だけをもう一度解いてみましょう。

顔が熱くなったあの瞬間は、正解を覚える絶好の機会です。

参考文献

  1. Butterfield B., Metcalfe J. (2001). Errors committed with high confidence are hypercorrected.. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 27, 1491-1494.

  2. Metcalfe J., Butterfield B., Habeck C., Stern Y. (2012). Neural correlates of people's hypercorrection of their false beliefs. Journal of Cognitive Neuroscience, 24(7), 1571-1583.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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